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理不尽な!?  作者: kususato
19/148

19. スイゲツ(1)

読んでくださる方が、楽しんでくださると嬉しいです。ヾ(*´∀`*)ノ

19話目投稿です~。

 

 ギルド登録をし、ヴィーと依頼を受け王都中央東門前に明朝待ち合わせる約束を交わしてから学院寮に帰ってきたスイゲツは、夕食を食堂の一角に陣取りロベルトとルーフェスの2人と一緒に取っていた。


 今は、専門科の2年生は学院寮などはに居るものの、1年生と3年生の大半が実地訓練に参加して西区に行っているため、食堂はいつもよりかなり人が少なめだ。




 

 「・・・・・スイゲツ」

 「・・・・・・・」

 「・・・・スイゲツ!」

 「・・・・何?ロベルト」

 「何故、野菜スープを凝視している?」

 「何か、入ってたのか?取り替えてもらうか?」

 「・・・・いや、大丈夫、食べるよ。」


 ヴィーが野菜スープ、野菜スープって言うから、つい気になってじっと見てしまっただけだ。


 もしかしたら、万が一にも、食べ過ぎると何かの拍子に涙として溢れてきてしまう事があるのでは?

 なんて考えたわけではない。ないったらない!

 そうだ、ある訳がない!

 鼻からならまだしも!



 「・・・そうか、あまりにも真剣に野菜スープに見入っていたから、水面に映る自分に恋焦がれたどこかの誰かのようになってしまったのかと心配した。」


 とか言うロベルトは真顔で言ってはいるが、雰囲気が嘘くさい。

 どういう芸当だよ?それは。


 「え?!スイゲツ?野菜スープに映った自分を好きになってしまったのか?」

 

 本気だ。お前は本気だな?ルーフェス?

 心配してもらって何だが、有り難くないな!


 「違うよ。ちょっと、考え事をしてただけだから、心配してくれてありがとう。」


 ニッコリ笑って、返してみた。


 「・・・・ふーん。」

 

 ・・・・・ふーんって・・・・ロベルト。

 お前は、欠片も心配してないどころか、興味もなかっただろ。


 「そうか、考え事か、良かった。」


 ルーフェス、お前は本当に良い奴だな。

 見た目とのギャップがすごいけど。






 食事の後のお茶を飲んでいた時に、声を掛けてきた奴がいた。


 「やあ、ロベルト、実地訓練終了が1番だって?相変わらずすごいな。おめでとう。」


 「・・・・やあ、バードフォルト、今ここにいるって事は君たちだって初日で終えてるってことだろう?俺たちよりも班の人数も多いし、機動的には、俺たちより負荷が大きいだろうに。すごいな。」


 「・・・ありがとう、1番の君たちにそう言って貰えると嬉しいよ。確かに負荷は大きいよ、人数が多いと色々あるからね。」


 「・・・・・何か、あったのか?」


 「ああ、実地訓練自体は問題なく終えられたんだが、その後に僕たちの班から抜けた者がいてね。」


 「へぇ・・・・今回で実地訓練の5回目が終わったんだ。班の人間の入れ代わりなんかは認められているだろう?不思議はないが・・・・・・随分急いだものだな?」


 「そうなんだ。驚いたよ、うまくやってきたと思っていたから。」


 「何か理由があるのか?」


 「さあ・・・?思い当たる事といったら、抜けた人間の身分が平民だったからかな?あいつ以外は全員貴族の僕たちに気後れしたか、他から何か言われたかもしれない・・・・ぐらいかな。」


 「戻るように話してみたりするつもりか?」


 「いや、それはしない。どんな理由があっても、一度班抜けを皆の前で宣言したんだ、後は自分で何とかするのが筋ってものだろう?僕たちからは何もするつもりはない・・・・・・だが、後悔して、もう一度入れてくれって相手が言ってきたら・・・その時はまた、班の皆と相談するつもりだ。」


 「・・・・・そうか、大変だな。」


 「ああ、すまない。愚痴のようなことを言ってしまった。忘れてくれ、ロベルト。」


 「いや、気にしないでくれ、バードフォルト。次もお互い頑張ろう。」


 「ああ、そうだな、ありがとう。次こそ君たちに負けないように頑張ってみるよ。それでは、失礼。」


 ベラベラと何か話していたが、ヴィーの言う通り、全然解ってないようだ。




 「・・・スイゲツ。」

 「・・・何~?」

 「お前、何か言いたげなのに俺とバードフォルトとの会話に入ってこなかったな?」

 「・・・・そ~う?気のせいだよ。」


 「何か知っているなら教えてくれ、スイゲツ。」

 「ルーフェス?」

 「バードフォルトの5班を抜けたのは、立場的には貴族の中の平民という俺と同位置だったやつなんだろう?」

 「おい、ルーフェス。」

 「誤解しないでくれ、俺はロベルトとスイゲツと同じ班で良かったと思っているし、これからもそうでありたいと思っている。お前たちに何か思うところがあるわけではない。」

 「じゃあ、何で知りたいの?」


 「・・・・・知っても俺には何もできないかもしれないが、知る機会があるのにそれを逃して、聞いていれば良かったなどと後悔するのは嫌だ。干渉しすぎは良くないとは思うが・・・そいつと話くらいなら出来ると思うんだ。頼む、スイゲツ。」



 「・・・・・・ルーフェス、お前・・・・・・・・真面目だな。」

 「そうだね、今一瞬、場が引き締まったよね?」

 「おいっ・・・!」


 「あ~うん、詳しい事は寮に帰ってから話すけど、そんな危機迫った話じゃないから。」

 「だそうだ、落ち着けルーフェス。」

 「だが・・・!」

 「だって、5班を抜けちゃいました!やったね!おめでとう!ありがとう!とか、自分で自分に言ってたくらいだよ。気落ちするどころか、とてつもなく良い笑顔してたんだから。」

 「とてつもなく良い笑顔・・・?」

 「・・・・どんな性格だ?そいつは・・・・」





 「どんな?う~ん・・・・・・・・・・・いい性格?」

 

 


 

 


 

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