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第三十二話

「撤退しましたか」


 転移魔術で仮面の少女と悪魔一体が転移魔術で姿を消した後シルフィーは臨戦態勢を解いたと同時に膝を付いた。


「大丈夫ですか⁉」


 地面に膝を付いたシルフィーにファルコは速足で駆け寄った。

 仮面の少女との戦闘で体力的に相当消耗したのだろう。シルフィーは全身から力が抜けると同時にどっと疲労が押し寄せた。息が上がって汗もひどく掻いている。


「……少し休めば平気です。それよりこのことを王宮とノクト達に伝えなければ」


 シルフィーは手に持つ聖剣に意識を集中した。

 シルフィーの聖剣の切っ先から聖剣術の小鳥を二羽生成されて聖剣術の小鳥が空へ羽ばたいた。


「これで……数日には……届くはずです」


 聖剣術の小鳥二羽が空へ飛び立ちそれぞれ別方向へ向かっていくとシルフィーは疲労がピークに達して地面に倒れた。


「しっかり!しっかりして下さい勇者シルフィー!」


 倒れたシルフィーの元へ駆け寄ったファルコは大声で問いかけるもシルフィーからの返事はない。返事がないので体をゆすって確認するがシルフィーから返事がなかった。

 幸い呼吸はしているので生きている。しかし仮面の少女との戦闘で相当消耗したのが原因で顔色が悪く気を失っている。


 ファルコは気を失ったシルフィーを背中に背負いどこか休ませられる場所がないか見回した。

 幸いな事に仮面の少女と戦闘をしたにも関わらず村の建物はほとんど破壊されていない。シルフィーを外で休ませるより屋内で休ませた方が良いと考えたファルコは無人の村の建物の一つに入った。


 屋内に入ったファルコは屋内の様子を窺った。しばらく人が住んでいなかったせいで埃が溜まっているが家具などはまだ使えそうなものばかりだ。

 ファルコは入った屋内の中央にあったソファーまでシルフィーを運んだ。シルフィーをソファーに横にさせたファルコは詳しくシルフィーの様子を確認した。


 天井が一部剥がれた部分から差し込む光でシルフィーの様子を見たが疲労のせいで呼吸が浅く顔色も先程より悪くなっている。

 かなり体調が悪化している。


「こんな時に回復薬を調達できてないとは……」


 本来ならこの村で旅に必要な道具や薬をまとめて揃える予定だった。しかしこの村は無人だった上仮面の少女との緊急戦闘もする事になった。これではシルフィーに十分な治療を施せられない。


「こんな時に一か八かの方法に頼るしかないとは」


 ファルコは自分の右手の甲を見た。右手の甲にはうっすら勇者の紋章が浮かんだ。

 ファルコもまだ自在に勇者の力を使いこなせるわけではない。まだ第一開放状態の力しか使いこなせていない。次の第二開放状態の力も今まで訓練して失敗した事の方が多い。失敗すればしばらくは勇者の力を使えない。


 そうなれば体調が悪化しているシルフィーに何も施す事がない。

 リスクが大きすぎるがこのまま何もしなくても事態は変わらない。

 ファルコは腹を決めた。


 ファルコは右手に力を集めるイメージを浮かべた。右手の紋章が徐々に輝きを増していった。

 輝きを増していく右手の紋章は輝きが今までになく強くなった時紋章の幾何学的な文様が変形していく。文様がより複雑に変形していく紋章は文様の変形が止まるとより磯井輝きを増していく。

 ファルコは紋章の文様が変わった後シルフィーの顔の前に右手をかざした。


 顔にかざされた右手からシルフィーに聖なる気が送り込まれていく。

 ファルコの右手から送り込まれる聖なる気を受け取っているシルフィーは徐々に顔色が良くなっていく。呼吸も整い出していき確実にシルフィーの体調が回復しているのが目に見えて分かる。


 それに比べ聖なる気を送り込んでいるファルコは眉間にしわを寄せていた。かなり集中力を使っているようで額に汗を滲ませている。ファルコの体中に蓄えられていた力もどんどん右手から失っているのをファルコ自身体感している。


 どうか回復しきるまで力が切れないことを祈るファルコはシルフィーの体調が戻るまで右手から聖なる気を送り続けた。

お疲れ様です。

tawashiと申す者です。

今回も読んで頂き誠にありがとうございます。

明日も投稿しますので良ければ読んで下さい。

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