13. 国立ロガリア学院 ヴィー(2)
続けて投稿~です。
「ちょっ!待て待て!!ヴィー!何を言い出すんだ?!」
「そ、そうだよ!何故急にそんな事を言うんだい?」
「そうですわ!私達、今まで仲間として良い感じだったと思いますわよ?」
「あ、もしかして、あなた以外貴族だから気後れしてしまったとでも?だったら、気にすることなくってよ?この学院の生徒でいる間は、身分は関係ないと決められているんですもの。」
「知ってますよ、そんな事は。解っていないのは、皆さんの方なのではないですか?」
感情を交えず、淡々と話すヴィーに4人の気配が剣呑になり始めた。
「・・・・どういう意味かしら?充分に解っているつもりですわよ。」
「不満があるなら聞いてやる。はっきりと言ったらどうだ?」
「バッド、そんな頭ごなしにしてはヴィーだって・・・・」
「後で、不敬だ、平民のくせに生意気な!とか・・言ったり・・・?」
「言うか!!」
「・・・言っても良いんですか?」
「言え!!」
「良いんですね?」
「「「くどい!!!」」」
「では・・・・・
1つ!実地訓練前の個々の野営用荷物の準備、運搬、メンテナンスを人任せにするな!各自自分でやれと学院でも習ったはずだ!これは、基礎中基礎だ!
1つ!実地訓練の予備調査、役割分担を何故しないんだ?地図の確認、出現する可能性のある魔獣、動物の生態、対処法!その地域の地形、天候などの情報は時には生死さえ分けたりするんだ!
1つ!実地訓練の間中、私が索敵・警戒をしているとはいえ、緊張感が無さ過ぎる!野営準備、食事準備、片付けを私一人に押し付けておいて、見張りも警戒もしない状態で敵に襲われたらどうするつもりなんだ?自分なりに警戒しろ!丸投げにするな!
1つ!学院の教師たちが監修しているとはいえ、実地訓練で全く命の危険がない訳じゃない!毎回毎回痴話ゲンカで戦闘放棄などもっての他だ!!そんなもの、訓練から帰ってから自分たちのみで、存分にやればいい!!
こんな状態なのに、仲間として良い感じとは、どこを見ている?自分たちが貴族としての身分に関係なく振舞っているとどこ見て言える!!巫山戯んのも大概にしろ!!!・・・・・以上です。」
一気に羅列された不満を数々に、呆気にとらわれた4人は言葉もでない。
ヴィーは、色々吐き出した後、深い溜息をつき、にっこりと笑ったあと、一礼をしてその場を後にした。
家路を辿るヴィーの傍を柔らかな、しかし水の気配が漂う風が通り、短めの黒い髪を揺らしていった。
もうしばらくしたら、雨が降るかもしれない。
ヴィーは目を瞑ってそれを感じていたが、ポツっと呟いた。
「ちょっと、スッキリした。」




