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「きっと、それは」のほかのおはなし  作者: 篠宮 楓
近づきたいと思うのは、付き合えば本能じゃねぇの?
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随分慌てていたのだろう。

別に置いていくつもりのなかった桐原は、廊下の奥、地下へと降りる階段わきで待っていたのだが、総務課から出てきた由比に思わず苦笑した。


片手に掴んだジャケット、慌てて履き替えたのだろうパンプスはかかとがちゃんと入っていないし。

なのに戸締りだけは確実にやろうとする由比が、面白かった。

いや、本心言えばとても可愛く見えた。


だからまぁ、我慢してるところがあんだよな。


そんな事を考えながら、由比が近づいてくるのを見遣る。


例えばさ。

俺は二十八歳で、まぁそこそこ経験つーもんを積んでますからね。

学生の恋愛じゃないんだし。

付き合えば、精神的にも肉体的にも近づくわけですわ。

口に出さなくても、雰囲気でそーなるもんだろ。

いうか? 洋画のセリフみたいに「キスしたいんだけど」とか。

いわねぇいわねぇ。

抱きたいとか? いや、抱擁的な意味じゃなくてだな。

悪くいやぁ、なし崩し?

よく言えば空気と状況読むだろう。


それがどうだろうな、この女。

そんな雰囲気に持っていけない。全く。

恋愛に消極的だと、言っていたし現にそうだった。

それを取っ払って、手に入れたのは俺。

独りで生きていくつもりだったといわれて、有無を言わさず手を掴んだのは俺。


だから、待つべきとは思ってる。

それでも隠せないイラつきは、往々にあって。

本当に、俺と付き合ってんのかと言いたくなるのをなんとか我慢している。


だけど。



「ごめんなさい、です」

待たせて、とかいいながらおどおどと俺を見上げてくるこの表情とか。

身なりよりも、俺を待たせる方に意識が向いている心持とか。

そういうの、可愛いと思えてしまうから、俺は待つことが出来てる。


なんとか、な。



「あぁ、別に。ドア開けろ、俺両手塞がってる」

頭にぽんと手をのせたいけど、荷物と由比の鞄を持っている俺には叶わない。

由比はその言葉に、慌てて地下階段に出る鉄製のドアを開けた。

ギギィッと、ホラー映画にでも出てくるような効果音の後、ヒンヤリとした空気が流れてくる。

そのドアをくぐりながら、前にあったことを思い出した。

由比も同じだったらしく、二人で目を合わせて苦笑する。


「女の嫉妬は怖いと、実感した日々でした」

そう由比がぼやけば、桐原は荷物を持ち直す。

「悪かったよ、ホント」

流石にぶっきらぼうな桐原でも、あの頃の事は由比に謝るしかできない。

桐原とのうわさを流されて、いつの間にか標的になっていた由比。

それを知らず、のうのうと由比とかかわっていた桐原。

あの時ほど、自分が情けないと思った事はない。


「いいんですよ。もう、過去の事ですから」


地下について歩き出す由比が、はにかむ様に笑う。

その恥ずかしさというのが、今のこの関係から来ていると思えば気分は良かった。

……え、とね?

この後数話で、まぁいちゃいちゃに突入するんですけど。

若干無理強い、若干腹黒、若干加虐。

このキーワードに”無理!”と思われる方は、ブラウザバックでお願いいたしますm--m

あぁぁ、あとですね。

多分、すんげー悶えるほどのR15になるかなぁ?

かもしんない。

スキルないからあれだけど、私の中では限りなくR15作品になります。

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