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硝子の器  作者: 一ろと
6/8

侵入者


パーティーなんて初めてにしては、楽しめたと思う。

ダンスなんて優雅とは程遠かったけれど、何よりもウルズ王子が去った後からずっとキヨタカが側に居てくれたから。

ダンスばかりで話すことなんて殆ど無かったけれど、見つめ合って触れ合って、アタシの心もずっと踊り狂っていた。



部屋に帰ったミアは屋敷に来た日に与えられたパジャマを着ようとドレスを脱いで大きな姿見に映る自分の身体を眺める。

青い蜘蛛の巣のような線は広がって、二の腕や腿の方まで伸びて来ていた。


「もう、袖の短い物は着られないわね」


着ようとしていた方を畳んで仕舞い、寒い日も多いですから、とこの屋敷の使用人頭に渡されていたパジャマを出して着て、中央が喉元からヘソの辺りまで開けっぴろげになっている為、左右についた紐を絞って結ぶ。こんな感じかしら、と再び鏡を見れば、映り込んだ窓に人影。


「っ…」


飛び散る破片。割れた窓ガラス。

ミアの前には侵入者。


「誰っ?!」


問い掛けを無視して顔パックみたいな仮面を被った男は剣を持ったまま近寄って来る。


逃げたくても驚きで動けないミア。


パック男の何も持っていない方の手がミアを掴もうと襲いかかる。


「ミアっ!」


ミアを庇うように振りかざされた剣。


扉を蹴破る勢いで入って来たキヨタカだ。

窓ガラスが割れる音に気付いたのだろう。

着替え途中だったのか、上半身裸だ。

パック男のことなんかミアの頭から吹き飛び、予想以上に鍛え上げられている肉体美にさらにヒビが全身に広がって砕け散っていないのが不思議なくらいドッキドキしている。

何より自分を助けに来てくれたというこのシュチュエーション。

例え上半身が裸でも乙女ならばトキメかないはずが無い。


そして、キヨタカは大将クラスだけあって本当に強いのだ。


「はっ…!」


キヨタカが現れて逃げようか逡巡したパック男の隙を逃さず、一撃入れて倒してしまった。


「ミアっ、怪我は無いかっ?」


恐ろしい形相で振り返り確認を取るキヨタカへ、


「大丈夫。その人…殺したの?」


と尋ねると、


「いや、寝かしつけただけだ。誰の手の者でどうしてお前を狙ったのか聞き出さなければならない」


「そっか。あの、助けてくれてありがとう、キヨタカさん」


駆けつけてくれたとわかる荒い呼吸と滴る汗。

お礼を言って、あの日みたいにハンカチの代わりにパジャマの袖で汗を拭ってあげると、あの偽りの微笑みは返って来なかったけれど、


「当然だ。お前は女王陛下からの預かりもので………俺の、妻だ」


渋面を作ってキヨタカは言う。


妻であるミアにはこれは照れ隠しなのだとハッキリとわかってしまった。


どうしてメレディのことでは無くてミアを俺の妻と言う台詞に照れたのか。


互いにまだ、わからないまま。


いや、ミアの場合は気付けば欲が出てしまうから知ろうとしないだけなのか。


青い線はまだ全身には届かない。









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