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第四十四話(裏)

 一晩中泣いたシャルは自分の部屋か出ていつも通り悪魔達が集まる部屋へ出向いた。

 シャルが部屋に入ると部屋にいる悪魔達は一斉にシャルを見る。


「どうしたのみんな?」


 シャルは平静を装いながら一斉にシャルを見た悪魔達に質問した。


「それはこちらの台詞です。なんて顔をしているのですか?」


 悪魔の一体はシャルへ質問を訊き返す。それもそうだろう。今のシャルの顔は自分では平静を装っているが一晩中泣いていたのが原因で目を赤く腫らせている。それにいつもより顔色が悪く肌が青白い。


「そうかな?私はいつも通りだよ」


 シャルはいつも通りだと言い張り笑顔を作る。


「それがおかしいと言っているんです」

「え?」


 悪魔がいつも通りを主張するシャルに対して一言告げるとシャルは言葉が反射的に漏れた。


「シャルはいつも私達に対して自分の調子など主張してきません。それに私達がシャルロットの調子を見枯れても「大丈夫」くらい端的な発言しかしないはずです。それなのに今日は顔色が悪いのに大丈夫と主張しすぎです」


 言われてみればそうだ。いつものシャルはたとえ調子が良かろうが悪かろうが一言言葉を発するくらいで自ら調子を主張しない。


 二年間の付き合いである悪魔達にはそれがお見通しなのだろう。


「昨日の一件は私達も思考共有されています。確かにノクト様と直接出会い戦う事になった時のお気持ちはお察しします。けれどそれを引きずられては計画に支障が出ます」


 悪魔はシャルの気持ちを汲むと同時にいつまでも引きずっているシャルへ忠告した。

 シャルは悪魔の指摘が図星だったようで一言も声が発せられなかった。


「魔王様もこの事は承知のはずです。こればかりは魔王様の判断を待つしかありません」

「どういうこと?」


「今の貴女は精神が不安定でいつもの冷静な判断ができないと考えられます。魔王様はそれを危惧していますのでシャルロットをしばらく休養を取らせる可能性があります」

「何で⁉」


 シャルは状況を説明する悪魔にらしくなく声を荒げた。


「私は大丈夫って言ってるんだから私を使いなさいよ!私がいないと何も計画が進まないじゃない!それなのに私を休ませてどうするのよ⁉」


 シャルはいつも悪魔達に淡々と話すのに今日に限ってはかなりヒステリックに悪魔に言葉をぶつけている。


『我も同意見だ。少し頭を冷やせ。シャルロット』


 シャルや悪魔達の頭の中に凄みのある声が届く。


「魔王様!」


 悪魔達は今いる部屋にはいないはずの魔王へ一斉に跪いた。


「魔王まで何でそんなこというの⁉私しか魔力の欠片を奪還できないし、翻訳本アルゴリズムの回収はできないのよ!それなのになんで私を休ませようとするの⁉」


 シャルは部屋におらず頭の中に語り掛ける魔王に声を荒げて反論する。


『だからだ。シャルロットがいなくなっては我々が困る。今の状態ではいつ勇者達にやられるか分からない。だから気持ちが落ち着くまでシャルロットは別行動をしてもらう』


 魔王は悪魔達が思っている事を代弁した。魔王の魔力の欠片も翻訳本もシャルがいないと回収不可能になる。それこそシャルや魔王達の大願は叶わなくなる。魔王はそれを危惧している。


『シャルロットはこれから我の別の目的のために動いてもらう。別の目的には勇者側も気付いていない。力を少し取り戻した我が予見できないように細工もした。そこでシャルロットは少し休みながら役目を果たしてくれ』


 魔王はシャルが何もしないでただ休むという行為を拒否すると思い別の役割を与えつつシャルを休ませる事にした。


「……分かったわ」


 シャルも魔王が自分の主張と調子を両方汲んで別行動させている事に気付いたのでシャルは拒否をせず渋々了承した。


『別の目的にはタウも同行させる。そこで少しは気を落ち着けろ』


 シャルと悪魔達の頭の中に語り掛ける魔王の声が別の目的にタウも同行させる事を伝えた後頭の中から声が途切れる。

 悪魔達は床に跪いた体勢を戻して立ち上がった。


「分かりましたね、シャルロット。魔王様も貴女を心配しています」

「分かってるわ……」


 悪魔の言葉にシャルは言葉が尻すぼみになりながら答える。


「私もシャルロットと同行しますからできる限りサポートします」


 シャルの目の前にタウが歩み寄りシャルに語り掛けた。

 シャルはタウの話を聞いたが言葉を返さなかった。


「まあお気に召さないでしょうが我慢して下さい。これも魔王様の意志ですから」


 タウは納得しきっていないシャルにタウは我慢するように告げた。

 シャルはタウが話終わると今何時部屋から出た。


「あれは元に戻るのに相当かかりそうですね」


 タウは部屋を出たシャルの機嫌を見て思わず呟いた。


「仕方ありません。シャルロットには別の目的の重要性を魔王様は伝えていません。あの反応をするのも当然だと思います」


 タウの呟きに傍にいたユプシロンが事情を知らないシャルの態度も納得がいくとタウに告げる。


「考えてみればそうですね。魔王様もわざとシャルロットにだけ伝えてませんン氏、今回に限ってはその方が良いかもしれませんね」


 タウもユプシロンの言葉に納得した。魔王もシャルに精神的負担を軽くするために伝えなかったのだ。しかも昨日の今日で心の整理がつかないシャルにとってはむしろ伝えない方が良いだろう。

 悪魔達全員が現状の最善策だと考え、悪魔達はシャルが来る前と同じ場所へ戻る。

お疲れ様です。

tawashiと申す者です。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

これからも投稿しますので良ければ次話も読んで下さい。

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