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理不尽な!?  作者: kususato
28/148

28. 兄と弟(1) 

28話目投稿です。

 


 ヴィーと話した後、再び学院寮のロベルトの部屋へやって来たスイゲツとルーフェスは思っても見なかった光景を目にしていた。


 「やあ、お帰り。スイゲツ、ルーフェス。」

 「お帰り、スイゲツ、ルーフェス、久しぶりだね。」

 「帰ったか。スイゲツ、ルーフェス、元気そうだな。」


 兄が増えてる。


 スイゲツの兄、イザヨイ・ナイ・ル・ホルド、19歳。

 ルーフェスの兄、イザーク・ウィステリア、19歳。


 が増えていた。

 いや、2人の留守中に来訪していた。

 視線を彷徨わせていると、ロベルトを見つけた。

 

 自分の兄ロイナス1人はスルー出来ても、さすがに兄組3人はスルー出来なかったらしい。

 大分消耗している。

 可哀想に、瀕死だ。


 (僕たちが帰ってくるまで兄組3人に色々いじられたんだな、ロベルト・・・)

 (ああ、ロベルトすまない!俺たちがもっと早く帰っていれば!)


 「スイゲツ?わざわざこうして足を運んだ、久しぶりに会った僕に一言もないの?」


 (わざと連絡なしで突然来たくせに、何か企んでるのか?イザヨイ兄様は。)


  眉間にしわを寄るのを堪えつつ、スイゲツは兄組3人に笑顔を向けた。


 「ごめんなさい、兄様たちが来てくれているなんて思ってもみなくて驚いてしまったんです。お久しぶりです、お会いできて嬉しいです。イザヨイ兄様、イザーク様。」


 「申し訳ありません。お久しぶりです。イザヨイ様、イザーク兄上。」


 次いで、頭を下げてルーフェスも謝罪する。

 こちらはまだ混乱しているようだ。


イザヨイは眼を細めて微笑んでいる。

 

 「まあ、いいよ。連絡しないで突然きたのは僕たちだしね。」

 「・・・・そうだな、すまん。」

 「実はな、3人で競争したんだ。」

 「競争?」

 「そうなんだ。俺は東騎士団、イザヨイは西騎士団、イザークは北騎士団に所属しているわけだが、俺たちの大切な弟たちは今、同じロガリア学院に入っている。そこで、俺たちは休暇を合わせて予め出発時間を決め置いて、誰が1番早くに学院に付き、自分の弟に会って言葉を交わすことができるか!を競争したんだ。」


 「「「・・・・・・」」」


 (((・・・くだらないことを・・・・)))



 「結果は、僕が1番、2番がイザーク・・・3番のロイナスはいまだにロベルトの抵抗にあって条件をクリア出来てないけどね。」


 「え?最初に学院に着いたのはロイナス様ですよね?何故、イザヨイ兄様が1番なんですか?」


 「ふふふふ、スイゲツ、ロイナスの話をちゃんと聞いていたかい?”誰が1番早く学院に付き、自分の弟に会って言葉を交わすことができるか”って言っただろう?」


 「・・・・あ」


 「わかった?学院に着いて”1番最初に自分の弟と言葉を交わした”のは、僕だよ、スイゲツ。」


 「そう、ロガリア学院に着いたのは1番最初だが、俺は未だにロベルトと言葉を交わしてないんだ。酷いだろう?」


 「東と西と北の騎士団宿舎からこのロガリア学院まででは距離が違うからな、学院に着く順位で競争しても不公平だし、クリア条件をつけたんだよ。」


 「それでも、かなりのハンデだと俺は思うがな。北騎士団宿舎からここまでどのくらいの距離があると思っているんだ?」

 「そんなこと言うけどイザーク、その北騎士団宿舎から来て僕らと大差ない時間でここにいる君には妥当なハンデだと思うよ。」


 ((イザーク様、すごい・・・・))


 「イザーク兄上、すごいな。」

 「走って、やっとだがな。」


 素直に感心して、尊敬の眼差しをルーフェスはイザークに向けている。

 それに対しイザークはルーフェスの頭をポンポンした。

 ほのぼのしている。

 ここの兄弟関係は良好のようだ。



 「ところで、ルーフェス。嫁、もしくは嫁候補は見つけたか?」

 「!」


 「ルーフェスは結構女の子にもててますよ?本人は気づいてないけど。」

 「スイゲツ!?」

 「ほう・・・・?だが、気づいていないとはどういうことだ?ルーフェス?」

 「ルーフェスは少し強面だけど、さりげなく女の子に優しくするからね。まだ憧れ程度みたいだけど、静かにもててるよ?」

 「え?俺?そんな事は・・・・え?」

 ルーフェスの顔がどんどん赤くなっていく。

 脈拍上昇。

 多量の発汗を確認。

 瞳孔も開き気味だ。


 「・・・・というわけで、モテてても女の子関係の話をするとルーフェスがこうなってしまうので、今のところは進展しようにもスタート地点にもたどり着けてません。イザーク様。」

 


 顔を両手で隠して俯くルーフェス。

 心なしかプルプル震えていいる。

 

 部屋にいる全員が生温い眼差しをルーフェスに向ける。



 「ルーフェス、お前はウィステリア家の男子としては、珍しく女性に恐怖を与える要素が少ないのだ。せめて、その初心(うぶ)すぎるところを最優先に何とかしろ。」


 「イ・・イザーク兄上・・・!」

 「いいか?最優先だ。何のために学院にお前はいるのだ?」


 主な理由は学業のためなはずだ。


 「そうだな、とりあえず、女性と普通に楽しく会話が出来るようにすることから始めてみよう。」

 「会話くらいなら普通に俺だってできます!」

 「ただ、恋愛方向なものになるとまるでダメになるんです。」

 「スイゲツーーー!!」

 最早、ムンクの叫びのポーズで、涙目のルーフェス。


 

 「何だ?ルーフェスに女性に対しての免疫をつける方法についての話し合いか?俺も混ぜてくれ。」


 ロベルトは、瀕死の状態から回復したらしい。

 


 


 

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