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障がい転生、幸せになろう   作者: オータム・ひのもと
15/17

公爵令嬢の悪だくみ



 クン、クン、クン……


「ここでプね、偽の手紙の差出人は」


 足跡の匂いを辿って、何とか見つけ出したでプ。

 けど、ここってキアラ姫を真っ黒にした部屋の隣じゃないでプか。


 大胆すぎて腹が立って仕方が無いでプよ。

 それに、姫をあんなにワンワン泣かせるなんて。


 絶対、許せないでプ!



「……様、証書は……しましたか?」

「大……夫、この引き出し……」


 ここの天井は分厚いでプね。

 聞こえにくいからちょっと齧ってみるでプ。


 ゛カジカジ゛


「それにしても、あんな手紙で騙されるなんてあの子も馬鹿よね」

「本当ですわねエリアス様。ですが、廊下の壁には大穴が空いていましたわ。もしやキアラ姫が開けたんじゃ」


 あっ、あれは公爵令嬢でプ。それに手紙を置いて行った奴の声でプね。


「まさか。あんな車イス女にそんな事できるハズがないわ」


 モックンがしたでプからね。

 しかし、やっぱりこの連中の仕業だったんでプね。


「それでエリアス様、今夜の手筈は整いましたか?」


 まだ何か企んでいるのでプか。


「ホホッ、勿論抜かりはないわ。黒い馬車も地下通路の出口に用意したし、ヘルゼン商会の証書も……ほらこの通りよ」


 机の引き出しから何かを取り出したでプね。


「まったく、用心深い連中よね。父様の証書を用意しろだなんて」

「野盗なんてそんなものですよ。上手く利用した方が勝ちですわ」

「そうよね。まあ、人目につかない場所を選んでくれた事には、馬鹿連中にしては良くやったと褒めてもいいわね」

 

 野盗!?

 公爵令嬢なのに、そんなのと付き合っているんでプか!


「そろそろ時間ね。行ってくるわ」

「はい、エリアス様。お気をつけて行ってらっしゃいまし」


 

 これは一大事、後をつけて行くでプ!


 っとその前に、引き出しの証書を拝借しておくでプか。

 何かの役に立つかもでプよ。

 

 よし、二人共部屋を出たでプね。

 机の上にジャンプ!


 ゴショゴショ……手に入れたでプ。

 さそく尾行開始!


 

 ゛カツン、カツン゛


 石でできた地下通路だから、令嬢のハイヒールの音が良く響いているでプ。まあそのお陰で、僕の小さな足音も全く聞こえなくて有り難いでプけどね。


 それはそうと、秘密の抜け道を知っているなんて、よっぽどこの城の事情通でプね。

 もしかして、僕と同じ様に探検でもしていたんでプかね。


 だけど、この先には2人の兵士が扉の前で通せんぼしてるでプよ。

 あの女はいったいどうやって通るつもりでプかね?


「分かっているわね」

「へへ、もちろんですぜ」


 あっ、兵士の手のひらに金貨を落としたでプ!

 買収でプね、汚職事件でプ!


 ゛バタン!゛


 扉がしまちゃったでプよ。

 急いで強行突破でプ。


「テトラキック!」

「「 ギャー!」」


 顔面攻撃で気絶させたでプ。


 次はこの木製の薄っぺらい扉でプ。

 僕の歯なら一瞬でプね。

  

「ガリガリガリガリっ!」


 通れる位の丸い穴を作ってやったでプ。

 早く追いかけなくちゃ!


「「パカっパカっ,パカっ 」」


 わあ、もう馬車に乗って走り出してるでプ!


「とりゃーー!」

 

 ふ〜ぅ、何とか後ろの扉にしがみつけたプよ。


 町外れの方角に向かっているけど、きっと行き先は野盗のいる所に違いないでプ。


 何を企んでいるのか知らないけど全部聞き出してやるでプ。




 …………やっと馬車が止まったでプ。


 結構遠くまで来たみたいだけど、ここが目的の家の様でプね。


 本当に誰も来なさそうな家でプよ。


 周りには草木がボウボウと生えているし、ボロボロで汚らしい家だし、まるでお化け屋敷の様でプね


 だけど誰か人がいるのは丸わかりでプ。

 だって、窓から明かりが漏れてるでプものね。


 ゛コンコン゛


「入れ」

 

 ノックをして家の中に入ったでプ。

 僕も壁下の穴から潜入でプ。


「例の物は持って来たか」

「ええ、これよ」

 

 あっ、ポケットからあの証書を取り出したでプ。


「あんたの署名がちゃんと入っているな。確かに受け取た」


 宝箱に入れて鍵をかけたでプ。


 何やら、大切な物見たいだし後でこっそり僕の持って来た物と取り替えておくでプか。


「言っとくけど、成功しないと支払われないわよ。」

「分かってるって、へへへ」


 何を依頼していたのでプかね?


「それで、手はずはどうなっているんだ?」

「計画通りに深夜1時で大丈夫よ。私のメイドが堀の門を開けるからあなた達は湖から入ってちょうだい」

  

 夜中に多勢で堀に?

 そんな所に来られたら、キアラ姫の別館が近過ぎるでプ!


「さらった後は何をしてもいいんだったよな」

「ええ、好きにしていいわ」

「俺たちゃよお、モテ遊んだ後に奴隷商人に売り飛ばそうと思ってるんだが、どうよ? グエへへへ」

「ふん、勝手になさい」


 まさかキアラ姫がターゲットじゃないでプよね!?

 そんな事されたら悲惨過ぎるでプ!


「キアラをシオンの側から離せるのなら、後はどうだっていいのよ」 

「へへへ、そう来なくちゃ」

 

 やっぱりでプ、これは一大事でプ!


「じゃ、これで私は帰るわよ、いいわね?」

「あぁ、いいぜ。明日の事は任せておけ」


 これは大変な事になったでプ、早くキアラ姫に報告しなくちゃでプ!


 けど、証書も取り変えないと。

 どうしよう困ったでプ。


 ゛バタン!゛


 悩んでる間に出て行っちゃた!


 もう、こうなったら証書を取り替える方に決めたでプ。

 って思ってたら、男が二階に上がって行くでプよ?


 これは後をつけなければ。


 ど~~れ、部屋の中はどうなっているでプかね?

 うう、汚ったない部屋……


 まるでドブネズミの部屋でプよ、これは。


 ゛ガシャン゛


 あっ、ベッドの横にある机に宝箱を置いたでプ。

 酒ビンと当てて大きな音を出しちゃって。

 

 まったく、ビックリさせないで欲しいでプよ。



「アイツら、いつまで飲んでいやがるんだ……グビグビ」


 独り言でプか?

 アイツらって仲間の事でプかね。

 だとしたら、戻って来る前に済ませないとヤバイでプね。


「グビグビ、プハ――ッ!」


 よく飲むでプね。

 だけど、もっともっと飲むでプよ。


「クソッ、俺も綺麗な姉ちゃんと酒を飲みたかったぜ、グビグビ!」


 フフ、一気飲みでプ。

 この分だと、すぐに酔っ払って寝てしまうでプよね。


 そこからが僕の出番でプよ。

 床には針金が落ちているし、あれで宝箱の鍵も開けられるでプ。


 探検家の僕の手にかかったら、あんな小さな鍵くらい御茶の子さいさいなのでプ。


 問題は、ここから城に帰る事にあるでプね。

 僕の足で間に合うのだろうか……


 ううん、弱音を吐いたら駄目でプ!


 何としても、絶対間に合ってみせるでプよ!


 必ずや、キアラ姫を助けるでプ!


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