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ヤンデレパターン練習1
短編や小ネタの詰め合わせです。唐突に始まってすぐ終わるものとかも多くなると思います。全て私の好みで構成されています。
「そうやって、ずっと君は僕のこと見てくれなかったじゃないか!!っ・・・!」
いつも穏やかな彼の咆哮にも似たその叫びに、足が竦む。
歩み寄ろうとしても、どうしても一歩を踏み出すことができなかった。
「でも、もういいんだ。」
――――え?
「君が僕を絶対に忘れない方法、思いついたから。」
先程まで憤怒を示していたその美しい赤い目が狂気を孕む。
あれは、なに?
彼が持っているものは。
彼が振り上げたものは。
彼が、自らに突き刺したものは。
「ねえ、」
視界が真っ赤に染まる。
「愛してるよ。」
恍惚としたその瞳に魅入られ、また、私は動くことができない。
自我を保ったまま最後に見たのは、彼の昔のような無邪気な微笑みだった。