大乘蓮華寶達問答報應沙門經第二十七 ~崩理地獄
いよいよ終盤が近づいてきました。がんばってラストスパートといきましょう!
宝達はさらに崩理地獄にやって来た。
広さは約353km。周囲は鉄の城壁で囲まれている。
鉄城の四隅にダイヤモンドでできた山があり、物凄い力の風がふきつけて、ダイヤモンドの破片を飛し、暗闇の空に撒き散らす。一方で山には火焔が赫々と燃え広がっている。休むことなく溶けた鉄が罪人を飲み込んで燃やしている。
北の門に三千人の罪人がいて、大地に身を投げて土下座しながら、大声で泣いていた。
「私たち、なんの罪でこんなとこにぃ~ッ!!」
いたるところで、馬頭羅刹たちが鉄の棒で彼らの頭を殴りつけている。
この獄中には体高7000mの巨大な鉄の犬が4頭いて、その口の中は炎が渦巻いている。罪人が近くにくれば犬は爆音で吼える。その声だけでも罪人は恐怖し悶絶するが、そこへ熱風が刀身を叩きつけてくる。
こうして体が切り裂かれる苦しみには誰も耐えることができない。彼らはダイヤモンドの山の方へと走って逃げようとする。だが罪人が近づくと山が崩れ落ち、罪人たちをむごたらしく押しつぶして殺す。
しかし獄卒の夜叉が地を蹴ると、すぐに彼らは生き返り、またこのような苦痛を受け続けるのだ。
1日1夜でも推し量れないほどの罰を受け、生きたくても殺され、死にたくてもすぐ生き返らせられる。
宝達は馬頭羅刹に尋ねた。
「この罪人たちは何の罪があってこの地獄に来たんスか?」
馬頭羅刹が宝達菩薩に答えるには、
「こいつらは、苦しまずに幸福だけを得ようとしたんだ。有利な立場に生まれたことを利用し、権力をふりかざして賢人を弄び貧しい者を欺き、財貨を取り上げたり家業を奪ったりして、恥じも反省しなかったんだ。その因縁でこの地獄に落ちたのさ。百回、千回生まれても、ここから出ることは無い。もし出られたとしても、最下層の身分に生まれて悲惨な一生を過ごし、救いの法を聞くことさえもないのさ」
宝達はこれを聞き、おいおい泣きながら立ち去った。
-つづく-




