私の足は雲の足
足が動かないと知った日から、私は窓の外を眺めてる。
そんな毎日が続いたある日、シオン王子が私を気使って散歩に連れて行ってくれたの。
共も連れずに2人っきりで。
車イスを優しく押してくれて森までのお散歩。
ちょっと進んだ先に有った小池の周りには、綺麗な花が咲き乱れていたわ。
「キアラ、綺麗だろ? 俺の好きな場所なんだ」
「わーっ、ほんと!」
ちょっぴり感動したわ。
あれ? なんか唸り声が聞こえる……
「変だな、ここには居ない筈なんだが」
王子が待ってろって、草薮に行っちゃった。
そしたら怪獣がイキナリ出てきて襲って来た!
と思ったら、王子ってばいつの間にか剣を抜いてて、もう怪獣を半分にして帰って来たよ⋯⋯
早っ!!
うん? あれはなーに? 王子の頭の上にぽっかり穴が開いてる。アレってもしかしてまた怪獣?
王子ってば全然気付いてないよ!
「危ない王子!!」
動けない私は無我夢中で雲を掴むように、なんとか空中の怪獣を追い払おうとした。
したらさ⋯⋯⋯本当に雲が出てきちゃったよ!!
異変に気づいた王子は、すかさず頭上の怪獣を雲ごと真っ二つにする。
「キアラ、この雲はお前が出したのか?」
「そ、そうみたい」
あの雲私が出したのよね? しかも、2つに切られたはずなのにくっついてこっちに来てる!?
「なんだ、この雲みたいなのは!?」
ホントなんなのコレ? 私にまとわりついてるし……
「なんかお前に懐いてないか?」
「そ、そうみたい」
私の下に潜り込んで乗っけようとしてるみたい。
「ねえ雲さん、私を乗せてくれるの?」
「プルン、プルン!」
縦に揺れてうなずいてる!
「フフッ、新しい足ができたようだな」
こうして私は、再び自由を手に入れた