大乘蓮華寶達問答報應沙門經第三 ~鉄衣地獄
爾時寶達菩薩更入地獄名爲鐵衣地獄其地獄縱廣方圓十六由旬……
宝達は次の地獄にやってきた。その名は鉄衣地獄という。
その地獄は広さ約112km。住人の衣服は鉄でできており、鋭い刺がたくさん突き出している。もちろん、ところどころに火炎も。
炎がそこら中を行ったり来たりしてる中、東の門に800人ほどの沙門がいるのが見えた。彼らは天を仰ぎ胸を叩いたり、土下座するように頭をばたばたさせている。彼らは縛られてて手足の自由があまり利かないので、いちど倒れたらもう起きあがれない。
「俺たち、何の罪があってこんなとこに!? 誰か説明してくれーッ!」
もちろん、説明してくれる人などいない。自ら過去の非に気がつき悔恨反省しなければ、地獄の責め苦は延々と続くのだ。
三叉のさすまたを持った馬頭羅刹が背中から胸まで突き通すと、その体が燃えだした。
馬頭羅刹が鉄カギでその体を引っ掛けると、さらに火が体を包む。しかし腕の自由を失っていて、罪人たちは逃れることもできない。
馬頭羅刹は鉄棒で彼らを叩き潰し、その肉を食べている。そこへ餓鬼の集団……子供じゃなくてゾンビみたいな死霊の方ね……が咆哮をあげなからやってきて、奪い合って血を飲む。鉄の衣さえ食いちぎられて散乱するほどのさわぎだ。
あるいは頭に、あるいは脚に……まだ火が噴出してるままの肉塊を、餓鬼たちは奪い合って食っている。……人間の焼きたてレアステーキですな。グルメ餓鬼か?
とにかくこんな状態が、夜となく昼となく、いつまでも続いていた。
宝達は馬頭羅刹の一人に尋ねた。
「この沙門たちは、なんでこんな目に遭ってるんスか?」
馬頭羅刹の言うには、
「この坊づどもは前世で、出家し戒律を受けておきながら色気づきやがった。出家のくせに僧衣を着ず、普通の人と同じファッションでおしゃれしてた。出家らしい渋い服装をしてなかった因縁で、この地獄に堕ちたんだよ」
宝達は涙を流しながら、こうつぶやいたのだった。
♪沙門となって世を捨てたはずなのにかえって
一般人なら普通な欲望だけでこの酷いところに来てしまう
一般人なら普通な行為だけでこう苦しい目に遭っている
解脱してすべての苦痛から離れようと出家したはずなのに
宝達はおいおい泣きながら、足早にそこを去っていった。
-つづく-