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第二十六話

「いい所を見つけたなノクト」


 月が空の上で輝く中、村の外れにある崖近くの開けた場所にノクトとラザフォードはいた。


「ラザフォードさん。早速ですが勇者の力の使い方を教えて下さい」

「その前に。今回修業するのはノクトの右目に宿っている勇者の力を使いこなす修業をする。再確認だが無意識で動体視力が向上したり不可視化した魔法陣を見る能力を使えるんだな?」

「はい」


 ラザフォードはノクトが無意識で使っていた右目の能力を再確認のためノクトに尋ねた。尋ねた能力にノクトは肯定した。


「それは右目の力の第一開放状態で使える能力だ。無意識で使えているのであれば第一開放状態の修業の必要はない」

「それじゃあ修業する意味はあるんですか?」


「これから修業するのは第一開放状態より難易度が高い第二開放状態だ」

「第二開放状態……」


 ラザフォードは右目の力の第一開放状態の修業ではなく第二開放状態の修業をする事をノクトに伝えた。


「言葉通り第一開放状態より上の段階の力だ」

「具体的に第二開放状態ってどんな力なんですか?」


 ノクトはラザフォードに第二開放状態の能力について具体例を尋ねた。


「俺の左目の第二開放状態の能力は左目のピントが合った対象に聖剣術を追尾させる能力と左目のピントが合った対象に聖剣術を付与して好きなタイミングで聖剣術を発動できる能力がある」

「それはすごい力ですね!」


 ノクトも二年間聖剣を使用しているからラザフォードの言った力のすごさが分かる。

 聖剣術は基本的に聖剣から放った後は放つ直前に決めた軌道を放った後で変更できない。つまり聖剣術を躱されると聖剣術は絶対命中しない。しかも聖剣術は聖剣からでしか発動させられないので聖剣以外の対象に付与する事も出来ない。


 けれどラザフォードの左目の第二開放状態の能力が本当であれば悪魔との戦闘では圧倒的に有利だ。

 命中するまで勇者の放った聖剣術が追尾する力や罠として付与した聖剣術を発動できる力は悪魔との戦闘で有利に戦う事ができる能力だ。


「確かに一対一サシでの戦いでは圧倒的に有利だが、第二開放状態は弱点もある」

「弱点?」


 ラザフォードはノクトに真剣な視線で見て口を開く。


「どの勇者の紋章でも共通するんだが第二開放状態を使用した後、次に勇者の力を使用するのに時間がかかる」

「それって」

「多勢に無勢の戦いでは絶対に使うな」


 ラザフォードはノクトに忠告した。

 確かにラザフォードの左目の能力を聞く限り第二開放状態の能力は協力であるが、使用した後で次に能力を使用するまでインターバルがかかると多勢に無勢のたたきで使用すれば一体は確実に倒せるがその後インターバルの間に他の敵から攻撃されると太刀打ちできない。

 ラザフォードが忠告した意味をノクトは理解した。


「分かりました」

「注意する事も説明したし、これからノクトの右目の修業をつけるか」

「はい!」


 ラザフォードが修業を開始するかとを伝えるとノクトは張り切って返事をした。


「まずは聖剣を構えるんだ」


 ラザフォードの指示を聞いたノクトは腰に携えた聖剣を鞘から抜いて聖剣を構えた。


「第二開放状態の能力も目に共通する能力があるという伝承がある。まずは俺と同じ能力が使えるのか確かめたい。最初は聖剣術の追尾能力が使えるか確かめる」

「分かりました!」


 ノクトの返事を聞いたラザフォードは崖から少し離れた位置にある岩を指差した。


「まずは右目に力を集めるイメージで意識を集中するんだ。そうしたら右目であの岩にピントを合わせて聖剣術をピントを合わせた岩の遥か上に真っ直ぐ放て」


 ラザフォードの言った通り右目に意識を集中させた。ノクトの右目に刃勇者の紋章が浮かび上がった。


「右目にもっと力を集める感じでイメージするんだ」


 ノクトの右目に浮かぶ紋章を見たラザフォードはノクトに助言した。

 ラザフォードの助言を受けてノクトは右目に力を集中させるイメージを浮かべた。するとノクトの右目の紋章が徐々により強い輝きを放ち始める。


「その調子だ。もっと右目に集中するんだ」


 ノクトはラザフォードの言う通りに右目に集中していると右目に集中していた力がいきなり分散して消えていく感覚を覚えた。その感覚と同時に輝きを増していた紋章が突然消失した。


「あれ?」

「右目に集めてた力が上手くまとまらなくなったせいで勇者の力が発動する前に不発した」

「もう一度やり直します」


 ノクトは再び右目に力を集中するイメージを描いた。しかし先程と違い右目に力が集まる感覚を覚えない。


「第二開放状態を使うと次に勇者の力を使うには時間がかかるって言っただろ?それは失敗しても同じだ」

「それじゃあ連続して修業できないってことですか?」

「その通りだ」


 ラザフォードがノクトの質問に答えるとノクトは息を吐いた。


「具体的に第二開放状態を愛用した後次に勇者の力が回復するのにどれくらい時間がかかるんですか?」

「使いこなせるようになれば五分で回復するが、ノクトは初めて第二開放状態を使おうとした。俺も最初回復するのに半日の間は勇者の力は使えなかった」

「半日⁉」


 ノクトはインターバルの時間を聞いて驚きで声を張ってしまった。


「そうだ。だから今日のところは修業終了だ。

「そんな」


 ノクトはがっかりするがラザフォードの言う通り修業前に溜まっていた力が全身から向けたような感覚を覚えていた。


 ノクトは勇者の力がインターバルの間回復するまで使えなくなることを実感した。

 今はこれ以上は修業の意味がない事を実感しているノクトは仕方なく構えていた聖剣を鞘に納めた。


「焦る事じゃない。右目に力は集まっていた。コツさえつかめばすぐ第二開放状態の力を使えるさ」

「そうだといいですが」

「もう夜も深い。宿に戻って寝るとしよう」


 宿に戻るラザフォードにノクトは後に付いていった。

 宿に戻った二人はそれぞれベッドへ横になった。


 ラザフォードはベッドへ横になってすぐ眠りについた。

 ノクトが眠りに入りそうになるとラザフォードはいびきをかいて眠りについていた。

 ラザフォードのいびきの音が大きいせいでノクトは朝まで眠りに着くことができなかった。

お疲れ様です。

tawashiと申す者です。

二話連続投稿の二話目です。

明日も投稿しますので良ければ読んで下さい。

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