2. ロベルト(2)
2話めです。
空気がどんよりしている。
現在、エリエンヌの両親のジオセット男爵夫妻と僕と僕の両親であるフィルド侯爵夫妻、国立ロガリア学院騎士科に通うロイナス兄上の7人でお茶会の最中である。
フィルド家のメイドが入れてくれたお茶はいつもながら旨い、添えられたお茶菓子も美味しい・・・はずだ。
そう、お茶菓子も美味しいはずなのだ。
未だ、食べれていないけれど。
それは、なぜか?
お茶は飲めるが、茶菓子を食べれる雰囲気ではないのだ。
それは、なぜか?
空気がどんよりしているのだ。
どんより空気の元は、母上だ。
いつもは、ニコニコ、父上とイチャイチャ、何かとウキウキ、あなたの人生楽しそうだね母上。
・・・が落ち込んでいるのだ。
もしかして、僕が原因か?
どれだ?何が発覚した?
庭師のエドを落とし穴に落としたことか?
一昨日、勉強をサボって、森に遊びに行ったことか?
昨日、剣の稽古に夢中で庭の薔薇に突っ込んだことか?
それとも、母上への想いの丈を綴った父上の秘密のイタイ日記を見てしまったことか?
あれはなぁ、毎朝毎晩、ありとあらゆる愛の言葉を母上に囁いているのに、まだ足りないのか?
砂を吐きそうになるんで、いい加減にしてくれないかな・・・ごにょごにょ。
・・・いや、日記に綴っているのは、あれは、口に出すに憚るであろう内容の想いの丈の類だからかな?
あれは、引いた。
本当に引いた。
やばい、思い出しそうだ!見るんじゃなかった!!
・・・・そうだな、これではないか。
それが発覚したのが原因なら、どんよりしているのは、父上で、母上はドン引きなはずだ。
いや、愛って怖いよな。