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第三十話(表裏)

 シルフィーとファルコはノクトの存在に関して抗議を中断してから数時間が経ち、とある村が視界に入ってきた。


「ようやく休めそうな場所に着きそうですね」

「そのようですね」


 二人は村へ到着すると強烈な違和感を抱いた。

 村の外を出歩く人がいなく露店らしき造りの店も商品が並ばれてなく店頭には店員がいない。村全体のの建物も長期間手入れがされていないようで建物の壁は傷だらけの上屋根も剥がれている箇所も見当たる。


 シルフィーとファルコは到着したばかりの村を見回った。

 傷んだ建物の中には人ひとりとしていない。


「どうやらここにはしばらく人が住んでいないようですね。勇者シルフィー」

「そのようですね」


 誰一人いない村の建物を散策しているシルフィーとファルコは散策する範囲を広げて村全体を散策した。

 村の隅には井戸や家畜場だった建物があった。

 村全体を見回したシルフィーとファルコは不可解な点を感じた。


「勇者ファルコ。この村何か変じゃないですか?」

「僕と同意見ですね勇者シルフィー」


 シルフィーとファルコは村全体を見回した後互いに目を合わせた。


「この村の荒廃具合からして何者かが襲撃した様子は一切ありません。井戸も枯れていないので飲み水がなくなって別の村へ移住したという線も薄いです」

「しかも流行り病で住人が死んでいたのであれば近くに墓地があってもおかしくないし、家畜場に家畜の死骸があるはず。しかも王都に近いこの村なら王都にその情報が伝わっているはず」


 シルフィーとファルコの言う通り村の建物は荒廃はしているが何者かの襲撃を受けたような建物が派手に破壊されたような形跡が全くない。

 井戸水もしっかりある上井戸水は有害物質で汚染されて飲めなくなっているわけでもなかった。


 王都には流行り病が蔓延した村の情報はここ数年聞いた事がなく村の近くに墓地は存在しなかった。家畜場には家畜の死骸どころか元から家畜がいなかったように家畜が飼われていた形跡すらない。

 まるで村にいた生き物全てが一斉に村から消えたかのような状態だった。


「大規模な転移魔術で村全体の生き物を転移させたみたいな状態ですね」

「それは言い得て妙ですね。もしかしたらsの可能性もあるかもしれないです」


 シルフィーが例えで言った言葉にファルコは賛同するような言葉を発した。

 ファルコは荒廃した建物の傍に腰を落とした。


「見て下さい勇者シルフィー。ここにわずかですが残留している魔力が探知できます」


 ファルコは建物の傍の地面を指差してシルフィーに告げた。シルフィーはファルコが指差した地面から微量の魔力が漏れ出ている事を探知した。

 ファルコは微量の魔力が漏れ出る地面を手で地面の土を掘り起こした。


 土を掘り起こしてすぐ掘り起こした地面から何か透明な石のような物が埋められていた。

 ファルコは石の周りを掘り起こして透明な石を掘り出した。


「やっぱり魔石ですね」


 ファルコが掘り出して手に取ったのは魔力がわずかに残っている魔石だった。


「多分村全体を隈なく探せばこれと同じ物があるはずです」

「けれどなぜこんな面倒なことをする必要があるのでしょう?しかも王都に近いこの村に人が誰もいないという情報が王都に伝わっていないことも気になります」


 シルフィーの話にファルコも同じことを思っていた。

 この村の広さなら村全体の生き物を全て転移させるにはファルコが手に持っているサイズの魔石数百個は必要になる。そんな数の魔石を地面に埋めるのはあまりに非効率的だ。しかもこの村の建物の荒廃具合からして村から人がいなくなって数年は軽く経っている。それだけ時間が経過しているのに王都にその情報が流れていない。あまりに不自然だ。


「これは一度王宮にこの事を伝える必要があります」

「それは僕も賛成ですがまた王都に戻るのですか?」

「それにはおよびません」


 シルフィーは聖剣を鞘から引き抜き切っ先に意識を集中した。

 聖剣の切っ先から光が収束していき手即した光が小鳥の形に変形した。


「この聖剣術で王宮の上級騎士に伝書します」

「その聖剣はそんなこともできるのですか?」


「私の聖剣の聖剣術は攻撃性のない聖剣術ばかりです。けれど支援する聖剣術に関しては追随を許さないほど優れた聖剣です」

「それは前の戦いで実感しています」


 ファルコは前に悪魔達との戦いで何度もシルフィーの聖剣術の盾でファルコ達を守った事を思い出す。

 シルフィーの聖剣の切っ先から生成された聖剣術の小鳥は聖剣から飛び立ち王都がある方角へ飛んで行った。


「これで数日後には返事が来ると思います」


 シルフィーが飛んで行った聖剣術の小鳥の返事が届くであろう期間をファルコに告げるとシルフィーとファルコは全身の肌がひりつくような感覚を覚えた。

 つい最近同じ感覚が全身に奔った事をよく覚えている。


 勇者三人で相手したにも関わらず人間の少女一人相手に苦戦した上、あろうことか勇者の紋章の力を利用されてかつての勇者が施した立体魔法陣をすべて破壊されて魔王の魔力の欠片の大半を奪われた。

 肌がひりつく感覚が奔った直後に二人の記憶から思い返された。


「細心の注意を払いましょう。勇者ファルコ」

「そうですね。まさかこんな短期間で再戦することになるとは思いませんでした」


 ファルコは聖剣を鞘から引き抜いてシルフィーと同様に聖剣を構えた。

 二人の勇者の周りにはいつの間にか見覚えのある黒の外套を羽織った者達が村の建物の屋根の上に立っていた。


「また会いましたね。現在の勇者」


 シルフィーとファルコに話しかけた聞き覚えのある少女の声が目の前から聞こえた。

 シルフィーとファルコの目の前には黒の外套を羽織った黒い服と仮面を被った少女の姿があった。

 先日勇者三人を相手した仮面の少女と前回の戦いより多くの悪魔達がシルフィーとファルコを取り囲んでいた。


「あなた達が私達の前に現れた目的は何ですか?」


 シルフィーは目の前にいる仮面の少女を見て悪魔達に聞こえる声で現れた理由を聞いた。


「私達は敵に目的を話すような間抜けではありません」


 仮面の少女に尋ねた質問をシルフィー達の周りにいる悪魔の一体がシルフィーの質問を断った。


「だったら実力行使で聞くまでだ」

「前の戦闘で無様に倒れた貴方がその言葉を口にしますか」


 ファルコの言葉にシルフィーに話した悪魔とは別の悪魔がファルコに話した。

 シルフィーとファルコが聖剣術をいつでも発動できるように用意すると同時に悪魔達は魔法陣を展開していた。


「それでは相手になってもらいます!」


 仮面の少女は魔法陣から大剣を生成した。生成した大剣を握ると同時に勇者二人の方へ飛び込んでいく。

お疲れ様です。

tawashiと申す者です。

今回も読んでいただき誠にありがとうございます。

明日も燈越していきますので気が向いたら次話も読んで下さい。

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