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01-17.帰還

「瀕死の地竜がこちらにいます。早くとどめを!」


 兵達の上空で大声を張り上げる。

胸が痛い、思ったよりダメージが残っているようだ。


 兵達は、突然上空に現れた傷だらけの少女に驚く。


 少女の指差す方向に殆どの兵が駆けていく。


 よかった。信じてもらえた。

最悪武器を向けられるんじゃないかと思っていた。


 ここまであっさり信じてもらえるとは思っていなかった。

この世界の人達は天使にはやたら信心深い。

なにかその手の伝承があるのだろうか。


 走り出した兵達の先頭に追いつき、先導するように飛んでいく。


 地竜の元にたどり着くと兵達は次々に切りかかっていった。


 やがて地竜が完全に息絶えるのを見届けると、意識を失っていたセーナを回収し屋敷に急ぐのだった。




----------------------




 セーナの事で頭が一杯になっていた私は、例の魔法少女服のまま屋敷に帰還した。


 泥だらけ傷だらけ露出過多の私が泣きながらセーナを抱きしめて飛び込んできた事は、屋敷中に知れ渡り、しばらくして帰ってきた父の耳にも入ったのだった。


 長いお説教の末、ようやく開放された私はいつものようにベットに倒れ込む。



「お疲れ様でした。お嬢様」


 結局セーナの傷は殆ど完治しており、今はもうすっかり元気だ。


 裏工作とかいろいろやらかしてたはずなのに、なんでセーナは叱られていないのだろう?


 日頃の行い?信用の差?そうですか……




----------------------




 屋敷に戻った翌朝に目を覚ましたセーナは、包帯まみれの私を見るなり、直ぐに回復魔法をかけてくれた。


 その後、自分が意識を失っている間に私がやらかした事を知り、頭を抱えこんだ。


 それでもなぜ私がそんな事をしたのか知っているので、なんとか飲み込んでくれたようだ。

本当にごめんなさい。


 セーナから離れた後の事を説明すると、兵達が簡単に信じてくれた理由について教えてくれた。



「リリィは王国中に知れ渡っているのよ。

 正確には、王都のどこかに天使がいるって話が」


 そういえば昔、レオン王子からも聞いたことがある。


 あの噂はまだ無くなっていなかったの!


「風の繭って完全に見えなくなってるわけじゃないよ?

 速度が遅かったり、天候次第ではなにかいるって事はわかるの。

 しょっちゅう屋敷を抜け出しているんだから、それなりに目撃され続けてたんでしょうね」


 まじか……

全然気づいてなかった。

え?つまり、王都に天使が住んでいると信じている人達の前に姿を現してしまったの?

しかもあの服で?



「リリィは殆ど人前に出たことがないから今のところは大丈夫だと思うよ?

 一応情報は集めておくけど」


 頼りになる相棒だ。

思わず抱きついてしまう。


 セーナに払いのけられるまで、そのまましばらく甘えてしまうのだった。




----------------------




「そういえば、指輪返して」


「え?嫌!」


 なんですと!?


 セーナは本当にそのまま返してくれなかった。


 せっかく苦労してダンジョンまで行って手に入れてきたのに!

叱られ損じゃん!


 ところでセーナさん?なんでその指につけてるんですか?

こっちの世界でも意味は変わらないはずですけど?

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