34. 兄組+α (2)
34話目投稿します~。
「ところで、マイカは倒れてたのか?今どこにいるんだ?」
「え?あ、うん。知り合いの家に置いてきた。」
「「はあっ?!」」
ロイナスとイザヨイは西副騎士団長からの指名依頼で、マイクと共にかなりの無理を敷いたであろうマイカの処遇に驚きを隠しきれずに憤りを顕わにした。
「はあ?って何?何が不満なの?マイカに王都中央に家なんかないし、強行軍で突っ走って来たから宿なんて取ってない、俺はまだ用事が片付かない。こんな状態で他にどうしろってんでだよ?」
マイクの言う事は至極当然だ。
それ以上は状況的にマイクにはどうしようもないことも解る。
自分たちの問題で本来関わりのないマイクとマイカに、意図したわけではないが尋常ではない仕事量と速さを敷いたことに理不尽さと焦燥を感じ、それをどうにも出来ない自分たちに悔しさが込み上げてくる。
「マイク・・・・お前たちが奮闘していたのに、安易に物騒な方面で解決しようとしたことは謝る。だから、それ以上イザヨイたちを苛めてやるな。」
「本当に解ったのか?」
マイクは、イザーク、ロイナス、イザヨイを順番に見やる。
「「・・・ああ、すまん。悪かった。」」
「・・・・今ひとつ、信用できないな。なので、忠告しておくな?耳をかっぽじってよーく聞けよ?」
「「は?だから・・・」」
「騎士団と自分の実家の為を思うなら、変態プレイで恋人を死なすなんて行為は、やっちゃだめだ、やっちゃだめだ、やっちゃだめだ、やっちゃだめだ、やっちゃだめだ、やっちゃだめだ、やっちゃだめだ、やっちゃだめだって言ってるだろう!この脳筋どもーーーー!!」
3人に顔をグイと近づけて、マイクは言い放った。
「「「・・・う・・変態プレイ・・?」」」
「あれ?まだ、解んない?もう一回言っとくか!?」
「「「い、いや、もう充分解った!」」」
「だが、言っとく!今回は、相手を死なす行為は、やっちゃだめだ、やっちゃだめだ、やっちゃだめだ、やっちゃだめだ、やっちゃだめだ、やっちゃだめだって言ってるだろう!このスカポンタンども!!返事はどうしたーーーーーーー!!!」
「「「はい!やりません!申し訳ありません!!」」」
マイクの訳の解らない勢いに負けて、思わず全力で謝る3人。
「・・・・・・・・よし!!」
3人の態度にやっと納得したのか、満足気にふんぞり返っているマイクがいた。
「さて、報告書を読んでどうよ?」
自分で頼んだ料理をモグモグしながら、マイクが聞いた。
これ以前の重かったり、はしゃいだり、激しかったり?した雰囲気とは全く違った。
何というか、軽かった。
「うむ、イザヨイの話していた人物とは同じとは思えないな。」
「・・・・そうだね。僕も意外だったよ・・・人って見かけによらないな・・・」
「こんなのが領主の息子なのか?・・・いいのか?こんなで?」
「だよねー?ふざけてるよねー?」
マイクの姉の調べてきた内容は4人を脱力させるに充分な代物だった。
『西区 ダンダルト子爵令息 セッチン (20歳 男性)についての報告』
・ダンダルト子爵令息は、病弱ではないことが判明。
食べ物の好き嫌いが激しく、かなりの偏食である。
摂取するのは、酒と肉と甘味が大部分。
運動が激しく苦手で、散歩すらしない。
体力がないのは本当だが、不摂生な食生活と極度の運動不足が原因と思われる。
今現在は重い病気などはないが、将来的には確実になるだろう。
尚、この情報はダンタルト子爵令息かかりつけの治癒術師より得たものである。
(氏名は別紙参照)
・ダンタルト子爵令息は、性格が悪いことが判明。
自分の気に入らない行動を取ったり、言動をしたりする使用人を即、クビにする。
自分より顔が良かったり、頭が良い使用人を即、クビにする。
自分より顔が良かったり、女性にモテたりする友人を自分を被害者に仕立ててつるし上げる。
自分は頭が良いと自負しており、如何に自分より優れている人物をやり込めるかを考案し、実行することを喜びとしている。
ダンタルト子爵令息に被虐の性癖があるかとの問いに、元友人は加虐の性癖ならあると口を揃えて答えた。
・ダンタルト子爵夫妻には、もう一人息子がいるが、現在は同居していない。
ダンタルト夫人の実家に預けられている、年齢は10歳 心身ともに健康の模様。
尚、この情報はダンダルト子爵家の元使用人と元友人より得たものである。
(氏名は別紙参照)
・ダンタルト子爵令息は、出歩くことをしないため領民にあまり認知されていない。というか知らない。
・ダンタルト子爵夫妻に関しては良き領主として領民からは慕われている模様。
以上 ご報告させていただきます。
マイカ・バンブー
まず、報告書の題名を読んだだけで、マイクがゲラゲラ笑い出した。
自分で転写してきたのだろうに。
「何がそんなに可笑しいんだマイク?」
「ははははは・・・だって・・・せっち・・!・・・ひゃはははははは!多分、絶対、マイカも我慢出来なかったんじゃないかな?・・・だって、最初の、題名、以外、子息の名前、書いてないし!ああ、でも、ごめんなさい!人様の名前で笑ったりして!ツ、ツボに入っちゃって、ごめんなさい!アハハハハハハハハハ!お、俺、超寝不足でナチュラル・ハイなんだよーーーー!!」
3人には、マイクが何故こんなに笑い転げているのか解らない。
言ってる意味もところどころ解らない。
笑って理由を言わないマイクは放って置くことにした。
ちゃんと聞いてしまったら後悔しそうな予感がしたのだ。
読み進めていくに従って4人は徐々に、えー?なにこれー?マジでー?との思いに駆られ、力が抜けていきそうになった。
期限かっつかっつの指名依頼までされて探った人物の得た情報に、一番虚脱感を覚えたのはこの場にはいない、Aランクの冒険者マイカかもしれない。




