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小景

 ローカル電車はゴトゴトと、緑の中を走っていく。

 車中には、乗客は四人しか居なかった。

 小さい女の子を連れた、年配の女性。これは、祖母と孫だろうか。いや、曾祖母と曾孫かもしれない。(しわ)深い老婆にぴったり寄り添って、少女は不安気に目を見開いている。

 あとの二人は、連れではなさそうだが、何故か隣り合わせて座っていた。左側の女は、三十代始め頃か。隣に人が居るのも気付かぬ様子で、(うつむ)いたまま、広げたノートに何かしきりに書き付けている。その肘が、たまに脇腹に当たるのがうるさいのか、右側の女は苛立った顔で何度か座り直していた。こちらは、四十代後半ぐらいだろうか。気付きもしない相手をたまに(にら)み付けながら、頑として席を移ろうとはしない。

 山間の線路で、車体はカーブの度にギシギシ鳴ったが、車中の四人は無言だった。

 その静寂(せいじゃく)を、不意に少女の悲鳴が破った。

「蛇よ…黒い蛇!」

 書き付けをしていた女も、さすがに驚いた様子で顔を上げる。その隣の女は、何故かギクリと顔色を変えた。

 次の瞬間、キキーッと、急ブレーキの音が響き渡った。

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