6. リヴィオラとロイナス(2)
6話目です。
キラキラしいのと乙女の敵を警戒していたリヴィオラだが、ふと先日母親から、近々中央からお客が何人か来るかもしれないと言われていたのを思い出した。
色々脳内で突っ込んでいたので、思い出すのが遅れたらしい。
改めて、貴族らしい2人を見てみた。
母親は言葉足らず・・・説明不足のようだった---------忘れた?いや、わざと?
「やあ、イザヨイ。ああ、そこにいるのがリヴィ嬢だと思う・・・多分。」
「・・・・多分って、君・・。」
(お互いの自己紹介もまだなのに、何勝手に人の名前を縮めて愛称っぽく言ってんの?ああ?許可してねーよ!)
心の中とはいえ、段々言葉使いが乱暴になってしまってきている。
どうやら、リヴィオラにとっては、2人ともあまり好きなタイプではないらしい。
しかし、2人は、本当に母の言っていたお客のようだ。
リヴィオラは開いていた本を徐に閉じて、すっと立ち上がり、静かに淑女の礼をとって見せた。
「!・・・?・・・・何故、何も話してくれないのかな?・・・・もしかして、口がきけない・・・とか?。」
ロイナスと呼ばれた青年が、怪訝そうに呟く。
イザヨイと呼ばれた青年は、困ったように首をかしげた。
彼女が未だに話さないのは、貴族らしい2人から話す許可がおりないためなのだが、そんなことは青年2人には分かるはずもなく、困惑している。
微妙な膠着状態がちょっときつくなって疲れてきた3人は、誰か何とかしてくれないかな?と他力本願なことを考えていた。
「ロイナス、イザヨイ。リヴィオラは見つかったのか?」
次にリヴィオラを捜しに来たのは、同じく騎士の制服を纏った者だった。
声が聞こえたと同時に、何やら空気が張り詰めた気配がする。
ピシっとか、パシっとか音が鳴っている幻聴さえしているようだ。
その者は、背が高く、低い声、銀髪に銀の瞳を持ち、顔は整ってはいるが、鋭すぎる眼光が周囲を威圧する。
まるで、恐怖の魔王が体現したが如く・・・・・・怖かった。
彼の声を聞き取ったリヴィオラは、プルプルと小刻みに震えていた。
その様子を見た2人の青年、ロイナスとイザヨイは、はっとした。
自分達にさえ萎縮?してしまっている様な少女が、視覚的にも精神的にも、もしかしたら感覚的にも恐怖倍増、更に倍であろう、この恐怖の魔王に相対することになったら、失神、更に恐怖のトラウマなってしまうと懸念した。
それだけは避けねばと、リヴィオラの視界を遮るように動いた。
ここら辺は、例え庶民であろうとも力を持たない婦女子は守るべき対象なのだという常日頃から叩き込まれている騎士としての教義の賜物かもしれない。
相手は、知り合いみたいなのに。同僚らしいのに。
・・・・・・・・は、置いておく。