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第二十四話

「取り乱してすみません‼」


 号泣していたホホが落ち着いてしばらく経つと、深々と頭を下げてノクトの胸元を借りて泣き続けていた事を謝罪する。泣き止んだホホの顔は赤く腫らした目と同じくらい恥ずかしさで頬を赤くしていた。


「落ち着いたのならいい」

「ノクトも悪い気はしなかっただろ?」

「若いというのは良いものじゃの~」


 ホホの謝罪に気にしてないと返すノクトにラザフォードとコンが茶化してきた。そんな二人をノクトは睨むと二人はそっぽを向いて口笛を吹いた。


「それでコンさん。ホホに正しい即効性の解毒薬の調合の仕方を教えました。旅に必要な薬を値引きする約束は守って下さい」

「忘れておらんよ。ただわしゃからもう一つ提案じゃ。あと数日ホホに指南してくれるのであれば薬を大幅に値引きしても良いぞ」


 ノクトは約束を果たした報酬である薬の値引きをコンに尋ねるとコンは新たにノクトへホホに魔法薬の調合を教える提案をした。


「実際にどれだけ値引きしてくれるんですか?」

「今日の手解きだけじゃと二割引きする予定じゃったが、もう少しホホに指南してくれるのであれば四割引きでどうじゃ?」


 コンは右手の指四本を立ててノクト達に値引きの割合を示した。


「この話乗ったらどうだ?どうせノクトも勇者の力の使い方を修業するんだ。その間で教えておけば薬が四割引きだ。悪い話じゃない」

「それはそうですが」


 ラザフォードがノクトの耳元で耳打ちするとノクトも声を潜めて返事をした。


「もう一度確認しますがコンさん。俺の教え方でいいんですね?」

「もちろんじゃ。あんさんの指南一つでホホが魔法薬を調合できたんじゃ。あんさんの教え方はホホに合うようじゃしの」


「分かりました。俺達が個々に滞在する間、俺達の空き時間だけならホホの面倒を見ます」

「交渉成立じゃ」


 こうしてノクトはコンとの約束で薬の値引きを条件にホホに魔法薬の指南する事になった。


「ホホ」

「はいっ!」


 ホホはノクトから急に呼ばれて驚いて体がびくっとなった。


「お前は読んだ本なら一言一句、パージ数まで覚えられるみたいだが、何度読み返した?」

「一回です。あたしは一度読んだ本を全て覚えられます」

「そうか」


 ノクトはホホの記憶力の度合いを尋ねるとホホは一度読んだ本なら全て記憶できることを伝える。ホホの返答を聞いたノクトは魔法薬調合室の奥に置かれている本棚に近づいた。

 本棚に収納されている魔法薬の手順書プロトコルや魔法薬の試料事典などが複数ある中、ノクトは本棚から三冊本を取り出した。


「今日の宿題だ。この二冊の手順書と一冊の試料事典を参考にして二冊の手順書に書かれている一級耐幻術薬のうちどちらの手順書の方が効能が高いか勉強してこい。明日俺が来る時までに答えを探しておくんだ」


 ノクトは分厚い二冊の魔法薬の手順書と魔法薬の試料事典一冊をホホに渡した。


「明日までに答えを……」

「ホホならできると思ったんだが無理か?」


 三冊の分厚い本三冊を渡されたホホが戸惑っているとノクトの言葉を聞いた途端ホホの表情から戸惑いが消えて明るい表情に戻った。


「やります!やってみせます先生!」

「先生⁉」


「これからノクトさんのことを先生と呼ばせてください!」

「呼びたいようにしろ。明日俺が来るまでに答えを探し出しておけ」

「分かりました先生!」


 ノクトを先生と呼ぶホホはやる気満々でノクトに返事をする。一方ノクトは先生と呼ばれる事に背筋がかゆくなるような感覚を覚えた。


「時間も時間ですし俺達も宿を探しましょうラザフォードさん」


 ノクトがラザフォードに宿を探す藩士をするときには外は夕陽が沈む少し前だった。


「おっと。もう夕方になってやがる。そうだな、じゃあ俺達はこれで」


 ラザフォードがコンとホホに挨拶をするとノクトとラザフォードは薬屋を出た。

 薬屋を出た二人は村にある宿屋へ向かった。

 宿屋へ向かう道中ラザフォードがノクトへ話しかける。


「最初あんなに渋ってたノクトが、あの爺さんの頼みで亜人の嬢ちゃんに魔法薬を教えるとは俺も予想しなかったぜ」

「大丈夫です。明日ホホは宿題の答えを出せないまま明日であの店主との約束は終わります」


 ラザフォードがノクトの言動に内心驚いている事を伝えるとノクトはホホが宿題を出せないと予言した。


「まさか答えが載ってない本を渡したのか?」

「いいえ。答えは載っています」


「だったらなんであの嬢ちゃんが答えを出せないって分かるんだ?」

「答えは載っていますが、今のホホでは答えを出す前に時間切れになるでしょう」


「そんなに難しいのか?」

「気付いてしまえば半日で答えが出る宿題です。けど肝心なことに気付かないと一日では不可能です」


「お前相当ひねくれてるな」

「余計なお世話です」


 ラザフォードとノクトが薬屋での話をしていると近くに宿屋を見つけた。


「宿屋見つかりましたね」

「あぁ。もう日が暮れるから早く中へ入ろうぜ」


 二人は宿屋の中へ入り受付で二人部屋の部屋を取った。

 部屋代はラザフォードの所持金で払った。最初ノクトは割り勘で支払おうとしたがラザフォードは所持金が自分より少ないノクトの事を考えて全額ラザフォードが支払った。

 借りた部屋に着いた二人は購入した旅道具や身に付けている聖剣などを外した。


「宿代ありがとうございます」

「いいって。どうせ部屋は二人部屋の方が一人部屋二つ借りるより安かったんだ」


「このお礼はどうすれば」

「ノクトは薬代を値引きしてくれたんだ。これで貸し借りなしだ。これでいいだろ?」

「分かりました」


 ラザフォードは部屋のベッドに腰かけた。ノクトもラザフォードと別のベッドに腰かけた。


「それで修業はいつから始めますか?」

「そうだな。宿も取れたし少し休んだら村から少し離れて修業するか」


「分かりました。俺は村の外れに修業できる場所がないか探してきます」

「わかった。じゃあ俺は少し休むわ」


 ラザフォードはテーブルに置かれている水が入ってる容器をグラスに移して飲んでいるとノクトは部屋から出て修業ができそうな場所を探しに行った。

お疲れ様です。

今回も読んで頂き誠にありがとうございます。

明日も投稿していきますので気が向いたら次も読んで下さい。

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