第07話 エピローグです
「そんなわけで、ブルドーザーは前進するときよりも後退するときの方がスピードが出せるのでした。めでたしめでたし」
「面白い! ためになる! さすがはお姉ちゃん!」
今日は妹からのお願いで『はたらく乗り物』の語り聞かせをしています。
♢ ♢ ♢
葉澄さん——綺麗なお姉さんの出産から1年後、育休が明けて、葉澄さんが魔法少女に復帰しました。
それとともに、私たちの魔法少女代理のお役目も終了です。
一応まだ魔法少女回数券は手元にありますが、葉澄さんが復帰してからの1年間、私たちが出動することはありませんでした。
出没した業魔の鎧さんは、葉澄さんがあっという間に封印しているようです。
狂魔術師さんもあれから3人ほど捕まえたそうです。
こゆみさんとみなとさんとは、よく遊びます。かえでもいっしょです。
おおむね、みんなで何かを作ってみなとさんがパイプ椅子でそれを壊す、という遊び方が多いです。
冬は楽ですね。雪だるまとかを作ればいいですから。
一度パイプ椅子を壊してしまって、みなとさんが泣いてしまったことがありました。
魔法少女に変身している時はパイプ椅子も強化されていたのですが、普通の時に同じ調子でものを殴って曲がってしまいました。
そのパイプ椅子は直せるところを直して包帯を巻いて今はみなとさんの部屋に置いてあります。椅子としては使えるようです。
破壊行為に使うパイプ椅子2号の扱いは以前より丁寧になっています。
それと、壊れたものを直すことを覚えたようです。
こゆみさんは葉澄さんの赤ちゃんの朋恵ちゃんを見てから赤ちゃんきゃわきゃわ人になってしまいました。
葉澄さんの家を訪ねたときは終始朋恵ちゃんと遊んでいます。
喋るようになった朋恵ちゃんが発した『かうみ』という言葉が『こゆみ』のことだと気づいた時はのたうち回っていました。
それと、私を膝に乗せようとする回数が増えました。
私が赤ちゃんに見えているのでしょうか。
私も口にお菓子を入れられると自動的にもぐもぐしてしまいます。
いつでも美味しいものは美味しいです。
かえでは相変わらずです。
毎日語り聞かせをせがんだり私の自尊心を持ち上げたり私にイタズラしようとするみなとさんを蹴飛ばしたりしています。
朋恵ちゃんの扱いには慣れないようで、朋恵ちゃんが寄ってくると体が固まって動けなくなります。力加減がわからないそうです。
そうなると登りやすいのか、かえではよく朋恵ちゃんに登られたりしています。
私も相変わらず簡単に動揺したりする毎日です。
でもたぶん。動揺しても、前よりがんばれるようになったんじゃないかと思います。
少しは自信もつきました。たぶん。
あと、少し胸が大きくなったんじゃないかと思います。たぶん。
♢ ♢ ♢
「今日も面白かったよ! 明日はドリルジャンボという超かっこいい機械についてのお話がいいな!」
ドリルジャンボ? どういうものでしょう。調べておかなくては。
そのときリビングの窓がガラッと開いて、綺麗なお姉さんが勝手に入ってきました。
「アタシ二人目出来たから。産休取るからまたしばらく魔法少女の代理、お願いね。じゃねー」
葉澄さんはそれだけ言うと帰って行きました。
私とかえでは顔を見合わせて苦笑いします。
テレレッ! テレレッ!
リビングの壁にかけてある魔法少女回数券が点滅してアラームを鳴らしました。
「さっそく出たみたいだよ。行こっか」
「行こっか」
また私たちの出番のようです。
行きましょう。
魔法少女代理のお仕事、がんばります。
私たちの日々はこれからも続いて行きます。
ですが、皆さんに語り聞かせるのはここまでです。
私たちの物語はこれでお終い。
ここでお別れです。
最後に何か一言。
なにがいいですかね。
こんなのはどうかな?
ビバ! 魔法少女回数券!
「あっしらからもひとつ」
「「「ビバ! すっぽんぽん!」」」
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