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外伝③ 芯遍城攻略戦

李克の策が、ついに暴かれる。

 一体何が起こったのか。視点を韓軍第二陣の二人から韓軍本陣に変えて見ていこう。

 戦が始まって三時間後、韓軍本陣にて。

「まだ忠遜(ちゅうそん)は敵第一陣を抜けぬのか」

 韓軍総大将、巡淵(じゅんえん)は焦っていた。韓軍随一の突破力を誇る忠遜軍が、想像以上に敵第一陣を攻めあぐねているからである。

「殿、一大事です!」

「何じゃあっ!?」

 巡淵は虫の居所が悪く、伝令兵の胸ぐらを掴んで叫んだ。

「し、芯遍(しんへん)城がぁっ!」

 伝令兵は苦しそうにしながら言った。

「かん、陥落しまsh…」

 伝令兵が言い終わらないうちに、巡淵は伝令兵の胸ぐらを掴んでいた手を離し、伝令兵は地面に落下した。

「何だとっ!詳しく話せ!」

 伝令兵は懸命に事情を話した。突然、魏軍2千が攻め寄せてきたこと。門番が実は魏軍の内通者だったので、門が無血で開いたこと。流れ込んだ魏軍の前になすすべもなく市民は降伏したこと。そして降伏した市民は軟禁状態にあること。韓軍が芯遍城に攻め寄せてきたら、軟禁状態にある市民を皆殺しにすると魏軍が言っていること。

 巡淵は伝令兵の話を元に、的確な手段を考えた。そして考えついたのは、全軍撤退だった。これは完全な敗北を意味するが、これ以上犠牲を出さずに済む最良の手だった。

 巡淵が危惧したことは、このまま芯遍平野に留まれば、芯遍城から出た魏軍と今相対している魏軍に挟み撃ちを受けることであった。そして実際に、魏軍総大将李克(りこく)も、その作戦を考えていた。


 魏軍の完勝であった。

 李克軍の追撃の前に、多くの兵が命を落とした。その中には、韓軍第二陣で話していた老兵と若者の二人も入っていた。韓軍の死者数は1万5千に及んだ。


 魏国王都安邑(あんゆう)の王宮広間にて、武侯(ぶこう)や宰相・魏成(ぎせい)などは定例会議を開いていた。ちょうど魏成が芯遍城の戦いについて触れようとした時、広間に伝令が入ってきた。

「申し上げます!芯遍から戦況に関する伝令が来ました」

 李克はあまり戦況を逐一中央に伝えない。よって、軍事をつかさどる魏成も細かい戦況は把握できていなかった。

「申せ」

「ははっ!魏軍は芯遍城から打って出た敵将、巡淵と芯遍平野で激突しました。」

「何っ!?攻城戦では無いのか!」

 ある血気盛んな文官が驚いて言った。

「はっ!戦は3時間程で決着し、魏軍の大勝利とのこと。撤退する敵を大いに追撃し、1万5千余りを討ち取り、さらに芯遍城を攻略しました!」

「な、なんと……。こちらの犠牲は?」

 魏成は、想像以上の完璧な戦果を叩き出した李克に感心し、同時に驚愕していた。

「犠牲は………僅か1千です!」

 伝令は少しためて、驚きの数字を述べた。魏成は目を白黒させて言った。

「予想していた数の5分の1だ」

 今まで黙っていた文侯が呟いた。

「…これ程の完璧な戦をする武将がいたとは…」

 まさにその通りだと文官たちは頷いた。

文官上がりということで、李克は真面目にキッチリやるタイプにしましたが、少しやりすぎたかも……。

こんな完璧な武将を前半に出してしまったらカオス。

まだまだ外伝は続きます!

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