DAY1
俺が17歳の8月3日から話していこうか。
この日は、文化祭の準備で忙しかった頃だ。俺らのクラス、2-2は、確か、お化け屋敷と、焼きそば&綿飴の屋台だった。俺はお化け屋敷班で、受付役だった筈だ。この頃は正義感が強くうるさい陽キャ共によく注意していたものだ。
「おい、北山。ちょっとこっち来てくれ。」
「あー。今やってる事あるから、それ終わってからでいい?」
「お。おけい。早くこいよ。」
この時、後期学級委員長だったからそれなりに人気があったはず。それでちょっとイキってたけど。
「で?何すんの?赤山。俺、もう行かなきゃなんだけど。」
「おー。来た来た。あのさー。このセットが作れねえんだよ。どうすればいい?」
「あー。これはね、歯車にしたら?」
「確かに!ありがと!」
こんな感じでいろんな人を助けてたなあー。この頃が一番良かったかも。
けれど、朝、みんなでセット作りが終わってから、厄介ごとに巻き込まれた。
「北山。お前、あんまし調子乗んなよ?早く金出せよ。ほら。」
「お前らな。こんなことしていいとでも思ってんのか?すぐに退学だぞ?わかっててやってんのか。」
「どーせすぐにチクるんだろ?自分弱っっちいお子ちゃまだからねぇ笑笑」
「は?お前らよりまともだっつーの。不良もどきがイキってんじゃねぇよ!」
「はい。ボコボコ決定ー!」
ボコッドスッパチーン
とボコボコにされた。学級委員長だとしても。なかなか許されない事態だ。
「え?どうしたの北山くん!」
渡原さんが心配してくれる。占いでは、相性がいいらしい。渡原さん、可愛いんだよな。
「いや。なんにもないよ。気にしないで。」
「う、うん・・・」
他の子たちも心配してくれる。
この時だけは「あー。みんな、俺をみてくれてるんだな。」って感じたなぁ。楽しかったー!
結局、あの馬鹿どもは退学らしい。名前が、秋山隆、奈良原汰呂、丸山成、山口布串。この4人。
ざまーみろ!ばーかばーか
お化け屋敷のセットもかなりいい感じだ。ちゃんと薄暗く、不気味な雰囲気が漂っている。学生が作ったにしてはなかなかの出来ではないか。それなりに良い。
「どう?良い感じになってる?」
「うん!良い感じだよ!北山くんの方は?」
「マニュアルもできて、良い感じだよ!引き続き、頑張ってね。」
どうにかして、渡原さんと文化祭、回りたいな。
そして、特に大きな出来事もなく、学校が終わった。後は帰宅するだけだが、いつも、怒られるかと思うと帰るのが嫌になる。そして、いつも死にたくなるんだ。それを親に言っても、聞かないという。矛盾してるんだよ!くそが。
ーーーーーーーーーー
「ただいまー。」
「あんた。ちょっと座りなさい。話があるわ。」
「あの不良もどきになんか言われたの?」
「あんたと喧嘩したそうじゃない。しかも、喧嘩なのにあんたが先生呼んで、卑怯だと思わないの!?」
はー。出た出た。うるせえなぁ。事情もよく知らないくせに。しゃしゃってんじゃねえよ。クソババアが。
「喧嘩なら正々堂々闘いなさいよ!わかった?」
「いや。全然違う。まず、話聞こうと思わないの?そんなのしないから駄目な親なんだよ。ったく。」
「なんなのその態度はー!せっかく痛い思いして産んだのにー!」
「じゃあ産まなきゃ良かったじゃん。人に責任、押し付けないでくれる?笑笑」
お決まりのパターンだ。うるさいんだよ。いっつもいっつも。
「だからね!人様に馬鹿にされて、親から怒られるんでしょ!だからあんたは駄目なのよ!人生経験がないから!」
「はいはい。わかりましたよ。こんな、母さんにストレス感じさせるやつはいなくなったらいいんだろ?了解了解。」
「だからね。あんた極端なのよ!もっと間を取ろうとか思わないわけ?」
「こんな親の元に産まれなきゃ良かったなぁ。」
と言いつつ階段を登っていく俺。下で喚き散らかしているけど知ったこっちゃないね。
「明日、おぼえときなさいよー!」
はぁ。やっぱり、こんな親から逃げようかな。
手首についたリストカットの跡を見ながら、
「ここまで、よく頑張ったよ。俺。」
1人、そう呟いてカッターを手に取った。リスカなんて、もう、慣れたものだな。
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