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障がい転生、幸せになろう   作者: オータム・ひのもと
12/17

グラント王国と小さな騎士

 

 グラント王国、シオンの故郷


 活気があって綺麗な町並みなのよ

 跳ね橋付きの城も負けていないわね


「シオン様、キアラ様ご無事で何よりです」


 堀の外でスパイのルークが出迎えてくれた


「ここから先は城内ですが、雲さんはどうします?」


 やっぱりビックリするかしら?


「モックン、少しの間お空で休んでてね」

「プルンプルン」


 また後で呼ぶからね


 跳ね橋が降りて、いざ城の中へ!


 馬から降りた私を、シオンとルークが車椅子に乗せて押してくれている

 段差では私ごと持ち上げているけど、重くないかな?


 お城の中には赤絨毯の長い通路

 大きな窓の外には、庭が見え赤薔薇白薔薇がイ--ッパイ!


 部屋がたくさん並んでいるけど何処に行くのかな?


「ここが謁見の間です」


「今戻った、父上、母上」


 おお、ぶっきらぼうにドンドン進んで行くわ


「キアラ、父のカルローゼ国王に母のアメリーン王妃その隣が兄のセヒィロ、姉のアンネ、妹のカリンだ」


 な、何て? 全然覚えれなかったんだけど?

 それはともかく、挨拶だけはちゃんとしとかなくっちゃ


「キアラクリストです 」


 緊張するわね


「よく来てくれた」

 王様は優しそう


「この子に合わせたら倒れてしまうわよ」

 

 穏やかそうな王妃様はシオンを目で怒っている

 だけど本人はソッポ向いちゃった


 この人も優しそうだし合格ね


「まあ次期国王様の婚約者さんだ、この城では好きに振舞っていいよ。じゃ、僕はこれで」


 もう帰っちゃった……

 あの人がお兄さんなのかな、ひょろひょろしててシオンに似てないわね……


 という事で評価は保留です


「こんな車椅子の女が将来王妃になるんですって? この国も終わりね、じゃ!」


 文句だけ言って帰ったよ、嫌な感じすぎ!

 お姉さんっぽいけどシオンと血が繋がっているのかしら、余裕で不合格!


「わたしはカリンよ、よろしくね! さっきの2人はきにしないでね?」


 妹さんよね

 目がぱっちりしてて可愛い子ね

 軽く合格!


「こちらこそ宜しくねカリン。私は大丈夫だから気にかけないでいいわよ」


 ホントはダメージ大きかったけどさ…… 

 この子とは仲良くなれるかな?


「あの連中の言葉など聞き流して置けばいい。所詮は外野だ 」


 シオンってば心が強すぎる!


「相変わらず口の悪い事だ······」

「ですがこの子の言う事も尤もです。キアラ、何も気にせずこの城で暮らすのですよ?」


 やっぱり王妃様は優しいわね


「王妃の言う通り、シオンもお前の為に大急ぎで別館を用意したぞ」

「父上······」

「まあまあシオン様、別に言っても良いではないですか」


 うん、言ってくれた方が嬉しいわ


「シオン、さっそく案内してあげたら?」

「そのつもりです母上、では」


 慌てて私を外に連れ出すシオン

 長い渡り廊下を無言で渡って行く

 照れているのかしら?

 

 屋根だけの廊下から近くには湖、遠くには山が見えている

 本当に綺麗な国よね


 別館の前にはメイド服のオバさんが立っているけど、もしかして私を睨んでない? 


「初めましてキアラ様、今日からお世話をさせて頂くサラです 」

 やっぱり気のせいかな?


「ルーク、俺が頼んでおいたメイドとは違うがどういう事だ?」

「アンネ様がキアラ様の為にと言われまして」

「アンネが······」


 と言う事でやっぱり怪しいわ

 まあ、とりあえず考えるのは後回しにしよっと


「こちらにどうぞ」

 サラが大きな扉を開くと


 広いわね!

 部屋も両側に3つずつあるけど、全部私の為に用意してくれたのかしら


「こちらがキアラ様のお部屋になります」


 左奥の部屋の扉を開けて私達を招き入れるサラ


「こちら側は全てお前の住居だ」


 え--っ、贅沢すぎないかな


「反対側はリハビリ室、ルークの部屋とサラ······だったか、彼女の部屋だ」


 さすがシオン、至れり尽くせりね


「ここからは俺が案内する、お前達は下がっていいぞ」


 聞かれたらマズイ事でもあるのかな

 2人っきりの方が私もイイけどね


「隣が寝室、その奥が衣装部屋だ」


 お洒落なシャンデリアがきらびやかで素敵、暖炉もあるじゃない!


「床はフローリングだ、段差も無い完璧バリアフリーだ」

 

 そ、そこまでやる?


「ベッド柵もつけてある、これなら自分で車椅子の移乗が出来るはずだ」


 凄い、シオンは天才に決定!

 

 それにしても、シオンたら私の為に色々工夫してくれたのね

 よっぽど私の事が好きなのよ、って思ってもいいかしら? ウフフ!


 あれっ、暖炉の横に変な穴があるわ?


「あの穴は何?」

「モックンの隠れ家さ、屋根から出入りも出来る」


 そこまで気が回る貴方は何者?


 けどさ、これならモックンも喜んでくれるわね


 

「シオン、モックンを呼んでいい?」

「ああ」

「モックン、カムヒア--!」


 モックン専用の煙突から呼びかけたら


「ポワワン!」


 はや--い、もう来た!

 呼ばれたのが嬉しいのか煙突が嬉しいのか、とにかく部屋の中をグルグル飛び回り始めたわ


 急にベットの下で止まったけど

 どうしたのかな?


「君は誰でプか?」

「プルンプルン!」

 

 小さくて可愛らしい声がしたわ

 小人でも居るのかしら?


「モックン、大丈夫?」


 ゛チョコチョコ゛


 ベットの下からちっちゃい何かが出て来た!


「我はウスタップの騎士でプ!」


 なんか偉そうね


「モンスター種別はウスタップ、名前はテトラでプ」

 

 ふ〜〜ん、全然知らないモンスターね


「喋るウスタップなんて珍しいな」


 シオンは知っているみたい

 どれどれ、私もよく見てみよう


「じ----っ!」

「見つめられると照れるでプ······」

 

 モジモジしているこのモンスター、モルモットよりは大きいかな

 全身は茶色なのにお腹は真っ白ね、ゴールデンハムスターの大きいバージョンかな。小さな羽が生えてるのが変わっているけど、愛嬌が有りそうね


「プル、プルン!」

「どうしたのモックン?」

「友達になって遊びたいんじゃないか?」


 そうなのかしら

 そう言えば、さっきからこのモンスターにスリスリしてるわ


「そうなのモックン?」

「プルンプルン!」


 大当たり!

 シオンてば雲の読心術でも出来るのかしら?


「テトラだったけ、私達とお友達になってくれる?」

「そう言う貴女は誰でプか? 」

「私はキアラ、この子は雲のモックン、彼はシオンよ」

「シオン王子は知ってるでプ」


 そ--なの?


「なぜ俺の事を?」


 シオンもキョトンとしているわ


「ここがボロボロだった頃からずっと住んでいたんでプ」


 へ〜〜、ここは元々ボロボロだったんだ


 シオンたら頑張ったわね


「住み心地が良かったでプから、引き続き住む事にしたんでプ。しょっちゅう本館の方も探検に行っているでプから、王子もよく見かけているんでプ」


 私の先輩ってわけね

 

「モックンよ、友達が出来て良かったな」

「プルンプルン!」


 桃色モックンになったわ、照れてるのね


「俺は用事があるのでそろそろ行くぞ」


 えっ、もう?


「今日はこの部屋で夕食をする予定だ、また来る」


 なんだ、すぐに会えるじゃん


「あと俺の部屋は南棟の見張り台の下だ、旗があるからすぐに分かる。いつでもモックンに乗って来ていいぞ」


 それなら一瞬ね、良かった······


「身の周りの用事はルークやサラに言ってくれ。モックン、キアラを頼んだぞ」 

 

 行っちゃったよ



 シオンとの再開が終わって城のみんなも眠りにつく頃


 窓から空へと踊り出すわ

 今夜は新しい友人も一緒なの


 堀に囲まれたお城も静まり帰り

 見張り台の兵士も欠伸を噛み殺す


 白の建物、緑の尖った屋根

 明かりが灯った部屋はシオンの部屋よ


 微笑みを浮かべたら街の上空へ

 小さな公園にはブランコや滑り台

 水が出ていない噴水も情緒があっていいものね


 教会の三角屋根では鳥さん達が羽を休めて眠っている

 たくさんの装飾が施された時計台をグルグル回って堪能したら、いよいよ湖に向けて出発よ


 楽しすぎて、今日は寝不足になっちゃうかもね


 

 




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