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理不尽な!?  作者: kususato
59/148

59. ロガリア学院祭 (1)

59話目投稿です。

 今日からロガリア学院祭が3日間開催される。


 初日の今日は朝から生徒たち、教師たち、屋台等の業者たちで既に賑わっていた。

 学院祭では、生徒たちの親兄弟、王都中央の住人たち、国の重鎮たちが訪れることになるので普段の何倍もの人で溢れることになる。

 が、花形の武闘大会の本選・決勝戦が2日目3日目なので、初日はそれほどでもない。

 それでも、いつもより多い事に変わりはない。


 魔道具科の生徒たちは、余興の1回目2回目の「ミルトル」の設置を既に終えており、自分たちの魔道具を展示してある教室に集っていた。


 

 「ヴィーって、その格好で武闘大会に出るの?」

 「え?そうだけど・・・どこか可笑しい?フローラ?」



 ヴィーのしている格好は、指先の出た黒いグローブを両手に付けてはいるが、ゆる目のチェニックとベルトとズボンとブーツに胸当てと魔道具科のマークの入ったら濃い茶色マントという、マント以外は冒険者ギルドの仕事をする時の動きやすいものだ。

 ただ、服には何箇所かポケットがあり、その布地に強化魔法陣と拡張魔法陣が刻まれ、その中には魔術魔法陣が刻まれた布札が入っている。



 「おかしくないけど・・・・何だか普段より一層凛々しいわ。」



 フローラの言葉に周りの子も、うんうんと頷き、胸の前で手を組んでうっとりと同意している。


 武闘大会で対人戦をやることでいくらか気を引き締めているヴィーは、普段より表情も引き締まっているせいか雰囲気も少し違うらしい。


 だが、そうと意識していないヴィーはそう言われても困ってしまうのだが、一応褒められているものと判断し、微笑んで礼を言っておいた。すると、



 「・・・・・・・・・ヴィーったら・・・・!」



 と言って、魔道具科の女子生徒たちが顔を赤らめで悶えていた。

 そんな様子を男子たちは生温い目で眺めている。


 訳がわからない、とヴィーは更に困惑する。



 暫くすると予選の組み合わせが発表された。


 1年生の組み合わせは以下の通り。

 予選  第1試合 23班 対 単独1

     第2試合  7班 対 45班

     第3試合  8班 対 30班

     第4試合 16班 対 18班 




 なんだ、この単独1って。

 確かに班ではないけども。

 



***************************************


 学院祭の開催時刻が近づき、大講堂に生徒始め人が続々と集まって来ている。

 その中には、休暇を利用してやってきたロベルトたちの兄のロイナス、イザヨイ、イザークの姿もあった。



 ざわざわとした喧騒(けんそう)の中、学院長が姿を現すと一斉に喧騒が止み静寂に包まれる。


 学院長はゆったりとした足取りで壇上に上がり、集まった人々に高らかに学院祭開催を告げた。



 「これより、国立ロガリア学院、第32回学院祭の開催を宣言する!!」



 この一言を受け、大講堂に大歓声が響き渡り、その興奮と共に生徒たち、来客たちは思い思いの場所に移動を始めるのだった。



 その騒ぎを横目に自分たちの周りに遮音結界を張って、これからどうするか話し合う3人がいる。


 「さて、1年生の予選まで時間があるがどうする?激励にでも行くか?」

 「予選だよ?それは明日にして、今日はこっそりあちこち見て回りたいな、僕は。」

 「そうだな、展示してある物を見て回っても良いと思うが?」

 

 ふむふむと学院祭のしおりを見ながら話していると、遮音結界に干渉されたので術を解き、そちらを見ると、魔道具科1年主任教師パスカルが立っていた。


 「よう、久しぶりだな、イザヨイ。どこ見て回るのかわからないが、武闘大会前の会場でうちの魔道具科1年が担当した余興もあるんだ。そっちも見てやってくれよな!結構可愛いからさ!」


 「分かりました、期待してますよ。」


 短い会話をした後、パスカルは手を振りながら去っていく。

 「知り合いか?」

 「学院の先生だよ?魔道具科のパスカル先生だ。僕たちの頃は、新任だったから君たちは知らないかもな。」



 イザヨイ、ロイナス、イザークの3人は懐かしい顔に時々会いつつ、パスカルの勧めてくれた余興を見ようと、屋台で食べ物を物色した後に武闘大会前に予選会場に行くことにした。



****************************************




 時刻は武闘大会予選開始より少し前、会場は予選を観戦しようという人々が集まって来ていた。

 そして出場者は、予選で使用する武器を選択し、控えの椅子に座っている。

 武器の選択といっても、基本は木剣。

 剣を使わない者は、同じ長さの棒を選択するのみである。


 


 暫くすると、パーッパーッパーッとラッパのような音が流れ、武闘会場横に張られていた白い幕の前に文字が現れた。



 第32回ロガリア学院祭

 初日余興担当

 魔道具科1年生一同



 そう、(つづ)られた後、すうっと文字が消えて行き、軽快な音楽と共に魔道具科のマントを羽織った女子生徒の後ろ姿が移し出される。



 座っている者の少し上あたりに浮かんでいる立体的な映像。


 聞いたこともない音楽と歌と見たことのない踊り。


 見ている者は、呆気に取られ、かなりの人数がいるのに誰も声を発しない。



 曲が中盤に差し掛かり、曲中にパアンと一層大きい音が鳴り響くと、同時に画面から席の方まで花びらが舞ったかのように見えた。

 その瞬間、映像には華やかな衣装に変わった先ほどの3人と、新たに色違いの衣装の4人が加わって映っていた。



 「「「「おおおぉぉぉ――――――――――――――――――!!!!」」」」

  

 

 可愛らしい女の子の可愛い踊りに色めき立つ男性たち。

 反して華やかなあの衣装はどこで作っているものなの?と別の意味でどよめいている女性たち。



 1回目の魔道具科の余興は大成功だと言えよう。



 ヴィーは密かに控えの椅子に座りながら小さくガッツポーズをした。



 1回目の余興が終わったそのすぐ後、先ほど映像に出ていた彼女たちが近寄って来て、


 「「「「ヴィー!!頑張って――――――!!!」」」」


 黄色い声援を受けた。

 気持ちが嬉しくて手を振ったら、周りの男共から激しい嫉妬の目で見られた。


 魔道具科の彼女たちが引けると入れ替えに、魔道具科のクラウスを除いた男子たちが近寄って来て、



 「「「「ヴィー!!頑張って――――――!!!」」」」



 野太い茶色い声援を受けた。

 取り敢えず手を振ったら、今度は周りの男共から激しい哀れみの目で見られた。


 どっちなんだ。



 それにしても、何がしたかったんだ?みんな・・・・・・。


 

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