8. 小さな宴会(1)
ロイナス達は17歳ですが、成人しています。
この世界は成人年齢を16歳と設定しています。
(なので、未成年の飲酒を推奨してるわけではないですよ。)
リヴィオラ達の家で、ささやかながらロイナスらの歓迎の夕食会の後、子供達はお休みなさいのキスをして、ベッドの住人となった頃、大人達はゆったり酒とを交わしていた。
「それにしても、イザークはともかく、ロイナスとイザヨイが貴重な初めての休暇で、うちを訪ねて来てくれるなんて思わなかったわ。」
「え?そう?」
「ええ、そうよ。自分の実家に帰郷するのが普通でしょ?」
「・・・それは、こんな長期の休暇でもない限り、シェリルを訪ねることが出来ないと思ったから。」
「ふふふ。嬉しいわ。」
「会うのは、シェリルがロガリア学院を講師を辞めて以来だから、2年・・・半近くなりますか?」
「シェリルには、講師と生徒の枠に拘らず色々世話になったから・・・一度はきちんと礼を言いたかったのもあるんだ・・・・それと、なぜ突然講師を辞めてこんな辺境に引っ込んだのか理由を聞きたかった。シェリルの薬師としての実力なら王都に・・・中央にいても十分やっていけただろうに・・・」
「あら、辺境とは失礼ね。否定はしないけど。私の故郷でもあるのよ?私の父もここに居るしね。」
そんな事では納得できないとロイナスとイザヨイは、じっとシェリルを見る。
「・・・・う~ん。理由は、色々事情が重なっただけなんだけどなぁ。あの頃は薬屋を営んでいた知り合いの所に間借りさせてもらっていてね。
私とシュンが仕事でいない間の子供を見ててももらってたりもしたのだけど、その人が引っ越すことが決まって、次に住む場所と子供の世話をお願いできる人も同時に探したり・・・・ってそれなら、父の居るジオターク村に帰ろうって事にしたのよ。」
「借家なら、中央でだって探せたろう?子供の世話をする人だって・・・」
「ロイナス。中央で家を借りたり、人を雇って子供の世話してもらうって、どれだけお金がかかると思ってるの?そりゃあ、私が薬師として店を構えれば、シュンが仕事に出ても、子供は私がみれるわよ?学院の臨時講師は出来ないけど。だって、臨時講師でも、生徒の演習とかで何日も家を留守にすることになるわ。薬師本人が不在だとか、連絡がとるのが難しい薬師の店なんて誰が信用するの?それに留守にするたびにその間を頼む人を捜すの?でも、それじゃあ、時間的にも、金銭的にも余裕がなくなるし、なぜ、そんなにまでして中央に家を借りないといけないの?意味ないじゃない?私の仕事と子供達だったら、私は子供達を優先するわ。」
聞いている方が息切れしそうな勢いで、反論した。
「・・・旦那さんがお子さんを見るのはダメなんですか?」
「ダメじゃないけど、シュンは冒険者ギルドで仕事を受けてるのよ?時には命懸けの仕事を。休みの時はちゃんと休んで欲しいわ。疲れが残ってる状態で、仕事に行って、そのせいで怪我したり、死んじゃったりしたら・・・イヤ。そんなことになったら、私、生きていけないわ・・・」
あれ?子供たちは?
「シェリル・・・そんな風に思っていてくれたんだな・・・・うれしいよ。」
「当たり前じゃない。シュン・・」
ついさっきまで、真面目な話しをしてたよね?
なんで、急に手を取り合って、見つめ合ってるの?
見つめ合ってる目が、キラキラしてるよ?
空気が桃色になりそうだよ。
「ところで!話しは変わるけど!聞きたいことが、まだ、あるんだが!」
甘い雰囲気に突入しかけたところを阻止しようと慌てて口を挟んだが、2人は”え~?これからなのに~”と言わんばかりに不満そうだった。
そんなの事は、2人っきりになってからにしてくれ!
こんな辺境にまで来て、他人のイチャイチャなど見ても面白くないし、自分達は砂も砂糖も吐きたくない。。