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硝子の器  作者: 一ろと
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第二章


この男とは幼い頃からの腐れ縁だった。愛らしいメレディと可愛げの無いキヨタカ。所謂幼馴染み。だからこそ解ることもある訳で。


「それでぇ、昨夜は同衾した訳だ」


昨夜捕まえたパック男が獄中で自殺したとメレディに報告する為、アズマは並んで歩くキヨタカへと問い掛ける。キヨタカとは道中一緒になっただけだ。


「妙な言い回しをするな。狙われているのに1人にする訳にいかないから同じ部屋で共に寝ただけだ。勿論、背中合わせで、指一本たりとも触れていない」


「夫婦なのに?」


「夫婦なのと睦合うのは別だ。相手が俺に惚れていたとしても、同情や義務としての行為はミアを傷付けるだけだろう」


移ってるじゃん、情。


「それに陛下からの預かりものだからな。大切にしなければ」


「あっそ」


恋慕と断言するにはまだ早い。だが、今までメレディ以外は眼中に無かった男が初めて興味を示している相手。


でなければいくらメレディからの預かりものだとしても請われるまま夫婦になったり、護衛をつければ良いだけなのに、そうせず、自らのベッドに入れて手ずから守るはずが無い。


「メレディと言えばさぁ、どう思う?あのライオンと金継男」


「陛下を付けろ。どうとは?」


「拾われた時期はバラバラだけどあのライオン、妙に金継男に懐いてるし、金継男もあのライオンのことよく解っている部分があるし、何よりあの男、胡散臭いんだよなぁ」


「まあ、確かに。それにあの態度、癪にさわる」


いつも爽やかな訳では無いが、キヨタカのギッと眉を寄せた顰めっ面がアイツ嫌い度を表している。


「あ…噂をすれば」


肌に張り巡らされた金を窓から入り込む陽の光に照らされてキラキラと輝かせながら向かってきた金継男。


「よお、坊や達。レオを見なかったか?」


「見てないけどぉ」


「レオのやつ、何処に行ったんだか。勝手なところがあって困った奴だぜ」


擦れ違いざまに聞き、呆れた調子で愚痴をこぼす。


「お前らはこんな所で井戸端会議か?」


「んー、いやぁ、アンタって怪しさプンプンだよなぁってね」


「おい…」


本人へと、飄々と言い放つアズマを咎めようとキヨタカは口を挟むが、アウルムは気にせず愉快げにニヤリと笑み、


「恐がる必要はねぇよ。俺は単なる愚かな老いぼれだぜ。それよか、危険なのはレオの方かもな。三日前くらいから行方知れずで、多分ロクなものを喰って無ぇから腹空かしてる筈だからな。ばったり出くわしたら喰われっかも」


背後にはせいぜい気を付けなと言い残して去って行った。


「あの男は食えそうに無いね」


「…ああ」


取り敢えず、兵士数名に獅子を探させようと決めたのだった。


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