9. 小さな宴会(2)
酔っぱらいって、お互いが話しが通じてるようで、通じてない~ってしたかった。
酒を飲む5人が、ほろ酔い加減になった頃。
イザヨイは、疑問に思っていた事をシュンとシェリルに聞いてみることにした。
「ところで。リヴィオラは、とてもイザークに懐いているようだけど・・・どうしてなの?」
「そうね、うちのヴィーはイザークに懐いているわね。・・・・あっ、ヴィーっていうのはぁ、リヴィオラの愛称よ。可愛いでしょう?うふふふ・・・・ちなみにぃ、下の双子は、ヨシュアが”ヨシュ”で、ヒイロが”ヒロ”なの。やっぱり、カワイイ!!うちの子、最高ーー!!」
シェリルは盛り上がっています。
「そうだね・・・・・俺にはあんまり、甘えて来たりしないのに・・・!イザークには、何だか、甘えたりしてるよねぇ・・・俺、ヴィーのお父さんなのに!時々、生温い目で見られたり、すごく他人行儀にされたりすることがあるのに・・・・・ヴィーは、”私は大きくなったら父様のお嫁さんになるの!”っていう、娘を持つ父親のお約束的な事も言ってくれたことないんだよ?父様悲しいよ!」
シュンは凹んでいるようです。
シェリルは”ヨシュとヒロは、大きくなったら母様と結婚するって言ってくれたことあるわよ~”とシュンに追い討ちをかけている。
「そうだ!リヴィオラは俺とイザヨイの膝の上に乗って食事したりしないじゃないか!」
「いや、ロイナス。さすがに膝に乗っての食事は・・。リヴィオラも居心地が悪そうだったよ?」
「あら、それは、椅子の数が足りなかったし、それを理由にヴィーが台所で立ったまま食べようとしたから、イザークが気を利かせてくれたのよね?双子のヒイロとヨシュアは、一人ずつでももう親の私達の膝上には余る体格になってきてるし・・・・・・ところでロイナスはヴィーを膝に乗せたかったの?」
「リヴィオラは、俺とイザヨイに丁寧に接しはするが、笑いかけたりしないし、ほとんど口も利かないじゃないか・・・・何でなんだ・・・ずるいぞ!イザーク!」
ロイナスは、理不尽な憤りを向けた。
しかし、イザークはスルーした。
「・・・シェリル、ロイナスの言うことは気にしないで下さい。酔いが回って話しの内容が・・・何か残念な感じになってきているよ・・・・いいじゃないか、ヨシュアとヒイロにはもてていたんだから・・・そりゃあ、僕も気になるけどね。」
「あら?イザヨイも?う~ん・・・ヴィーがイザークに懐いてる訳ねぇ・・。そういえば、ヴィーは、私の父にも懐いているわね。でもそれは、父がよくギルドの仕事とかに連れて行ったり、魔術を教えたり・・・色々教えてくれたりしてるからだと思ってたんだけど。考えてみれば、街の方のギルドの厳つい冒険者にも可愛がられているわ・・・・・・・・やだ、ヴィーったら、筋肉好き?」
「筋肉?僕だって冒険者だよ?筋肉なら、それなりにあるよ?何で、筋肉があって、父親である僕には懐いてくれないの?」
「・・さあ・・・?」
ますます、追い打ちをかけられ、更に凹むシュン。
「き、筋肉なら俺だって、それなりに有る!」
「ああ、ヴィーの好きな筋肉基準が私の父なら、ロイナスはヴィーの基準値以下ってことなんじゃない?・・・・それよりもヴィーって、綺麗な女の人は大好きでも、綺麗な男の人は・・・苦手かも、っというか、嫌いかも。」
「綺麗な男が嫌い・・・・?それは、喜んでいいのか、悲しめばいいのか・・・・」
「・・・・そうだね・・・」
自分たちが綺麗な男に分類されることを自覚しているロイナスとイザヨイは、複雑そうな顔をしていた。
「えっ?じゃあ、僕もヴィーにとって、綺麗な男なのかな?」
「安心して、それはないわ。」
シェリル、更に速攻追撃。容赦がない。
「・・・・シェリル・・・」
あ、シュンが泣きそうです。
「だって、シュンは、綺麗なんじゃないのよ?可愛いんだから!それでいいの!」
「えっ・・・・?うれしいけど、ものすごく微妙だな・・・それ・・・」
「いいの!ヴィーも言ってたわよ?可愛いは正義だ!って。」
「・・・・・そ、そう・・・・・」
シュンは、気づいていない。
シュンを可愛いと思っているのは、シェリルであって、娘のリヴィオラではない。
「可愛いは正義・・・・・・・・そうか、筋肉と男の可愛さか・・・・一理あるな。」
何やら、シュンはやる気が湧いてきたようです。
「・・・筋肉と男の可愛さ?・・・それがあれば、リヴィオラは僕の膝にも乗ってくれたかな・・・」
羨ましかったんですか?イザヨイさん。
でも、断固拒否されると思われます。
「あらあら、うふふふ・・・シュンも酔ってきたみたい。ものすごくヘタレ親父発言かましだしたし・・・・ところでイザヨイ?膝に乗せるのって双子はどう?あなたなら左右に一人ずつ乗せるだけならできるわよね?見た目的にも、何か別な扉が開きそうな気がして・・・・ステキかもぉ・・・」
「「「「・・・・・・・・」」」」
シェリルの言葉に、シュン・ロイナス・イザヨイは無表情で彼女を見ていただけだった。
所々妙な発言が各々から漏れてきている。
溜息を一つもらしたイザークから強制終宴が告げられた。
「皆、完全に酔っぱらいだ。これで終いにする。いいな?」