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大乘蓮華寶達問答報應沙門經第二十 ~解身地獄

 

 

 宝達は解身地獄へやってきた。

 その広さは約210km。鉄の城壁に囲まれ、鉄の網に覆われている。猛火が赤々と燃え盛り、鉄片が散らばっている。その鉄片が飛びまわって、罪人たちに突き刺さる。鉄片の大きなものは罪人の手足を切り裂いてもぎ取っていく。

 東の門に数え切れないほどの罪人が現れ、この様子を見て悲しい絶叫をあげ、土下座して口々に叫んだ。

「何の罪があってこんなところへ……!」

 獄卒の夜叉が手に大斧を持ち、中へ入ろうとしない罪人の頭を叩き割る。

 鉄のロープで体を縛られた彼らは、猛火に焼かれた体を乱れ飛ぶ鉄片で切り裂かれていく。

 歩けずに倒れた罪人は、獄卒の夜叉に引きずっていかれ、のこぎりで関節を引きちぎられる。血には流血が流れ続け、そこら中で苦しみの絶叫が上がっている。

 羊・牛・驢馬・のような形をしたものと、虫・鳥・小動物のような形をしたものが、その血を舐めてその肉を食らっている。

 その畜生らはみな罪人とロープでつながれ、特定の相手に食らいついているようだ。鞭で畜生を追い払おうとする罪人もいるが、畜生らはこれを齧ってしまい、追い払うことができない。

 痛み、苦しみ、毒などに苛まされ、罪人はもう叫ぶこともできず、口や眼から血を流しながら天を見上げて嗚咽している。

 1日1夜でもこのジワジワとした苦しみは計り知れない苦痛だ。それが千回死に変わり生まれ変わり、万回死に変わり生まれ変わり、続いていく。千万劫を経ても刑期は終わらず、ここから出ることはできない。ようやく出ることができても家畜として生まれ、百億回、いや千億回も、食べられてしまう運命を負うのだ。

 宝達菩薩が問う。

「この沙門たち、なんでこんな目に遭ってるんスか?」

 羅刹は答えて

「こいつらは前世で、出家し戒律を受けておきながら正しい教えを追求しなかったんだ。『殺生してもかまわない』という間違った説を信じて、放逸に振る舞い心に毒を受け、無慈悲に生命を殺害して死体を解体したりしたのさ。その因縁でこの罪を受けている。このあとで人に生まれ変わることがあっても、千回は不自由な体で生まれるぞ。喋れず見えず聞こえず、手も使えず歩けず、膿やカサブタだらけでいつも血を流し、そして早死にするんだ。それが、命を奪った報いなのさ。」

 宝達はこれを聞き、悲しみに泣きながら立ち去った。



 これ読んだ坊さんは僧兵とかにはなれなかったんじゃなかろうか。


 -つづく-

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