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第四話

 シャルは事の顛末を話した。


 アンリと一緒に食事の準備のため食材の買い物をしていた。


 アンリが手分けして買い物をした方が早いと言ってシャルと別行動をして買い物を続けた。


 買い物を終えたら集合場所で待機する約束をしたシャルは自分が担当した食材を買い終わりアンリが来るのを待っているとシャルを呼ぶ声がするとアンリが遠くから呼んでいた。


 シャルは手を振って返事をしようとした瞬間、アンリの後ろから外套を被った大男が現れアンリの口を手で塞いでそのまま路地裏へアンリを連れ去った。


 最悪な事に待ち合わせの周囲には人がおらずアンリを連れ去ったことを見たのはシャルのみだった

シャルはアンリを連れ去った大男を探すために路地裏へ入って追ったが途中で見失ってしまった。


 大男を探す手段がないシャルは至るところを走り回って探した。しかしアンリと大男は見つからずこの事を早くエドワードとノクトに伝えるため全速力で家に戻ったらしい。


事情を聴いたノクトは顔色が青ざめていた。しかし落ち着き、冷静に判断しろと自分に言い聞かせ、これからすべきことを整理する。


「まずシャルはこの事をジジイに詳しく説明するんだ。俺は探知魔術でアンリがどこにいるか探知するから、探知出来たらジジイと俺が助けに行く」


 シャルにこれからする事を説明するノクト。


「お養父とうさんに説明した後、私は何をすれば⁉」


「シャルは何かあった時のために家で待ってくれ。俺とジジイが町の人に手伝ってもらうよう声をかけて回るからシャルはここで待ってくれ」


「……分かった」


 シャルにこの後の事を説明すると、何か言いたい事があったようだが押し殺してノクトに了承の返事をした。


「じゃあシャル。ジジイは魔法薬学実験室にいるから説明してきてくれ」


 ノクトの指示を聞いたシャルは急いで家の外に出てエドワードのいる地下魔法薬学実験室に向かって走った。


 ノクトはアンリを探すため家の外に出て探知魔術を展開した。


 ノクトの足元には淡い緑色の魔法陣が広がる。その魔法陣は足元の地面から空に向かって移動し始め空へ移動するたびに魔法陣が大きく広がっていく。


 空へ大きく展開した探知魔術の魔法陣は光の粒子に変わりノクトの左手に収束していく。


 ノクトの左手に収束した魔法陣の光の粒子は左手に全て収束すると霧散し消えていく。


 光の粒子が霧散するとノクトは苦虫を噛み潰したような顔をする。


 ノクトの探知魔術の探知範囲にアンリがいなかった。


 ノクトは再び探知魔術を展開する。今度は探知範囲を広げるため探知魔術の魔法陣を先程より大きく展開した。


 空に広がる魔法陣は先程より一回り大きく展開される。魔法陣が光の粒子に変わりノクトの左手に収束し、左手の中で光の粒子が霧散する。


 ノクトは先程より苦い表情を浮かべる。


 探知魔術でアンリの居場所が特定できない。


 先程より探知魔術の範囲を広げた。この範囲なら王都郊外の街の外の平原まで探知が可能なはずなのにアンリの居場所が特定できない。


 なぜなのかノクトは考えるが、シャルほどではないがアンリが攫われた事に内心動揺しているノクトは原因が何なのか冷静に考えられていなかった。


 そんなノクトの前にシャルとエドワードが走って近づいてきた。


「ノクト!シャルから事情は聴いた。探知魔術で探知できたか?」


「それが街の外まで探知魔術を展開したんだが、アンリの居場所が引っ掛からない!」


 エドワードに探知魔術で探しているがアンリの居場所を特定できないことをノクトは説明する。


「俺も探知魔術でアンリを探知する。ノクトは俺の探知魔術に干渉しないよう魔術は使うなよ」


「分かった」


 探知魔術は術者が認識している人や物を魔法陣が展開された範囲で探知が可能な優秀な魔術である。

 しかし術者の傍で他の術者が魔術を発動させると探知魔術が他の魔術と干渉して探知魔術が十分に効力を発揮しない欠点がある。


 そのためノクトは何もせずエドワードの探知魔術が成功するのを心の中で祈る。


 エドワードの足元に魔法陣が展開され、魔法陣が空へ移動しながら大きく広がっていく。


 ノクトが展開した二回目の探知魔術の魔法陣より一回り以上大きく魔法陣の光も強かった。


 空に広がった魔法陣が光の粒子に変わりエドワードの右手に収束する。


 収束した光の粒子はエドワードの右手に集まり霧散する。探知魔術が完了した。


「どうだったんだ⁉ジジイ!」


 探知魔術が完了した事を確認したノクトはエドワードに質問した。


「俺の探知魔術でもアンリの居場所が特定できない」


 エドワードはノクトと違い落ち着いた表情のまま結果を説明した。


「俺も広範囲でアンリを探知したがアンリが引っ掛からない。想定される可能性だが——」


「その可能性ってなんだよ?」


 エドワードに想定される可能性を尋ねるノクト。


「——アンリを攫った男が俺とノクトの探知魔術の範囲外まで逃走した可能性。もう一つは探知魔術を妨害しつつ逃走しているかだ」


 エドワードは冷静な表情でノクトとシャルに説明する。


「そんな……それじゃアンリの居場所はどう探せばいいの。お養父さん?」


 シャルは今にも不安で泣きそうな顔をしてエドワードに尋ねる。


「探知魔術の範囲外まで逃走するにも、探知魔術を妨害しつつ逃走するにも、魔術を使って逃走する必要がある」


「それって——」


「アンリを攫った男も魔術師だ」


ノクトがそうでないあってほしいと祈っていた希望をエドワードは現実を突きつける。


 お疲れ様です。

 tawashiと申す者です。

 本日は休日に書き溜めた話を連続で投稿します。

 今回も読んでくださり誠にありがとうございます。

 引き続き次話も読んでくださると幸いです。

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