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大乘蓮華寳達問答報應沙門經第十一 ~飮火銖地獄

 寶達頃前入飮火銖地獄其地獄縱廣三百由旬……


 宝達は、飮火銖地獄にやってきた。

 その地獄の広さは約2100km。鉄壁に囲まれ、そこには火と煙が起きていて、足元は溶けた鉄が泡を吹いて沸きあがっている。

 馬頭羅刹は手に鉄のひしゃくを持ち、溶けた鉄を汲んでいる。

 東の門に8000人の沙門がいて、髪や体毛から火と煙があがる苦痛に泣き喚いていた。

 彼らは歩いては倒れ、歩いては倒れ。馬頭羅刹が三叉のさすまたで背中を突けは胸に突き抜け、また火も彼らの体を貫通していく。

 獄卒の夜叉が鉄のカギを持ち、彼らの口や目に突っ込んで大きく開けさせる。そこへ獄卒が、ひしゃくで溶けた鉄を流し込む。口から入った熱鉄は、体の内部を焼き、人体のあらゆる穴から煙と炎が噴き出す。体毛もすべて燃えている。

 1日1夜でも耐えがたい罰を、千回、万回、死に返り生き返りして受け続けている。

 もし贖罪が済んで人間に生まれ変われたとしても、言葉をしゃべれず目も見えない一生を過ごすことになる。千人の仏陀が世に出て世を去る間、仏の名を聞く機会さえない。

 宝達は馬頭羅刹の一人に尋ねる。

「この沙門たち、何の罪でこんなことになってるんスか?」

 馬頭羅刹は答えて、

「この坊づどもは前世で、出家し戒律を受けておきながら破った。食べ物をお布施でもらっておきながら、斎戒を守らなかったんだ。夜食をとったり、自分で料理したりして、それを恥じて反省する心もなかった因縁で、この罪をうけてるのさ」


 前に触れました八戒のひとつ、「不犯斎:食事は日の出から正午まで」という決まりを破ったということのようです。また、僧侶用の「四分律」などでは「不殺生」の精神から自分の手での料理が一切禁止されてることも、前述のとおりです。

 平安時代以降の日本では四分律や摩訶僧祇律は出家修行者にもあまり適用されてませんが、南方の上座部仏教などでは今でも厳格にこの種の戒律が実行されているという話で。僧侶用の戒律についてはまた後で触れましょうか。

 しかしこれだけでこんな罰を受けることになるとは……出家の道は修羅の道?(ナニカチガウ;)


 ということで、宝達はこれを聞き、悲しみに泣きながら立ち去った。



 -つづく-


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