表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/38

第1話:誰かを助ける。ただそれだけ…


 ――「たすけてっ!!」


 森の奥から響いたその叫びは、距離を越えてユウトの胸に突き刺さった。


 鋭く、強く、助けを求める声だった。


 ユウトの心臓が跳ねた。


 それはあまりにリアルで、本物の命がかかっている声に感じた。


 考えるより先に、足が動いていた。


 茂みをかき分け、森を駆ける。枝が顔に当たり、草が跳ね上がる。


 風が止んでいた。鳥の声も虫の音も消えて、森は異様な静けさに包まれていた。



 やがて、開けた空間に出る。


 そこで、ユウトはそれを見た。


 「……な……」


 声にならない。


 少女が、木の根元で体を縮こまらせて震えている。


 ・・・その前に、巨大なナニカが立ちはだかっていた。


 黒く光る甲殻。六本の節くれだった脚。異様に長い爪と、濁った赤い眼。


 見たことのない、理解を拒む存在。


 獣のようでもなく、虫でもない。体の形も動き方も、理屈が通らない。


 ――異形。



 少女は、その異形を絶望的な目で見つめていた。


 涙で顔はぐしゃぐしゃだが、その目は恐怖と諦めで固まり、逃げることも叫ぶこともできない。


 ただ、震える唇で「たすけて……」と、かすかに繰り返している。



 全身から冷たい汗が噴き出す。足が震える。


 「……うそだろ……」


 こんなの、勝てるわけがない。


 けれど、少女が今にも襲われようとしている。誰も助けに来ない。


 今、目の前にいるのは――自分しかいない。


 ユウトは足を踏み出した。


 逃げたい。けど、それよりも――助けたい、が勝った。


 「やめろッ!」


 叫びながら走り出す。



 異形がこちらに気づいた。


 赤い目がぎらりと光り、咆哮のようなうなり声を上げたかと思うと―― 触角のような巨大な前脚を、頭上に振り上げた。


 「――来る!」


 ユウトは足を踏み出す。逃げる選択肢はなかった。


 異形の脚が、空を裂いて振り下ろされる。


 その瞬間、ユウトの体が勝手に動いた。


 ――重心をずらし、内側へ踏み込み、腕を滑らせる。


 合気道の要領で、攻撃の勢いを殺すように敵の力を受け流しながら、

 右手を添え、敵の前脚の内側へと自分の体ごと滑り込ませるように動いた。


 手応えと同時に、右手のひらが一気に熱を帯びた。


 「……なに、これ――!」


 手のひらの奥から、まるで内側から圧力が弾けるような感覚。


 筋肉の力ではない、何か“別のもの”が、体の芯から流れ出していた。


 バシィッ!


 異形の前脚が関節から大きくねじれ、甲殻が砕けて吹き飛ぶ。


 「……っ!」


 ユウト自身が、何が起きたのかわからなかった。


 けれど、異形は明らかに怯んでいた。


 踏み込みながら、視線と意識を敵の重心に集中させる。


 よろめいた敵のバランスが崩れた瞬間、ユウトはさらに接近した。


 左腕で異形の体側に触れるように距離を取り、膝を割って軸を沈める――


 体の中心をひねり、下から上へと掌底を巻き上げるように撃ち込む!


 ドンッ!!


 鈍い音とともに、異形の体が地面を滑るように吹き飛んだ。


 静寂が、戻ってきた。


 ユウトはその場に立ち尽くした。


 呼吸が乱れ、心臓がうるさいほど鳴っている。


 「……倒した、のか……?」


 右手のひらが、じんわりと熱を帯びたままだった。。。


さすがにプロローグだけだとアレなんで、第1話も投稿♪

この後の更新ペースはさっぱり未知数(*'ω'*)

一応3日程度で1話投稿出来たらなぁくらいで考えてます♪(*´▽`*)

とにかくゴールまでたどり着きたい!


※アドバイス的な叱咤激励は歓迎です※

自分で気づかない違和感などもあるかと思いますので、お気づきな点があれば教えて下さいませ~(*´▽`*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ