ドヤ録
七瀬、台本をばさっと掲げる。
「“夫婦だろ”ドヤァ!!」
鷲尾、続けて低音で。
「“朱里と結婚したんだろ”ドヤァ!!」
遥花
「強い」
湊
「これは確かにドヤですね」
悠
「やめろ」
七瀬
「悠さんのドヤ顔だけで1冊作れそう」
作者
「タイトルは“神谷悠・無自覚ドヤ録”で」
悠
「誰が買うんだ」
朱里、そっと。
「……私は買います」
一瞬の沈黙。
七瀬
「はい優勝〜〜!!」
鷲尾
「即完売」
湊
「限定1冊ですね」
悠
「お前らほんとに」
七瀬、近づいてくる。
「でもさぁ、あの“俺は妻と結婚したわけじゃねえ”は正直ずるいですよ」
鷲尾
「完全にキメにいってる」
作者
「しかも自然体で」
湊
「一番タチ悪いですね」
悠
「別に狙ってねえ」
七瀬
「でた無意識型!!」
遥花
「無意識であれ出せるの強すぎない?」
朱里、ちょっと困った顔で。
「でも……本当に救われたんです」
七瀬
「はいまた栄養」
鷲尾
「甘やかされ枠」
作者
「ドヤ悠は栄養価が高い」
悠
「なんだその分類」
湊
「“低音で短く言う”がポイントですね」
七瀬
「“もつ鍋食いたい”も収録されますか?」
作者
「もちろん」
悠
「勝手に収録すんな」
朱里、小さく笑う。
「でも、ドヤ顔っていうより……」
七瀬
「なになに?」
「自信、です」
静かに言う。
「私を選んだ自信」
場が一瞬静かになる。
鷲尾
「……それ言われたら終わりだろ」
湊
「完敗ですね」
七瀬
「ドヤじゃなくて確信型……?」
作者、メモを取る。
《ドヤ悠=確信型》
悠
「だから書くな」
七瀬
「次回予告!“確信型ドヤ男の記録”!」
悠
「帰るぞ」
朱里
「はい」
七瀬
「また自然に隣行った!ドヤァ!!」
楽屋裏、今日も大騒ぎ。
悠の耳が、ほんの少し赤い。




