第三十三話
シルフィーが目を覚ますと視界に入ったのは剥がれかけている木造の天井だった。
シルフィーは体を起こそうとしたとき自身が横にっていた場所がソファーの上である事に気付いた。
「……ここは?」
体を起こしたシルフィーは自身がいる場所を確認した。
剥がれた屋根や天井から月光が差し込み周りを照らしてくれたおかげでシルフィーが今いる場所がどこかの屋内である事を確認できた。
「目を覚ましたんですね。勇者シルフィー」
シルフィーが横になっていたソファーの傍にはソファーの足元に寄り掛かりながら床に座り目を閉じているファルコがいた。ファルコはどこからか入手した毛布にくるまっていた。
そしてシルフィーは自分の上に掛けられた毛布に気付いた。
「ここはどこですか?」
「仮面の女と戦った村の建物の中です」
ファルコはシルフィーの質問に答えた。
「しかし倒れた時には驚きました。薬を調達する前に倒れられたので応急処置には苦労しました」
シルフィーは自分が仮面の少女との戦闘で相当消耗したのが原因で意識を失って倒れたことを思い出した。
「あなたが看病してくれたのですか?」
シルフィーは傍にいるファルコに自分が意識のない間看病していたのか尋ねた。
「えぇ。僕の勇者の能力で消耗していた勇者の力を分け与えました」
「そうだったんですか。ありがとうございます」
シルフィーはソファーの上でファルコにお礼を言った。
「大丈夫です。勇者シルフィーに力を渡した後、休んでいる間僕も力を回復できましたので平気です」
「私が倒れてからどれくらい経ちましたか>」
シルフィーはファルコに倒れてからどれだけ時間が経過したか尋ねた。
「大体半日が経過しました」
「半日ですか。随分眠ってしまったんですね。少し休めば大丈夫と言っておきながらお恥ずかしい限りです」
シルフィーは自分が倒れる前に言った言葉に反して長時間倒れて休んでいた事に恥ずかしさを覚えた。
「仕方ないです。仮面の女の力を真っ向から受けて無事だっただけもすごい事です」
「それでも仮面の女性は逃がしてしまいました」
シルフィーは自分の上に掛けられている毛布を悔しさのあまり強く握りしめた。
「しかし、悪魔側は僕達が所持している魔王の魔力の欠片を奪うことはしないで別の何かを探していました」
「それが一番気になりました。前回の戦闘ではあれだけ魔王の魔力を回収したがっていた悪魔達が今回所持している私達から魔王の魔力を奪おうとせずこの村にある何かを手に入れて撤退した。一体何を手に入れたのでしょう?」
「悪魔が持っていたのは本のような物だったみたいですが」
ファルコとシルフィーは今回の戦闘中他の悪魔が入手した本について考えるが手掛かりすらない今の状況では見当もつかなかった。
「情報が少なすぎる今の状況では考えても徒労に終わってしまいますね」
「そうですね。ここに居続けても仕方ないですし明日の朝まで休んで朝になったら次の村に行って旅道具を調達しましょう」
「私もそれが最善だと思います」
意見を交換し合い今は体を休ませる事を優先させる事に決めた二人は再び毛布にくるまり暖を取り目を閉じた。
お疲れ様です。
tawashiと申す者です。
今回も読んで頂き誠にありがとうございます。
今回二話連続投稿をしますので良ければ次話も読んで下さい。