第四十九話
翌日。
ホホは道具や試薬を揃えると昨日までの調合手順の中で一番収率の良い調合手順の準備を始めた。
ムゲンソウの葉と茎をすりつぶし、濾した緑色の液を木製の容器に保管。
保管している容器に乾燥コガネタマクサの葉を砕きながら緑色の液が入った容器に入れる。
ムゲンソウの液にコガネタマクサの葉の成分と反応させている間、湯煎によって聖水の入った鍋の中に乾燥シロガネグサの花を加えて人肌を保ちながらゆっくり紫色の有効成分を抽出する。
十分に紫色の成分が抽出したら湯煎をやめて常温で冷ます。
ここまでは最初に調合した手順と同じ。だがここからはホホが思いついた新しい手順。
ホホは調合を始める前に村の近くに実っていた未熟のクルプルの実を摘み取ってきた。
摘み取ってきた未熟のクルプルをすりおろす。実をすりおろした後にほのかに黄色の果汁を常温に冷めた紫色の抽出液に流し入れる。
紫色の抽出液にほのかに黄色の果汁が混ざると紫色の抽出液がより濃い紫色の変色する。抽出液と果汁が十分に混ざった後に花弁を取り除き砕いたコガネタマクサの葉を加えたムゲンソウの液を茶漉しで濾しながら加える。
濾した緑色の液と濃紫色の抽出液が混ざると濃青色の液体に変色する。前にクルプルの果汁を加える以外は同じ手順で行った時よりより色の濃い濃青色に変色している。
鍋に入っている濃青色の液体を鍋ごと湯煎してゆっくり熱する。熱が伝わっていくと鍋からクルプルの独特の酸味が空気中に漂う。時間をかけて酸味が飛びきった後に青色の結晶が鍋底にできていく。
湯煎から鍋を放し常温で冷ましていく。常温まで冷めて鍋に結晶が育った後に常温の聖水を少量鍋に加えた。青色の結晶に聖水が触れた後に布巾で結晶と液体を分別する。
青色結晶を自然乾燥させた後結晶を薬包紙で包み天秤に乗せる。反対側の皿に分銅を乗せて計量していく。
「……よし!やっぱり結晶が増えた!」
ホホは昨日の火を通したクルプルを食べていた時にしていた会話で新しい解決法を思いついた。
シロガネグサの花から抽出した有効成分は弱酸状態でないとムゲンソウの液に含まれる成分との反応しにくい。しかもただ弱酸状態にしてもコガネタマクサの成分も反応してしまい目的成分が合成できない。
そこでホホは未熟のクルプルの果汁を加えた。未熟のクルプルは熟したクルプルと違い甘味成分が極度にづくない上、酸味成分や苦味成分が豊富だ。その果汁を紫色の抽出液に加えた後ムゲンソウの緑色の液を加えれば酸味成分で液体中は弱酸状態になり苦味成分がコガネタマクサの成分の反応を阻害して有効成分のみが反応してくれる。
結晶ができた後聖水を加えて結晶委含まれる余計な成分を溶解させて結晶を洗浄した。
そのおかげで収量は今までで一番多い。収率も五割近くまで上げられた。
「これなら先生についていける……!」
ホホは青色の結晶を見ながら握り拳を作り喜びを噛み締める。
お疲れ様です。
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これからも投稿しますので良ければ次話も読んで下さい。




