優しいから、それでいいの
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛です。生々しいR15です。
苦手な方はご注意下さい。
同じ布団に産まれたままの姿で包まって睦言を交わす。彼女は昨夜と変わらぬ何処かぼんやりとした顔で此方を見詰めていた。
普段から子供の様に燥ぐ事はなく、俯瞰的に物事を見て、ゆっくりとした声で話す。言葉使いは何時も丁寧だった。そして何を考えているか分からない様な表情をしていた。
捕まえようとしても、すぐにすり抜けそうなその様は、恐らく色気があると言うのだろう。
「あの……どうだったでしょうか……?」
「うーん……。上手くは無い」
彼女はバッサリとそう切り捨てた。慈悲はない。何処を探してもない。
分かってはいた事だった。彼女に触れた時には何処か遠くを見ていた。変わらない何処か俯瞰した表情で。でも時おり優しい表情で、気遣う様に、その艶やかな指で優しく急所に触れてくれた。首周りしかり、心臓しかり、性別の象徴しかり。だから思わず期待してしまった。
「でも、優しいから、それでいいの」
そう言って枕元に置いてあった缶に手を伸ばす。中身は彼女が早朝必ず付けているハンドクリームである。それを手で掬いとって、頬にするりと塗り付けた。
「手を出してくれる?」
布団に潜り込ませていた手を出すと、両手で握る様にして刷り込ませていく、指の先から、付け根、甲から腹まで丁寧に。
「頂上を見なくちゃ意味無い。なんて男の人はよく言うけれど、此方はそれだけじゃ、ないからね。別に頂点に押し上げなくても、精神が満たされればそれで良いの。だから、焦っては駄目よ。余裕がないと、何も見えない」
そう言って、自分の掌にも丹念にクリームを塗り込んで行く。僕にしたのと同じ様に。
彼女が何を考えているか、相変わらず分からない。
「でも、やっぱり君にも良くなって貰いたい」
すると少しだけ口角を上げて、缶を手にした。
「私がこれを塗った意味、分かる?」
分かるわけがない。何を考えて、塗ったのか。それは彼女のみが知る真実である。
「そう。それが分かると少し近づけるかも。勿論、これは大きな答えの一つに過ぎないけれど」
考察ー、頑張ります……。
余りにも抽象的すぎるこの小説。
ヒントとして出てるのは、二人が睦事の朝だと言うこと。
睦事故に、急所とか、あまり触れて欲しくない場所にも触れます。
そんな時に、手が乾燥していたらどうでしょうか?
という私の着眼点。
心の焦りと手の乾燥を重ねて見ていくと、焦り過ぎだから余裕を持ってね。
あと普段気にかけ無いようなところでも、赤裸々になるから気を使ってね。
という意味ではないのかと。
でも本人が言うように、『優しいから、それでいい』。
気付かなくても別にいい。なのかと。
色気のあるねーちゃんは、多くを語らないので此方が苦労します。