表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/336

第四十八話

 村の氷や燃えてしまい炭化した建物を除去し始めて数日が経った。


 ホホは魔法薬の専門書を読んで考えたいくつかの手順を試したが、どの手順も収率が三割を超えなかった。

 今日もホホは考えた手順を試したが収率は今までに知られている最大収率の範疇だった。


「これで何度目だろう……」


 ホホは終了を高い手順んをそれぞれ組み合わせて今までより高い収率にならないか考えたが、ホホの発想くらいなら他の魔法薬を生業としている人達は既に試しているだろう。それでも現在知られている収率が三割を超えないのはその手では収率を上げられないという事だ。


「どうしよう。手詰まりになっちゃった」


 ホホは新しい考えが浮かばず空を見た。いつの間にか空は真っ暗になって星が輝いている。

 夜になっていた事に気付くとホホは外の空気が冷えてきた事に気付いた。ホホは服の上から腕の肌を擦りながら避難所の住居スペースに戻ろうとした。


 ホホは住居スペースに戻ろうとしたとき避難所の奥で焚火の前に数人が火の周りを囲んでいる。そして焚火の方から甘く芳しい香りが漂ってくる。

 ホホは焚火の方に歩いていくと焚火を囲んでいる人達が和気藹々と話している声が聞こえる。


 焚火を囲んでいる人達の一人がホホの気配に気づいたのかホホの方を見た。


「なんじゃ。ホホじゃないか」


 ホホの方を見たのはコンだった。コンんが振り向いたのに気付いた周りの人達もコンが見ているホホの方を見る。


「ホホの嬢ちゃんもこっちに来て俺達とこれ食べようぜ」


 焚火で囲んでいる人達の中で人並み外れた体格のラザフォードはホホを焚火を囲んでいる輪の中に呼んだ。


「それじゃ、お言葉に甘えて」


 ホホはラザフォードの言葉に肯定すると焚火の方へ進んでいく。

 焚火の前に着いたホホは焚火の前に串で刺されている木の実が目に入る。


「これってクルプルの実じゃないですか。食べられない木の実を何で焚火の前に置いてるんですか?」


 ホホは村の傍に実っている口にすれば腹を壊す成分を含んでいる食べられないクルプルの実が焚火の前に置かれているのに疑問を浮かべて質問する。


「やっぱりホホも知らなかったみたいだな。クルプルの実は火を通せば有毒成分が分解されるんだ。ホホを食べてみろよ」


 焚火の前に囲んでいたノクトはホホの質問を聞いて返答した。そして十分に火の通ったクルプルが刺さった串を渡した。

 ノクトが渡した串を受け取ったホホは火の通ったクルプルから漂う鮮烈な甘い香りを嗅ぐと同時に腹の虫が鳴った。


 花ラム氏が鳴ったホホは恥ずかしさで顔を赤くする。焚火を囲んでいる人達は顔を赤くしているホホの反応を見て盛大に笑った。


「やっぱり子供だな。腹の虫は素直だ」

「お前がそれを言うのか?最初は食べられないと言い張って食べようとしなかったのにいい匂いにつられて一口食べたら無言で食べ進めたくせに」


 火を囲んでいる村人からは相内事を話しているとその間にホホは手に持っている火の通ったクルプルを口にした。

 一口かじった瞬間口の中に熱い果汁が迸る。ホホは暑さに悶えながらハフハフしながら口の中の熱を逃がしていく。


 程よく熱が逃げると口の中に上品な甘みと柑橘系の爽やかな香りが口いっぱいに広がる。


「美味しいです!」


 ホホは言葉を発した直後一心不乱に火の通ったクルプルを食べ進める。

 口の中に迸る熱い果汁に悶えつつも美味であるクルプルを食べ進めた。

 しばらく経つとホホが手渡されたクルプルが跡形もなく食べられていた。


「美味しかったです」


 ホホは舌鼓を打ちとても満足した表情を浮かべた。


「それにしても不思議です。クルプルは生で口にすれば吐き出すくらいの酸味と苦味があると言われて腹を壊すのにゆっくり火を通すだけで食べられる上、こんなに美味しくなるなんて思いませんでした」


 ホホは食べ終わった後まだ日の前で火を通しているクルプルを見て感心していた。

 今まで食べられないと決めつけてた木の実がただゆっくり火を通すだけで美味しく食べられるとは思いもしなかった。


「俺が火を通してたら村の大人が匂いにつられてここに集まったんだ。最初は食べるのを躊躇したんだが俺が食べるのを見た途端すぐに食べ始めたんだ」


 ラザフォードは火を通せばクルプルの実が食べられると教えてどこか地面気な表情を浮かべていた。


「まあ、酸味と苦味の中でもクルプルに含まれてるのは熱にすごく弱い成分ばかりだから火を通せば美味しく食べられるのは当たり前と言えば当たり前だけど意識しないと考えもしないだろう」


 ノクトは息を吹きかけて熱を冷ましながらクルプルを食べ進めながら呟いた。

 ホホはノクトのつぶやきを聞いて納得する。確かに意識すれば当たり前なのに食べられないと決めつけて食べられる方法を考えなかった。


 その時ホホははっとした表情を浮かべる。


「クルプルの木の実ってまだ実ってますか?」

「あぁ。この周辺にたくさん実ってたからな」


 ホホがラザフォードの方を見て質問するとラザフォードはホホの質問に答えた。


「教えてくれてありがとうございます!」


 ホホはラザフォードにお礼を言うと避難所の住居スペースへ駆け足で進んでいく。


「どうしたんだ?ホホの嬢ちゃん」

「さあ。けど何か思いついたみたいですね」


 ホホの様子に疑問符を浮かべるラザフォードにノクトは分からないと伝えてクルプルを食べ進める。食べ進めるノクトはホホの何か思いついた様子を見てから口角を少し上げていた。

お疲れ様です。

tawashiです。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

これからも投稿しますので良ければ次話も読んで下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ