表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「きっと、それは」のほかのおはなし  作者: 篠宮 楓
それは自分が鈍いのか?? 圭介と由比のデート
5/18

お昼ごはんは、湖の畔にある二階建てのカフェに入った。

パスタとピザがメインらしくて、それを圭介さんと取り分けて食べる。

なんか……、嬉しいような恥ずかしいような。


圭介さんと付き合い始めたといっても、生活は特に変化もなくて。

駅への送り迎えだって、圭介さんも翔太もしてくれる。

ご飯も三人で食べるし、少し前に終わった翔太の受験もあって二人で出かけることなんて皆無だったから。

やっぱり……、嬉しいかなぁ……。

無意識に顔がへにゃりとしていたらしい。

ふと視線を上げると、穏やかな表情の圭介さんと目が合った。


見られていたことに気がついて顔を赤くする私に、指先を伸ばして頬をするりと撫でる。

「喜んでもらえてるみたいで、よかった」

「う、ん」

ぎこちなく返事をすると、クスリと笑ってその手を下ろした。

けれど、それはそのままテーブルに置いていた私の手に下りて。

手まで赤くなってきた私を宥めるように、ゆっくりと撫でた。


なんか今日はスキンシップが多いんですがーっ!

長い指で手の甲をゆっくりと撫ぜる状態は、目にも毒です。


私はとりあえずその状態から抜け出すべく、なんとか場を和ませながら手を外してもらう計画を立てて実行してみた。

「えと……、あの。けっ、圭介さんってば、今日は触り魔ですねっ」

ははっ、と笑いながら触られたままの手を引っ込めようとしたら、反対にぎゅっと掴まれていきなり立ち上がった圭介さんに引かれるように腰を上げた。

「わっ」

テラス席でまだあまり人がいなかったからよかったものの、店内だったら注目されそうな音が椅子から上がる。

「け、圭介さん?」

「出ようか」

突然の行動に首を傾げつつも、私の返事を待たずに歩き出した圭介さんの後ろをバッグを掴んで慌ててついていった。


ここまで連れてきてもらったお礼にお昼ご飯を奢らせてもらいたいとレジにつくまでに申告してみたけれど、聞く耳持たず。

ちらりと寄越された目線に、押し黙りました。

いやー、なんていうか絶対圭介さんて……頑なだよね。

んで、長男だよね。

世話焼きと言うか、なんというか。



会計を済ませて外に出ると、圭介さんはレジでは離していた私の手を再び握って湖へと歩き出した。

これからお昼時を迎える時間帯、さっきよりも人が少ない散策路に足を踏み入れる。

日の光を遮る茂った木々の間を縫うように、小道が湖に沿って続いていて。

そこをゆっくりと歩きながら、黙ったまま私の手を引くの圭介さんの背中をみて首を傾げるばかり。

なんなんだろう、今日の圭介さんは。

人のことをからかってるのかと思えば、黙っちゃうし。

手を繋がれていることよりも、圭介さんの態度の方が気になって仕方がない。

しばらくそのまま歩いていたけれど、さすがに何か話した方がいいのかなと口を開こうとしたら圭介さんに先手を取られました。


「その、ごめん」


しかも、謝罪でした。


……何事?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ