大乘蓮華寶達問答報應沙門經二十四 ~耕田地獄
さて、宝達はさらに、耕田地獄へやってきた。その広さは約140km。鉄の壁に囲まれ、猛烈な火焔が上から下へ、下から上へと貫いている。火で満ち溢れているのだ。
そのとき、鉄の地面から鉄の刀が生えてきた。その刃は上を向き、燃え盛る罪人たちを切り裂いた。罪人たちはあまりの苦痛に魂も失ったようで、ふらふらしながら罰を受けている。ここではもう、何もかもか苦痛だ。
その地獄の中で、鉄の牛が犂を引き、地面の火を耕している。
東の門に6000人の罪人たちがいた。目や口から炎が噴出している。手足などからも水のように火が流れ出している。彼らは、どちらが前かもわからない様子だ。
馬頭羅刹が鉄のさすまたで彼らの背を突くと、胸へと突き抜ける。鉄カギをその体に打ち込まれ、引きずられていく。そこへ鉄の犬が襲い掛かり、その血を飲む。さらには餓鬼がやってきてその肉に食らいつく。そんな責め苦を受けながら沙門たちは鉄の犂を手で引かされ、火の地面を耕すことを強要されている。
耕した地面はさらに燃え上がり、その火がまた罪人を焼く。
1日1夜で、1万回死んだくらいの苦痛を受ける。魂魄は暗黒をさまよい、千万劫をここで苦しんでからようやく人に生まれることができる。しかし言葉をしゃべることができず目も見えず、また他人から憎まれる人となる。一生、体にかさぶたをもち、家もなく野をさまよう。
宝達は馬頭羅刹に尋ねる。
「この沙門たち、なんでこんな目に遭ってるんスか?」
馬頭羅刹は答えた。
「この坊づどもはな、出家して戒律を受けておきながら、三悪八難を恐れなかったんだ。農地を耕し、自らの手で食べ物を作って、植物を殺した。外道のふるまいというべきで、それを反省しなかった。その因縁でこの地獄に堕ちたのさ」
宝達はこれを聞いて悲しみに泣きながらつぶやいた。
ああ、こんなものを見ることになるなんて考えられだだろうか
大海を渡ろうとしてかえって深淵に沈み
目を開こうとしてかえって光を失い
悟りを得ようとしてかえって迷いに迷い
生死を離れようとしてかえって欲望に身を焼くとは
宝達はつぶやき終わると去っていった。
「四分律」などに「出家者は自分で食べ物を作ってはいけない」という項目がありまして……それを破った罰のようです。
この戒律は現代の日本では一般に仏僧にも適用されておらず、またこういう戒律があった理由は現代人にはちょっと理解しにくいと思うんですが、以前にもいちおう説明はしたと思うんで、ご関心のある方はそちらを参照してくださいね。
-つづく-




