49. ヴィーと「ミルトル」
49話目投稿です。
マイカ姉が北区から帰って来て、思い掛けず白飯を食べる機会に恵まれ、マイク兄の卵かけご飯に感動しつつ美味しくいただく今日この頃。
私の映像と音声を取り込む魔道具の魔石も、”ミルトル”と無事名付け終えて、ロガリア学院の評価提出しました。
(私のネーミングセンスの無さは、マイク兄とマイカ姉にそのままシンプルだねとニヨニヨされずとも充分解っているから!これでも、頑張って考えました。色々と!・・・・これが精一杯なんだよ~。)
そして、悲しい、厳しい現実が私を待ってました。
「ミルトル」 作成者 魔道具科 1年 リヴィオラ・ショーノ
魔道具科評価 15 (20点満点中)
薬学科評価 10 (20点満点中)
騎士科評価 10 (20点満点中)
戦士科評価 10 (20点満点中)
ロガリア学院長評価 15 (20点満点中)
特別評価 0 (20点満点中)
(ラフューリング王国魔道士長代理 ジェイド・タイ・ル・リーズン)
総合評価 60/120
評価提出の成績が、返ってきました。
総合評価が60点未満は、不可となり、再提出。
再提出できなければ、全体の成績がマイナス評価になる。
再提出しても総合評価が60点未満ならやはり全体の成績がマイナス評価になる。
次で挽回できなければ落第もありうる。
私は60点・・・・ギリギリ・・・・可。
しかも、なんでしょうね?この特別評価の”0”。
国にとっては評価に値しないってことなの?これ。
国にとっては全く必要じゃないってことなんだね?これ。
私は自分の魔道具の評価結果を受け取って、しばらく放心してしまった。
「おい。ヴィー!しっかりしろ!」
何やら遠くの方から私を呼ぶ声と、笑い声がします。
「くふふふふふふふふ・・・・」
失礼。笑っていたのは、私でした。
「ヴィー・・・・大丈夫か?」
心配そうに声をかけてくるのは、魔道具科1年主任教師のパスカル先生だ。
「大丈夫です、パスカル先生。」
「いや、でも、お前・・・・・笑ってたぞ?」
「はい、ちょっと嬉しくなって笑ってしまいました。」
「・・・・・・・・・本当に大丈夫なのか?」
「はい。」
「あまり、評価結果を気に病むなよ?」
「別に気に病んでませんよ?・・・ああ、私が国の評価が”0”ってことを気に病んでいると思っているんですね?先生?」
「・・・・・・・」
パスカル先生の顔は、いつになく本当に心配そうだ。
にっこり笑って、自分の席に戻った。
他の子の評価結果を渡しつつ、時折こちらに先生が視線を送ってくる。
そんなに心配しなくてもいいのに。
あまりの低評価にちょっと放心してしまったが、可だろうが優だろうが再提出、落第評価に繋がならなければ良い。
確かにこの先私の魔道具の”ミルトル”は国に何の保護は受けられない。
いや、この先私の魔道具の”ミルトル”は国に何の干渉も受けないのだ。
それは例え王族だろうと口を挟めない。国に仕えている貴族もまた然り。
どんなに改善されようが、干渉する権利を国は放棄した証が”0”評価。
これは決定事項。
後からは覆らない。
たかが学院の一生徒が作った物に対してかなり大袈裟だけど、これに関しては例外はない。
「ふふふふっ」
しかし、学院からはギリギリとはいえ合格を貰っているのだ。
自分のみで”ミルトル”をどの方向に持って行っても自由になった。
誰に売るかを決めるのも私だ。
学院を卒業してからだけどね?
考えようによっては、怖い事でもあるが同時にすごい事だとも思う。
使い方、改善次第では、軍事利用だって出来ると思うけど。
特別評価の担当の人は気がつかなかった。
良かった。
魔道具科の課題の評価提出は、結構良い点数を貰ったから。
何も問題はない。
一生懸命作った物が、評価する価値がない物と判断された悲しい事に代わりはないけれど。
”ミルトル”は主に娯楽方向で、伸ばしていきたいからね。ふふっ。
そんなこんなで評価提出が終了し、ロガリア学院の学院祭まで1ヶ月をきりました。
魔道具科の女子たち、スイゲツ、ロベルト、ルーフェス達は思っていたよりも早く覚え、踊れるようになり、こちらは既に映像を撮り終え当日再生するだけの状態となっている。
しかも、スイゲツ達は女子たち用の可愛い?系まで覚えて踊り、映像を撮りこんだ。
スイゲツはノリノリで、ロベルト様は妖しく微笑みつつ、ルーフェスは眉間にシワがちょっぴり寄って表情がこわばっていたが、意外と良かった気がする。
私の違和感が働きを拒否したのかと焦ったが、女子たちにも好評だったので安心した。
この時、クラウス始め男子たちの評価提出の研究が佳境に入り、2つ目かっこいい?系の踊りは3人とヴィーの4人の映像となった。それは、皆で検討した結果なので異論はないようだ。
他の子の魔道具も使用し、衣装替えしたり、ちょっとした舞台演出してみたり・・・・何だか結構すごい事になってしまった。
早々と踊りを覚え、さっさとその踊りを撮り終えてしまった3人は、既にこの後の6回目の実地訓練準備と学院祭に向けての準備に取り掛かっているため、もう魔道具科にはあまり来ていない。
そして今撮ろうとしているのは、魔道具科の打ち上げ用で、学院祭の余興には出さない予定の物。
実は撮らなくても問題は無い物なのだ。
男子たちも遅ればせながらどうにか可愛い?系の踊りはちゃんと覚え、踊れるようにもなった。
なのに、何が問題かというと。
「俺たちだって、スイゲツ様と一緒に踊りたいんだ!」
「僕たちだって、ロベルト様と一緒に踊りたいんだ!」
「「俺(僕)たちだって、ルーフェス様と踊りたいんだ!!」」
魔道具科1年生男子、クラウスを除く7人。
「お前ら・・・・」
クラウスは、呆れている。
そりゃそうだ。
要するに、男子たちはスイゲツ、ロベルト様、ルーフェスと一緒に映像に残りたいと駄々をこねているのだから。
「いい加減にしなさいな。スイゲツ様たちには充分協力して頂いたのよ?」
魔道具科可愛い筆頭フローラが駄々こね男子を諌める。
「ヴィーだって、これからすぐに実地訓練の準備もしなくてはならないのに!」
ああ!フローラ!君って優しいね。
そうなんだ、だって明後日からなんだよ、6回目の実地訓練。
「それに、あなた達は評価提出も間に合って、結果もよかったけど!ヴィーは評価提出・・・可哀想なことになったのよ?これ以上ヴィーに負担をかけるつもりなの?!」
ああ、フローラ・・・庇ってくれてるのは嬉しいけど、微妙に嬉しくない・・・・。
「「「「・・・・・・・・」」」」
うっ!
さっきまでの駄々こね男子たちが、無言になって可哀想な子を見る目で私を見てきた。
私は可哀想な子なんかじゃない!
そんな目でこっち見んな!?
結果、苦肉の策として、魔道具科全員で踊り、スイゲツたちの踊りを重ね合わせたり、切り取ったりしてあたかも一緒に踊っているように・・・合成・・・いや、編集?した。
私はどこの動画職人なんだ!!
何だか悔しかったので、3つの魔石に踊りの前にテロップのような紹介も盛り込んだ。
更に歌詞職人みたいなこともやってやりたい衝動に駆られたが・・・・・・・やめておいた。
あとで確認のために見直したら、まるでプロモーションビデオのように仕上がっていて驚いた。




