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理不尽な!?  作者: kususato
41/148

41. 魔道具科 (2)

41話目投稿します。

 


 「で?どうするの?」


 パスカル先生が連絡事項を伝え終えて教室を出て行ったあと、ふわふわな柔らかい金髪で、翡翠色の瞳を持ち、ぽにぽにしたくなる感じのフローラが魔道具科1年の皆に問いかけたあと更に続ける。


 「1.未だに起きないクラウスをたたき起こし、余興担当長になった事だけ教えて自分たちの研究に戻る。      

  2.クラウスが起きる前に他の皆である程度決めて、そのメモだけ残して自分たちの研究に戻る。

  3.このままクラウスに丸投げして自分たちの研究に戻る。さあどれ?!」


 可愛らしい容姿、可愛らしい声でフローラは、結構酷い三択を上げ皆に投げかけた。



 「なかなか鬼畜な三択ね?では・・・4番、クラウスの額にお星様を描く!」

 「俺は5番、クラウスの(まぶた)に目を描く!」

 「僕は6番!クラウスの頭に大きな真っ赤なリボンを付ける!」

 「まあ、クラウスには白いリボンよ!」


 「・・・・分かった。6番変更!クラウスの頭に大きな真っ白なリボンを付ける!」

 「7番、クラウスが起きるまで皆でクラウスを囲んで寝る!」


 「う~む、どれも甲乙付け難い・・・・」


 「「「「・・う~ん・・・・・」」」」


 寝ている彼を起こして余興について話し合うという、普通の選択肢は彼らから生まれることはなかった。





 「おはようーみんなーひさし・・・・・うおあっ!?・・・・なにこれ?」


 遅れて教室に入ってきて女子らしからぬ声を発したヴィーが見たのは、クラウスという男子の周りで屍累々(しかばねるいるい)よろしく寝ている?15人の魔道具科1年のみんなだった。

 

 屍累々よろしくという言葉は合ってないのかもしれないが、そう表現したくなるような光景だった。


 

 ある者は大きく”毒”と書いてある大きい瓶を抱えて項垂(うなだ)れて足を投げ出し座っている。

 ある者は紐を首に巻いて絞殺死体っぽく。

 ある者は座った体勢で(ほうき)を脇に差し抱え、口から血糊(ちのり)を垂らしている。


 ある者たちはただ折り重なって床にいる。

 これは一番下の者が苦しそうだ。


 ある者は、うつ伏せで伸ばした指先でダイイングメッセージを残していた。

 ダイイングメッセージの内容は、”赤いスライムに栄光あれ”。

 チョークの粉で書いたらしい。

 赤いスライムが好きな事だけは分かった。

 

 

 でも意味が分からない。



 クラウスの周りのみんなは、何故か思い思いに死体に(ふん)していたのだ。


 「・・・・・・・・・・・・・・」

 


 意味がわからない、みんなの意図もわからない。

 どうしよう?

 ヴィーは迷った。



 この中に自分も混ざるか。

 みんなを起こしてクラウスを放置するか。

 クラウスだけ起こして、他を放置するか。

 見なかった事にして教室を出て行くか。



 どうしてだろうか?

 迷っていても、両方起こすとか先生を呼びに行くとかいう選択肢はないようだ。






 ヴィーは机に突っ伏しているクラウスの体をそっと起こし椅子の方に(もた)れ掛けさせた。


 自分の履いていた右足のショートブーツを脱ぎ、靴底の汚れを軽く落とす。

 クラウスの前の空いた机にうつ伏せに乗り上げ、脱いだショートブーツを自分の背中に靴底を下にして乗せ、手足の力を抜いた。




 ヴィーは”自分も混ざる”を選択した。


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