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第三十五話

 ノクトとラザフォードが村に戻ると村の建物が燃え上がり大量の黒煙を上げている。

 火柱と黒煙が立ち上る中、悲鳴を上げる村人達は火が点いた建物から出て誰よりも早く避難しようとするあまり村全体が混乱の渦に巻き込まれている。そのせいで冷静さを欠いた村人達は無意識で互いの行動を邪魔してしまい火事の現場から避難できていない。


「ノクト!俺達は村人の避難を誘導するぞ!」

「分かりました!」


 ラザフォードの指示でノクトは火事が原因で混乱している村人達を村の外へ避難を誘導する。

 村人達はノクト達の避難誘導を聞いて外へ避難していく。


「放して!ママとパパの大切な本が!」


 ノクトが村人を避難誘導していると聞き覚えのある声がノクトの耳に届く。

 声が聞こえる方向を見ると村人の大人に羽交い絞めにされて身動きが取れない状態のほほがいた。

 羽交い絞めにされているホホは涙を浮かべて大声で必死に何かを訴えているがホホの思考が動転しているせいで羽交い絞めにしている大人達には何も伝わらない。


「ホホ!」


 ノクトは羽交い絞めにされているホホに大声で呼びかけて羽交い絞めにしている大人達の元へ走る。

 ホホを羽交い絞めにしている大人達の元へ辿り着くとホホが羽交い絞めを振り解こうと暴れていた。


「ホホがどうかしましたか⁉」


 ノクトは暴れているホホを羽交い絞めにしている大人達に声をかけた。


「この子の知り合いか⁉それならちょうどいい!この子火事の建物に戻ろうとしてるんだ!」


 羽交い絞めにしている大人の一人がノクトに事情を話した。


「どうしてですか?」

「それが分かれば暴れるこの子を羽交い絞めにしてない!」


 ノクトの質問に見当がつかない大人は半ば八つ当たり気味に声を荒げてノクトに言った。


「ホホ!おい!落ち着け!」


 大人の回答ではホホが火事の仲に戻ろうとする理由が分からなかったノクトはホホに大声で話しかけた。

 ノクトの大声にホホは羽交い絞めにされた状態で暴れようとした行動を止めてノクトの声が聞こえた方を見た。


「……先生。先生!お願い!ママとパパの本を!!」


 ノクトが視界に入ったホホは一瞬動きが止まったがその次にはノクトに動転した思考のままノクトに説明しようとした。


「いいから落ち着けホホ!それじゃ何を言いたいのか何も伝わらない!」


 ノクトは気を動転させたままのホホに両手で両側の頬に手加減して叩き落ち着くように訴えた。

 頬を叩かれたからなのかノクトの訴えが聞こえたのかホホは動転していた言動が一瞬で止まった。


「少しは落ち着いたか?」


 両側の頬を叩いたノクトが頬から手を放すとホホの頬はほのかにノクトの叩いた部分が赤くなって赤くなった部分が手の跡になった。


「どうしたんだホホ?」


 落ち着いたホホにノクトは落ち着いた声で質問した。


「……店に本が!ママとパパが大事にしてた本がそのままなの!あのままじゃ本が燃えてなくなっちゃう!」


 少し落ち着いたホホは火事の中、店に戻ろうとした理由を話した。


「ホホの気持ちも分かるが今戻れば火事に巻き込まれる。本一冊と自分の命どっちが大切なんだ?」

「……」


 ノクトの質問にホホは無言のまま何も言い返せなかった。

 ホホをなだめる事に成功したノクトに突然肌がひりつく感覚を覚えた。


 火事の炎の熱によるものでない事はノクト自身理解している。この感覚は数日前にも味わった感覚だ。

 ノクトは火事が起きている村の建物を見ると火事が起きている建物に入ろうとする黒い外套を羽織った者達が見えた。


 見間違えなどしない。ノクトが見たのは紛れもない悪魔だった。

お疲れ様です。

tawashiと申す者です。

本日も読んできた抱き誠にありがとうございます。

明日も燈越していきますので気が向いたら読んで下さい。

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