第四十二話(表裏)
仮面が砕けて素顔が露わになるシャルと向かい合うノクトは嫌な予感が確証となった事に動揺した。
目の前のシャルは涙を流しながらノクトを見てる。
「……ノクト、……なんで……?」
涙を流すシャルはノクトを見て絞り出すような震えた声を出した。
「なんで私の前に立ちはだかる勇者がノクトなの⁉」
シャルはシャルは震える声のままノクトに叫んだ。相当気が立っているらしくシャルの体から魔力が漏れ出ていた。
「私はこの世界を変えて、アンリとノクトと幸せに暮らしたいだけ!なのになんで私の邪魔をする勇者がノクトなの⁉」
シャルは再び剣を構えてノクトへ振りかぶった。
ノクトは世間を構えてシャルの剣を防ぐ。
「それはこっちの台詞だ!なんでシャルが悪魔と一緒にいるんだよ⁉悪魔はジジイを殺した奴らだぞ!」
ノクトはシャルが剣の一撃を防ぐので精一杯になり鍔迫り合いにもならない状態でシャルに叫ぶ。
「目を覚ませ!悪魔に何吹き込まれたか知らないが俺はシャルの敵じゃない!」
ノクトはシャルが悪魔側の神寧である確証を得てしまった事に動揺してシャルに防戦一方になる。
「……だったらなんで……」
シャルは剣の意義劇を防いでいるノクトを見て大粒の涙を流す。
「なんでノクトが勇者なんてやる必要があるの⁉勇者は国の都合で命を賭けて魔王と戦わないといけないのよ⁉それも自分達にとって邪魔な存在というだけで本当の平和を求める魔王を滅ぼそうとしている国のために何でノクトが命を賭けないといけないの⁉私と戦わないといけないの⁉」
シャルは剣で強くしつけてノクトを押しつぶそうとする。その時シャルは顔をぐしゃぐしゃにしてノクトに今の感情を露わにした。
「俺だってこの国の偉い奴らが腐ってることなんて分かってる。俺が魔王の血族というだけで処刑しようとするし、俺を守って死んだジジイを利用するだけ利用して死んだ後は使えないと吐き捨てるようなクズ野郎ばかりだ。しかも俺達と関係のない人まで巻き込んでさえ自分達の行為が正しいなんて言うような奴らはいなくなった方が良い」
シャルに圧されているノクトはシャルに向かって王都に着いてから感じた本音を吐露した。
「だったら何でノクトが今も勇者なんてやってるの⁉」
「シャルを助けたい」
「⁉」
ノクトは一方的に押されているぢゃるの剣を押し返し始めた。
「この村の火事を鎮火したのは多分シャルだろ?そんな優しいシャルが涙を流してまで世界を敵に回しても手に入れたい本当の平和なんて俺は欲しくない」
ノクトがシャルの剣を押し返して再び鍔迫り合いの状態になる。
「俺はただ前みたいにどこか小さな場所でアンリとシャルと一緒に楽しくくさせるならそれでいい。それ以上は何も望んでない!」
ノクトの思いを聞いたシャルがぐしゃぐしゃの顔から大粒の涙を頬から地面に滴り落ちていく。
「……もう遅いよ」
シャルがぼそっと呟くと志やうrは鍔迫り合いの状態からノクトの聖剣を払って鍔迫り合いを解いて距離を取った。
「私はノクトがまだ知らないこの世界の闇を知ってる。だからこそ私はノクトとアンリのために世界を変えて本当の幸せを手に入れる!」
シャルは頬に流れる大粒の涙を拭い赤く腫らせた瞳でノクトを見て宣言した。その瞳はシャルが宣言した言葉よりも真っ直ぐな思いを伝えさせる。
「だったら俺はこれ以上シャルが世界中から敵視されるような行動を阻止する。シャルだけが苦しんで手に入れる平和じゃなく、シャルも含めて幸せな平和を手に入れる!」
ノクトも真っ直ぐな瞳でシャルを見つめて自分の思いを宣言した。
互いに対峙する状態でシャルの後ろには悪魔達が、ノクトの後ろにはラザフォードが近付いた。
「どうやらノクト様を懐柔するのは無理でしたね」
「ノクト様にこの世界の真実をちゃんと話せば理解してくれると思いますが」
悪魔達はノクトに真実を語らないかと提案する。
「無駄だよ。ノクトはあの顔で自分の意見を言った時絶対に自分の考えを変えない。たとえノクト自身の首を絞めるような状況でも」
シャルは悪魔の提案に真実を伝えても懐柔するのは不可能であると伝える。
「すまないノクト。ほんのわずかしか時間を稼げなかった」
「大丈夫です。あいつにオレの思いを伝えられました」
ラザフォードは魔の前に対峙するシャルを見つめているノクトの言葉に疑問を浮かべるがこの状況では疑問を考えるのは後回しと切り替える。
「私はノクトのため、アンリのためにこの世界を変えて本当の平和を手に入れる。ノクトは私達の目的を邪魔する勇者。私は全力でノクトの邪魔から逃れてみせる」
シャルはノクトに言い放つとシャルと悪魔達の足元から魔法陣が展開されて光の柱が魔法陣から達体を呑み込む。
光の柱が消えると先程まで存在していたシャルと悪魔達は姿を消した。
お疲れ様です。
tawashiと申す者です。
本日も読んで頂き誠にありがとうございます。
これからも投稿しますので良ければ次話も読んで下さい。