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01-12.初めてのダンジョン

 十二歳になった!


 セーナ「は」順調に成長し、魔法や剣技だけでなく、身長も胸部も出会った頃と段違いだ。


 質素な村生活と違い、王都での潤沢な食生活が彼女を変えたようだ。


 しかもまだ成長期は終わっていない。

このまま成長を続けると、ゲームのセーナと完全に別キャラになってしまう。

いまさら気にしても、もはや後の祭りだ。


 反して、私は十歳の頃から殆ど成長していない。

レベルが上げられない以上、魔力も増えないし、強力な魔法が使えるようになるわけじゃない。


 魔法の研究は早くも行き詰まっていた。

飛行魔法の時程の熱意が無いのが原因かもしれない。


 一応、セーナ用の魔法はいくつか便利なものができたので、総合的な戦力は大幅に向上した。


 そして何より、身長が殆ど伸びていない!

(あと胸も!)


 あと三年で、本当にゲームのリリィのようになれるのだろうか。

成長期ぱわーを信じるしか無い!


 そろそろダンジョン攻略に向かっても良いかもしれない。

とはいえ、相変わらず魔物とは戦えないので、魔物を避けてどこまで潜り込めるか。

飛行魔法ともう一つ、セーナ用の魔法が鍵になるだろう。


 セーナの飛行魔法習得はあまり上手く行っていない。

見た感じ魔法の発動に問題は見当たらないのだが、魔力の消費量が多すぎる。

魔力の回復速度と消費量の釣り合いが取れていないので、直ぐにガス欠になってしまう。


 とてもピッコ村までは飛んでいけない。


 風の適正が無いことが原因だとは思う。

というより、セーナが問題なのではなく、私の適性が高すぎるから使えているだけなのかもしれない。


 どの道、飛行魔法を安易に普及させるわけにはいかないだろう。

戦争が一気に発展しましたなんて事になったら笑い話にもならない。




----------------------




 ダンジョン攻略についてはセーナと念入りに打ち合わせ、父が長期で屋敷を離れているタイミングで決行した。


 遂には父のスケジュールまで教えれるようになったセーナの口を割らせる為に、いろいろ条件を飲まされた。



「あなたどっちの味方なのよ!」


「もちろんお嬢様です」


 最近、セーナの態度がとても大きい気がする。

出会った頃の素直なセーナはどこに行ったのだろう。


 しかも、セーナは一部のメイド達への裏工作まで行い、数日屋敷を離れても問題ないようにしてくれた。


 頼もしいけど少し怖い……


 その話を聞いた私の恐怖を感じて、セーナは一瞬、恍惚とした表情を浮かべていた様に見えた。

変な趣味に目覚めてない?


 ともかく、初めてのダンジョンだ!

ワクワクしてきた!




----------------------




 今回挑むダンジョンはオーソドックスな洞窟タイプだ。

戦闘を回避するために通路の大きな場所を選んだ。


 このダンジョンでは魔力自動回復の指輪が手に入れられる。

できれば魔力量上昇の方が欲しかったが、条件に合うダンジョンでは無かった。


 この世界のダンジョンとは魔物の巣である。

洞窟に限らず、森や荒野など様々だ。


 何故か魔物のボスは倒してもしばらくすると復活してしまう。

そしてボスは魔物を生み出す。


 新しく生まれた魔物たちはボスの元から離れていき、ダンジョンの範囲を段々広げていく。


 ダンジョン外に現れる魔物は、ダンジョンからはぐれた魔物が野生化したのではないかと言われている。


 ボスに近い位置にいる魔物程強く、まるでボスを守る様に動くそうだ。


 最近ではボスを倒せるほどの人間は存在しないため、ボスの元を離れて特定の所まで侵攻した魔物を倒し、ダンジョンが広がらないようにするので精一杯だ。


 このダンジョンの管理は国としても最重要事項であり、当然、ダンジョンの入口には見張りが存在する。


 今回は風の繭で不可視化し、夜の内に飛び込んだ。


 洞窟の魔物は比較的動きが遅く回避がしやすい。

速いのはせいぜいコウモリ系の魔物くらいだろう。


 反して、森や荒野の魔物は動きが早い。

特に森では、深部になると四方八方から敵が襲ってくるので大変危険だ。


 この世界の魔物は普通の動物が変化した様な姿が多い。

そのためか、ゴブリンやスライムのようなモンスターは存在しない。


 ドラゴンは爬虫類が大きくなったようなものは存在するが、翼が生えた種類はいない。

実際、ゲームにも登場しなかったはずだ。


 なので、この世界では鳥系の魔物が最も恐れられている。

強い魔物ほどダンジョンから出てくる事は無く、数百年目撃されたことは無いが、一部の鳥系魔物は知能が高く、魔法すら使ってくるといわれている。


 上空から一方的に魔法を浴びせられ、本体も強靭な肉体を持っているなど、この世界の現代人に対抗するすべは無いだろう。


 ゲームでは特に鳥系が最強などなく、普通に攻撃できていたので、これも現実になった弊害かもしれない。


 それにしても、数百年以上前からゲームと認識が異なっているのはどういう事だろう。

その時点で歴史が変わっているのであれば、ゲームとはもっと大きな差が生まれていてもおかしくないだろう。

この事はもう少し調べておいたほうが良いかもしれない。



「やっと終わったみたいね。そろそろ集中した方が良いんじゃない?」


「そうね。気をつける」


 私の思考が途切れたのに気付いたセーナから指摘される。

確かに、もうダンジョンの中だ。

考え事に気を取られて魔物に襲われたら大変だ。


 ゲームで何度も通った道を思い出しながら進んでいく。

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