大乘蓮華寶達問答報應沙門經第六 ~鐵床地獄
寶達頃前更入鐵床地獄云何名鐵床地獄……
宝達は鉄床地獄にやってきた。ここは広さが300kmほどある。
鉄の壁と網で周囲から上まで覆われていて、猛火が中を隅々まで満たしている。
溶けた鉄の塊が散らばり、炎の中を潜るように罪人たちが存在している。
まれに火が途絶えると、鉄のベッドがあり刃物が据えられているのが見えた。
東の門に700人の沙門がおり、天を掴もうとするかのように上へ指をおよがせて、苦しんでいた。
「拙僧のような者に何の罪があってこんなところに……ありえないーッ!」
のたうちまわり、大声で泣き喚く。
馬頭羅刹が三叉のさすまたで腰を突くと、腹を破って臍から突き出てきた。
彼らは鉄のベッドに載せられ、刃物で、腹といわず背といわず突き刺され切り裂かれている。
こんな状態が、夜となく昼となく続いていた。彼らは千回死に、千回生き返る。一万回死に、一万回生き返る。それでもまだ終わることが無い。
ここから出られて人間に生まれ変われたとしても、彼らは体の一部を失った状態で生まれることになる。
宝達は馬頭羅刹の一人に尋ねた。
「この沙門たちは、なんでこんな目に遭ってるんスか?」
「この坊づどもは前世で、出家し戒律を受けておきながら悟りを求めず、ただその時の名利だけを追求したんだ。高僧となったのに身に四禁を犯し、与えられたものを火のような勢いで消費しても満足しなかった。また沙門にあるまじき、贅沢な座に座ったんだ。派手な服を着て俗人と一緒の家に寝起きしたり、仏像の据えられるべきような上座に座ってふんぞりかえったり、仏像や師の像の陰で涼んで寝転がったりした。その因縁で地獄に落ちたのさ」
宝達はこれを聞いて涙を流しながらつぶやく。
♪こんなことがあるのか、解脱しようとしたはずなのに解脱せず
こんなことがあるのか、太陽(のように尊い高僧)までが海に落ちてる
解脱を求めたことがかえって未来を束縛して(苦しくなって)しまっただなんて
-つづく-