7. 潜行する赤
夜のゼロ都市。上層街路は静まり返り、冷たい風がホログラムの光を微かに揺らす。灯とルカは慎重に進む。都市全体が潜行する赤い侵蝕波の気配を伝え、心理戦の緊張を高めていた。
「赤……微かに動いてる」ルカが黒い残響を揺らす。捕食能力で波を吸収しながら、赤い侵蝕波の経路を読み取る。灯もゼロ反響で波を逆流させ、都市全体の残響を解析する。潜伏者は姿を見せず、都市そのものを武器にして二人を翻弄している。
壁面のホログラムがわずかに裂け、空中に光の筋が走る。赤い波が跳ね、都市全体の残響が二人を包む。心理的圧迫が高まり、二人の呼吸が重くなる。だが灯は冷静だった。ゼロ反響とルカの捕食能力が、赤い波の動きを抑制していた。
「都市の波形……意図的に誘導されている」灯は分析する。潜伏者は都市の残響を操り、二人の心理を揺さぶる。赤と黒の残響が交差する中、都市全体が複雑な迷路となり、心理戦は極限に達していた。
二人は互いに目配せし、都市の鼓動に同調しながら進む。赤い侵蝕波は微細だが巧妙で、壁や床、ホログラムの反射を使い心理的圧力を増幅する。灯はゼロ反響を最適化し、波を跳ね返すことで潜伏者の術式を探る。
街路の奥から、赤い波が二人に接触する。ルカが捕食で吸収し、侵蝕波の勢いを弱める。灯はゼロ反響で波を逆流させ、心理戦のテンポを取り戻す。都市全体が静かに揺れ、潜伏者の存在がわずかに形を現す。
「灯……準備して」ルカの声が緊張を帯びる。赤い波は都市の残響を通して巧妙に接近し、心理的圧迫を最大化する。二人は互いの力を共鳴させ、赤い波に対抗する。
ゼロ反響、黒い残響、赤い侵蝕波。三つの波が交錯し、都市全体が生き物のように脈打つ。潜伏者の正体は依然として不明だが、二人の心理戦は確実に優位に進んでいる。夜のゼロ都市に、新たな心理戦の幕が静かに下ろされた。




