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理不尽な!?  作者: kususato
25/148

25. ヴィーと突発事故

25話目投稿します。

 


 3人と別れたあと、自分もサンドイッチで昼食を済まし、水分を補給し終えると、再び王都中央東門から外へと出て行く。

 仕事とは言っても主な目的は、お金を稼ぐためのものじゃない。


 夕飯のおかずだ!

 備蓄食料の確保だ!


 野菜は栽培したりする場所も時間もないので、買うしかないけれど、肉は狩れる。

 運がよければ、蜂蜜とか果物なんかも手に入れられる。

 お金を節約出来ることは、出来る時にやっておく。

 塵も積もれば山となるのだ。


 先ほどの岩窟の途中にあった森へと索敵魔術を展開しつつ走って行く。


 見つけた。

 ハニービーだ。


 気づかれないように後を付け、巣を見つける。

 索敵でハニービーがいる範囲を探り、眠りの魔法陣の範囲を決め、発動させる。

 静かに近づくとハニービーの巣から、持参した瓶へと蜂蜜を採取して行く。

 瓶がいっぱいになったら、静かに離れ、眠りの魔法陣を解除する。

 

 (また、よろしくね)


 と心の中で挨拶するに留める。

 殺さなくて良い時は、殺さない。


 森をさっさと抜けてしまうと、

 透明なスライムが現れた。

 透明なスライムが現れた。 

 透明な・・・・・以下略。


 現れたのは無属性のスライム30匹。

 この辺のスライムは30匹行動が基本なのか?


 何て考えているうちにぷよんぷよん合体し始めた。

 でも、私は全部合体するまでは待ったりしないよ。


 5匹ずつ合体したところで自分の武器であるクナイを6本放つ。

 まだ、小さいうちなら、物理的な攻撃で倒すことができるのが透明スライム。


 逆に属性攻撃は利かない。


 透明スライムが合体し終えて巨大になってしまうと、私の物理攻撃の力で倒すのはちょっと難しいのだ。

 大剣を軽々と振り回すルーフェスなら大丈夫そうだけどね。


 透明なスライムは魔石を残してドロドロと形を崩した。

 無属性の魔石を6つ回収。

 放ったクナイも回収、その場で洗浄・乾燥させる。

 使い捨てになんかにしない、これだって買えば結構な金額だから。


 しばらく索敵を続けていると、飛んでいるものが引っ掛かった。

 素早く移動して、身を屈めて辺りを窺うと、茶色と赤の羽を持ったまるまると太った鶏に似た鳥がいる。体長は60cmほど結構大きい。距離は、50mくらい。


 (時々しかお目にかかれないムクムク鳥だ!美味しいんだよね!・・・3羽いる)


 ヴィーはゆっくり静かに弓に矢を番え、目標を定め、一気に矢を放った。


 ばしゅっ!!

 バン!!

 バキバキっ!!!

 どん!!


 (えっ?何か聞こえる音がおかしくなかった?)


 訝しみながらも獲物を確認してみた。

 確かにムクムク鳥を狙って矢を放ったが、おまけがついていた。

 もう1羽のムクムク鳥が同じ矢に貫かれ、更にその下に・・・・・茶髪の人間がうつ伏せにのびていた。

 どうもムクムク鳥2羽の重さx加速の衝撃をくらったらしい。

 (なんて、まぬ・・・・げほげほ・・・間の悪い人だ)


 とりあえず鳥を除けて、生きているか確認した後、声をかけてみた。


 「もしもし、お兄さん、お兄さん。」

 「・・・・う・・・・うう・・・・げほっ、げほっ、げほっ」


 気がついたが、咳き込んでいる。

 どうやら、頭ではないところに当たったようだ。


 「大丈夫ですか?どこか、痛いところがありますか?」


 「うう、げほっ・・・・多分、だいじょ・・・ぶ・・」

 

 リュックから水筒を取り出して、コップに注いだ水を差し出した。

 「・・・・水、飲みますか?」

 「!・・・す、すまない・・貰うよ・・」


 お兄さんは、ゆっくり水を飲み干すといくらか落ち着いたようだ。


 「どこか、痛いとか、異常はありますか?」

 「いや、大丈夫だ。しかし、どうしたんだろう?走ってたら急に衝撃が来て・・・」

 「ああ、あの多分それ、私が矢で射抜いたそこの鳥にぶつかったんです。」


 「とり・・・・?」

 「はい、鳥2羽にです。」

 「・・・うわっ!じゃあ、俺は君が射抜いた鳥2羽が落ちてくる場所に走って行ってぶつかったのか!」

 「・・・そうみたいですね・・・・」


 そうか、自分で突っ込んできた形でぶつかったのか。


 「何て、間抜けなことを・・・・・すまない。迷惑をかけた。」


 「・・・・いえ、大丈夫ならいいんです。お気になさらず・・・」

 (さすがにここで、そうですね、とは言えないな。さっき、心の中で言いかけたけど、大丈夫。この人聞いてないしな!)


 大丈夫そうなので、ヴィーはムクムク鳥の血抜きを始めた。

 例によって、魔法陣で血抜きを促進させながら。


 「魔法陣・・・促進?・・」

 「え?そうです。血抜きって時間かかりますから。」


 話を聞くとこのお兄さんは休暇中で、王都中央のロガリア学院にいる弟に会いに行こうとしていたそうだ。

 弟さんは、騎士科の1年生。

 「昨日から明日まで、1年生と3年生は実地訓練で西区に出てますが・・・・」

 「え?そうなのか?まいったな・・・・」

 「でも、今日あたり何班かは帰ってきてると思います。」

 「・・・・もしかして君も?」

 「私は、昨日実地訓練は終えています。」

 「優秀だね・・・・多分俺の弟も仲間も優秀だから、帰ってきてると・・・・いいな」

 「・・・・・・」

 (いいなって希望的観測をいわれてもな。これは返事に困るなぁ・・・・)


 「ロベルトっていうんだが、知らないかな?仲間の名前は、スイゲツとルーフェスっていうんだ。あいつら目立つと思うんだけどな?」


 「!」

 (・・・・知ってます。今日の午前中にはこの辺に一緒にいましたしね。)


 「ああ、ロベルト様たちなら、存じてます。実地訓練も1番に終えられたそうです。ですので、学院寮にいらっしゃるのではないでしょうか?」

 (どこかに遊びに行っていなければね)


 「そうか!良かった!無駄足を踏まずに済みそうだ!ありがとう。」


 「いえいえいえ、お礼なんておっしゃらないで下さい。」

 


 その、ロベルト様のお兄様と王都中央まで一緒に行くことになりました。

 (ロベルト様のお兄様ってことは、フィルド侯爵家の長男じゃないかぁぁぁぁぁ!!怖いな!)






 「・・・つかぬことを聞くが、その鳥どうするんだ?」

 「食べます。」

 

 

 

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