モブ
作者
「思ったんだけどさ」
七瀬
「はいはい、嫌な予感」
作者
「最初、鷲尾と七瀬ってただのモブだったよね」
一瞬、静まる。
鷲尾
「……誰が」
七瀬
「モブ?」
作者
「柊と佐藤と同じ当て馬ポジだったのにさ」
佐藤
「え、俺巻き込まれた?」
作者
「それがさ」
指を折る。
「気づいたら設定が増えて」
七瀬
「やめてください」
作者
「背景ができて」
鷲尾
「勝手にだろ」
作者
「感情が乗って」
七瀬
「それは…」
作者
「今やすっかり“横”の顔してる」
佐藤、そっと手を挙げる。
「俺もいつか…」
全員見る。
佐藤
「俺もいつか設定増えますか?」
柊
「落ち着きなよ」
マネージャー
「焦りは禁物ですよ、佐藤さん」
穏やか。
でも、ほんの少しだけ目が泳ぐ。
作者
「いやでもほんと
最初は“うるさい後輩ちゃん”と“だるい先輩”だったのに」
七瀬
「言い方」
鷲尾
「事実だろ」
作者
「それが今や」
わざと止める。
「……まあ、色々あるよね」
七瀬
「濁しましたね?」
作者
「濁した」
佐藤
「え、俺も濁されたい」
柊、肩に手を置く。
「佐藤は今のままで十分だよ」
佐藤
「それモブ固定宣言じゃないすか!?」
マネージャー
「愛着は怖いものです」
作者
「そう。モブってね、愛着湧いたら終わりなの」
七瀬
「終わり?」
作者
「始まり」
鷲尾
「……」
七瀬
「……」
佐藤
「俺も、愛着湧かれたいです」
柊、少し笑う。
「頑張りなよ」
マネージャー
「可能性は、誰にでもあります」
にこ。
でも二人、ほんのわずかにそわそわ。
——自分たちは?
作者
「まあ、設定は勝手に増えるから」
七瀬
「やめてください」
鷲尾
「ろくな増え方しねえだろ」
佐藤
「増えるだけでもいい!」
最初は当て馬。
今は、少し違う。
でも、まだ何も確定していない。
設定は、静かに増えていく。




