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理不尽な!?  作者: kususato
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36. ヴィーとマイクとマイカ

36話目投稿します。

 

 

 マイクとマイカは、ヴィーの一家が北区のターク村にいる母方の祖父の家の近くに引越して来た時以来の知り合いだ。


 祖父はヴィーに、冒険者ギルドでの仕事の仕方、野営方法、魔術の使い方、闘い方を教えてくれた師匠でもある。仕事に関してはとても厳しい師匠だった(特に北区の魔獣は強い為、生命の危険が半端ないくらいあるので当然だ)が、普段は孫に甘甘なジジ様だ。


 その祖父にヴィーと同じく師事をしていたのが、マイクとマイカだった。


 所謂、兄弟弟子。

 マイクとマイカをどこからか拾ってきたのは父であるシュンだが、2人を鍛えたのは祖父だった。


 マイクとマイカは12歳になった時に、ロガリア学院に入るため王都中央に行ってしまっていたので、本来ならあまり会うこともないのだが、事あるごとに北区の祖父のもとへ、2人が来ていたのだ。


 騎士となったマイクに会うことは激減したが、仕事のついでとばかりにマイカは度々北区のターク村へと遊びに来てくれていた。


 そして現在は、ヴィーもロガリア学院の生徒なり、マイクとも会う回数が増えてきており、マイカは王都中央に来る度にヴィーに会いに来ている。


 なので今でも兄弟子、姉弟子と2人を慕っているし、2人もヴィーのことを妹弟子として可愛がってくれている。






 時は、ロイナスとイザヨイとイザークにマイクが会う少し前に戻る。


 スイゲツとルーフェスが翌日のお弁当の約束を取り付けて帰った後、突然ヴィーの部屋にマイクとマイカが訪ねてきた。



 ぐったりしたマイカをおんぶしたマイクに驚いたが、いつもは凛々しくカッコイイ、頼れるお兄様(・・・)な感じのマイカ(・・・)が、不気味に笑いながら


 「ククククク・・・眠い!しかし、こんな状態で眠りたくない・・・!風呂・・風呂に入ってから!死ぬほど寝てやる!!クククク!」


 と、ブツブツ喋っていた事にヴィーは、かなり動揺した。


 「何があったの?!マイカ姉!しっかり!お風呂なら私が入れてあげるから!」


 「・・・ヴィー?あれ?私の可愛いヴィーがいる・・・ヴィーが私を風呂に入れてくれるのか?そうか、ならばぐずぐずしてはいられない!」


 ヴィーを確認すると、マイカはマイクから降り、携帯していた武器らをテーブルの上に置くと、その場で豪快に服を脱ぎ捨て、風呂場に向かってしまった。


 「・・・俺が双子の弟とはいえ、躊躇(ちゅうちょ)もしないで脱いじゃうんだ、マイカ・・・お、男らしいよね?」


 マイクは疲れた笑顔で、フォローでないフォローをする。

 こちらも大分疲労が溜まっているようだ。


 「マイク兄、私は速攻マイカ姉を風呂に入れてくるから、座っててね!」


 ヴィーはマイクにそう告げると急いで風呂場に移動した。




 


 マイカを魔術で風呂に入れ、自分の替えの寝巻きを着せて寝台に寝かせると。


 「ああ、ヴィー、君に会えてとても嬉しいのに、今の私はものすごく眠いんだ・・・」


 マイカのヴィーに対して言う言葉がいちいちタラシくさい。

 ヴィーは、これはもうマイカが眠くてもう限界突破していると理解した。


 「うん、わかってるよ?私もマイカ姉に会えてすごく嬉しい。だから、ゆっくり休んでね。朝ごはんを一緒に食べよう?」


 「ありがとう、私の可愛いヴィー・・・・・・・・・・・・お休み。」


 ぐー。

 寝ました。

 多分朝まで起きません。

 朝になっても起きないかも。


 マイカを寝かしつけて、居間に戻ってきたヴィーはマイクに報告する。


 「マイク兄?マイカ姉は寝たよ?」

 「そう?ありがとう・・・・・タラシくさかった?」

 「うん、タラシくさかった。眠気が限界突破してたんだね?今爆睡中だよ。」

 「俺が期限きっつい仕事お願いしちゃったんだ・・・・ヴィーもごめんな?突然来ちゃって。」

 「それは全然かまわないから、気にしないでよ。この部屋だって、マイカ姉の伝手(つて)で借りられてるんだもん。」


 「うん、ありがと。」

 「マイク兄もすごく疲れてるみたいだよ?もう1台寝台を出すから、マイク兄も寝る?」


 「・・・いや、俺これから、もう一仕事あるから・・・って、寝台を出す?」

 「うん、予備の家具とかをファイリングしてあるんだ。すぐ出せるよ?」


 「・・・何だろう?不可解な言葉を聞いた気がする・・・家具をファイリング?聞き間違い?」


 「聞き間違ってないよ。ギルドの仕事とかで依頼主さんからたまに頂き物があって、でもすぐには使わないものとかを収納の魔法陣使って収納した物をまとめてファイルした状態にしてあるんだ。」


 「・・・うわ、部屋の模様替えし放題、引越しが楽そうだね・・・・・」

 「ふふふ、私のリュックの拡張・収納魔法陣のアレンジ版って感じかな?魔力を使わないでも収納してある物が個別に目で見て分かるってだけなんだけど。もう少し改良したいなと思っている物だけど。」


 (ふーん、着眼点が違うとそういう物を作ることになるのか・・・ヴィーにとっては生活面側からの発想なんだろうけど・・・視点を変えれば国としても使い勝手のいいものになるな。でも、気がついてないんだろうなー、ヴィーは。)


 ファイリングをする。

 この世界にない発想と言葉。


 拡張・収納魔法陣を使う魔術。

 物のデータを収拾し、束ねるカタログ。

 それらを組み合わせ、新たに構築した魔術(もの)






 ヴィーとマイクとマイカには共有している情報がある。

 秘密とは言えなかも知れないが、わざわざ言ってまわることもしない、という方が正しいかもしれない。


 マイクとマイカは、こことは異なる日本からある日突然訳も分からず来てしまった、異世界トリップした者。

 ヴィーは、同じく日本に住んでいた時の記憶と知識を持つ記憶もち。転生者。


 普通だったら、今の自分の中に見たり習った覚えのない記憶があるということは、混乱したり悩んだりするはずなのだが、幼い頃から少しずつ映画のような感じで夢に見続けたヴィーは”そういうもの”として疑いもなく受け入れていた。


 彼女自身は前の自分が何処の誰だったかという記憶はほとんどない。前の人が知り得た情報が記憶としてある、情報に基づき論理的に思考することができるだけだ。

 ただ、たまにジャパナイズな趣味・趣向に傾倒する事はあるが、本人は別にそれが嫌ではない。

 寧ろ、ちょっと楽しそうだ。



 状況的には微妙に違うが、同じ世界を知っているという事実は、マイクとマイカとヴィーが互いの信用信頼を得るのには、かなり有効に働いたのだろう。


 余談だが、ヴィーの父であるシュン・ショーノも異世界トリップ組だが、色々な葛藤は昔散々したせいか、既に時の彼方となり、完全に忘れた訳ではないが、時々厨二病な事を言ったりやらかしているだけになってしまっているらしい。

 そして、それをヴィーに目撃され、生暖かったり冷めた目で見られたり、時には阻止されたりしていた。





 「・・・・・・ねえ、ヴィー、今度ロガリア学院に提出しようとしてるあの魔石貸してもらっても良いかな?」

 「え?」

 「もしかしたら、使わせてもらう形になるかもしれないけど、ヴィーには迷惑かからないようにするし。使わないことになったらすぐ返すよ。だめかな?」

 「・・・学生が作ったものでは信用されないかもしれないよ?」

 「公に使うつもりはないよ。例えそうなってもヴィーには害がないように努力する。」

 「・・・・・・・・分かった。」


 「で、もう一仕事終えたらここに来るから、俺も泊めて?」

 「うん、寝台出しとくよ。」

 「お願いします!」


 「じゃ、魔石はマイカが持っていたサンプル借りてくよ。じゃあ、また後でね!」


 マイクはそのまま、部屋を出て行った。

 ヴィーは予備の寝台をどこに出そうかと考えた。

 自分はマイカのいる寝台で一緒で大丈夫。

 などと思考を巡らしていて、ふと気がついた。


 「マイカ姉が持ってたサンプル?もしかして、マイカ姉に一緒に踊って貰おうと思って渡したダンスサンプル?!・・・・・・・マイク兄ってば、私が写ってる魔石持ってったーーー!うぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!待って!待って!マイク兄ーーーーー!!」




 慌てて追いかけたが、マイクの姿はもう、見つからなかった。

 


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