境界線の舞台袖
表から拍手と歓声。
「婚約おめでとう〜〜!!」
「不穏!!」
「やめろ作者!!」
わちゃわちゃ。
その舞台袖。
柊
「……盛り上がってますね」
佐藤
「すね」
マネージャー(にこやか)
「大変喜ばしいですね」
三人、静か。
佐藤
「俺、出番なくないっすか?」
柊
「俺もだよ」
マネージャー
「私は仕切り役だったはずなのですが」
遠くで作者の声。
「どんどんぱふぱふ〜!」
マネージャー
「……あの方が出てきてから」
佐藤
「完全にポジション奪われましたよね」
柊
「仕切り、楽しそうだったのに」
マネージャー
「ええ、まあ。進行は私の役目だったのですが」
微笑みは崩さない。
だが、ほんの少しだけ間がある。
佐藤
「柊さんも最近空気っすよね」
柊
「“キモい情報通”という不名誉な称号を頂いて以降、慎んでおります」
佐藤
「自覚あったんすか」
柊
「さすがに」
マネージャー
「キャラクターの調整は大切です」
佐藤
「俺なんてもう大学卒業して出番怪しいっすよ」
柊
「鷲尾と七瀬が台頭してきたからな」
佐藤
「名前あるやつ強いな」
マネージャー
「名前はブランドです」
佐藤
「急にビジネス」
舞台から歓声。
「逃げられんのかって聞いてんねん!」
佐藤
「うわ出た名台詞」
柊
「温度差コントラスト」
マネージャー
「メタ発言にも程がある、ですね」
三人、少し笑う。
佐藤
「俺ら、今後どうします?」
柊
「裏で暗躍するか?」
マネージャー
「物語を壊さない範囲で、存在感を」
佐藤
「地味」
柊
「安全策」
マネージャー
「焦る必要はありません」
にこ。
「舞台は回ります。必ず出番は巡ってきます」
佐藤
「その言い方ちょっと不穏」
柊
「“色々ある”の一部か」
三人、同時に表を見る。
「婚約おめでとう!!」
佐藤
「……俺、次は何で絡めますかね」
柊
「…私はもう少し洗練されたポジションを希望します」
マネージャー
「私は進行役を取り戻します」
遠くで作者。
「次は不穏いくぞ〜!」
三人
「やめろ」
小声で、ぴったり揃う。
――舞台袖は今日も静か。
柊と佐藤は気づいてない。
"マネージャー"が名無しなことを…




